レザークラフトを始めるにはどんな材料が必要でしょうか。この記事では、最初のレザークラフトでそろえるべき材料と、買い方(買えるお店)をわかりやすく解説します。
結論、最初にそろえたいレザークラフトの材料は、革・手縫い糸・接着剤・コバ処理剤・金具です。
材料以外に道具も必要ですが長くなってしまうので別記事でまとめています。初めてのレザークラフトに〔最低限〕必要な工具もぜひ一緒にご覧ください。
レザークラフトに必要な材料(革、糸、接着剤ほか)
レザークラフトは、革さえあれば糸も金具も接着剤も使わずに作ることだって可能です。
↓縫わずに作るレザークラフト作品を集めた本。
ですが、それだけでは作れる作品の幅がせばめられてしまう。
最初は基本の材料だけは一通りそろえていろいろな作り方を試すのがおすすめ。試した上で自分のスタイルを探すといいでしょう。
これだけ。
意外と少ないんだね
そうだね。次の章から具体的に何をそろえればいいか解説するよ
革の選び方|初心者さんはタンニンなめし革がおすすめ
いろんな革があって迷うね
レザークラフトでおもに使われるのは「クロムなめし革」と「タンニンなめし革」とそのミックスの「コンビなめし」。
最初はタンニンなめし(※)かコンビなめしの革を使うといいよ
※タンニンなめし革はヌメ革とも呼ばれます(ヌメ革は無染色のタンニンなめし革だけを指す場合もあります)くわしくは、ヌメ革とはどんな革?|ヌメ革の性質、お手入れ&扱い方をご覧ください。
関連記事 タンニンなめし革とクロムなめし革のちがい
タンニンなめし革をすすめる3つの理由
おすすめな理由については、別記事のレザークラフト初心者さんにヌメ革をすすめる理由で深掘りしています。
革の味については、「革の味が出る」ってどういう状態?革の経年変化を写真で解説をご覧ください。
最初に買うべきタンニンなめし革の選び方
カット革なら卓上であつかえる
クラフト用の革には、使いやすいサイズの「カット革」と、生きていた時の形が残る「半裁/ダブルショルダー/クロップ/シングルバット」などがあります。
なれてきたらぜひ生きていた時のままの大きな革にチャレンジしていただきたいですが、初心者の方にはあまりにも大きすぎます(牛革の半裁は自動販売機くらい)。
最初はカット革から試しましょう。
小さいからいろんな革を試したり、いろんな厚みをそろえやすいのもメリット
作るものによっては複数の厚みの革が必要
革は、もともとはしっかりと厚みがあるものが多く、漉き加工という厚み調整をして使います。
漉き加工は革漉き機という機械を使ったり専門業者に依頼したりするのですが、趣味のレザークラフトではどちらも少しハードルが高い。
解決策はカット革の複数の厚みを購入することです。
先ほど紹介したサドルレザーを例にあげると、1.0mm、1.5mm、2.0mmが用意されています。
【国産/栃木レザー】サドルレザー (全6色) 1.0mm厚 9DS(30x30cm) 【国産/栃木レザー】サドルレザー (全6色) 1.5mm厚 9DS(30x30cm) 【国産/栃木レザー】サドルレザー (全6色) 2.0mm厚 9DS(30x30cm)ちょうどいい厚みは求める硬さや革質などによっても変わるため、上記はあくまでも参考の一つとしてとらえていただければ幸いです。
厚みで革質がどう変わるのかを知るのはとてもいい勉強になります。
最初は小さなカット革でいいのでいろいろな厚みを試して欲しいです。
革の硬さと厚みで素材を選ぶときの考え方については、レザークラフト用革素材の選び方|硬い革と柔らかい革/厚い革と薄い革で解説しています。
最初は無染色のヌメ革か最低限の塗装の革が勉強になっておすすめ
レザークラフトの最初の一枚としては、染めていないベージュのヌメ革か、染料だけで色を付けたナチュラルな革がおすすめ。
理由はヌメ革は革の性質を理解しやすい素材だからです。
ヌメ革とは逆の顔料で塗装された革は、吸水性が低かったり色変化がおだやかだったりして革の性質がわかりにくい。
関連記事 顔料を使っている革は悪い革?染料と顔料のメリットとデメリット
顔料を使った革が素材として悪いわけではありませんが、最初の革としてはヌメ革の方が勉強になります。
とはいえ、使いたい革があるならヌメじゃなかろうが迷わずそちらを選びましょう。趣味なのですから好きなものを使うのが一番です。
革の買い方と買えるお店については、レザークラフト用ヌメ革販売店13選〔ネットで買える〕注意点も解説でも解説してるのでよろしければご覧ください。
手縫い糸は麻かポリエステル製で革の手縫い用につくられたものを
レザークラフトに使われる手縫い糸には、麻(リネン(亜麻)、ラミー(苧麻))、ポリエステル、ナイロンなどがあります。
最初は良質な麻かポリエステルの手縫い糸を使うといいでしょう。
麻とポリエステルのちがいをまとめると次の通りです。
引き締まった縫い目の美しさ、上品な中にもナチュラルな雰囲気を残すなら麻糸がおすすめ
均一でクリーンな縫い目、糸の扱いやすさ、丈夫さを取るならポリエステル糸がおすすめ
出典 レザークラフト用手縫い糸の選び方とおすすめ|麻(リネン)かポリエステルか-デテログ
出典元の記事でくわしい選び方とおすすめの糸についてお話ししています。
初心者さんでも金銭的によゆうがあるなら良い糸を選んだ方が仕上がりがよくなっておすすめです。
接着剤は接着力が強くて危険性が低いものを選ぼう
レザークラフトに使う接着剤は、大きく分けて2種類あります。
それぞれ特徴やメリットデメリットがありますが、まずは前者の半乾きで貼り合わせる接着剤を使いこなしていただきたいです。
接着剤のおすすめは水性のECOSTIKC(有機溶剤不使用)
半乾きで貼り合わせるタイプは作業効率がよく、接着力が強い接着剤が選べるのがポイント。
特に、曲げ貼りという技法を使うときはこのタイプでないときれいに強く接着するのがむずかしいです。
半乾きで貼り合わせる接着剤で代表的な商品には、サイカプレン、ノーテープ、ダイヤボンド、ECOSTIKC(intercom社)などがあります。
これからレザークラフトを始める方におすすめなのは、ECOSTIKCのような水性接着剤。
接着剤には有機溶剤を含む有害な製品が多い中、ECOSTIKCは有害物質を含んでいません。だから臭気を感じず、締め切った部屋で使っても健康被害がないのが特徴。
逆に言えば、従来の半乾きで貼り合わせるタイプの接着剤は、揮発性の有機溶剤により確実に人体に悪影響をおよぼします。
革職人の私の職場では、特に接着力が求められる場合のみ有機溶剤系の接着剤を使っていますが、基本的にはECOSTIKCに移行しています。接着力も十分。
健康が第一ですね。
麻糸で手縫いするなら木工用ボンドが必要
革同士の接着とはちがった話になりますが、麻糸で手縫いするなら縫い終えた糸の処理に使う接着剤が必要です。
糸を留めるための接着剤といっても特殊な接着剤が必要なわけではないのでご安心を。
100均でも買える木工用ボンドでもOKです。近い性質の「白ボンド」や「サイビノール※」は革職人も使っており、半乾きタイプとはちがった使い方で革の接着にも役立つので持っておくと幅が広がります。
※サイビノールは微量の有機溶剤を含んでいます。換気に注意し、できるだけ素手で触らないようにしてください。
コバ処理がクオリティを左右する?トコノールが便利
コバ処理って何?
革の断面を整えることです。
見た目の美しさと耐久性に影響します。
どんな材料が必要?
コバはクラフターごとにこだわりがあって、あれこれ言いだすとキリがない分野。
最初は「トコノール」でコツをつかむところから始めましょう。
結論はまずはトコノールで磨き方を覚え、慣れたら他の処理剤も試してみましょうということなのですが、その前にコバ処理のおもな方法2つから順にお話ししていきます。
コバ処理の方法2種類
コバ処理には『塗り』と『磨き』の2つの方法があります。
塗りも磨きも、革のすき間を埋めて整えるという意味ではやっていることは同じ。
基本を知る上でも最初は磨きをマスターするところから始めてみましょう。
トコノールをすすめる理由
トコノールをすすめる理由は、使いやすく、値段が手ごろで、多用途に使えるからです。
トコノールを使ったコバ磨きの方法は、コバに薄く塗り、布を指に巻いて磨くだけ(磨いたあとやすりがけし、再度トコノールで磨けばさらにきれいになる)です。
トコノールのいいところは、床面(革裏面)の毛羽立ちを抑えるのにも使えるところ。兼用できるからあれこれそろえる必要がなく、材料の数を少なくできます。
やり方は、床面全体にトコノールを薄く塗り広げ、ガラス板でこするだけ。ピカピカにしなくていいなら塗るだけでもある程度効果があります。
ガラス板は、すこし上級者向きのテクニック「革漉き(手漉き)」という作業をするときにも必要になる道具なので持っておくといいでしょう
コバのクオリティを追及したくなったらトコノール以外のコバ処理剤も試してみてほしいです
トコノールを使わないコバ処理の方法と使う道具については次の2つの記事で紹介しています。
関連記事 ヌメ革に使えるコバ処理剤9種|おすすめと磨き方備忘録
金具を使うと作れるものが増える。ホックとカシメから始めよう
金具もあった方がいい?
金具なしでもレザークラフトできるし金具を使わないメリットもありますが、使えれば選択肢が広がります。
最初はいろいろ試してみてほしいです。
レザークラフトに使われる金具は、カシメ、ホック各種、美錠(バックル)、ギボシ、ナスカン、ダイヤル錠・・・etcといろいろありますが、結論最初はカシメとバネホックから始めましょう。
カシメは手軽かつ効率的な金具ですが、丈夫なためステッチと併用して補強目的で使うのにも有効です。
関連記事 カシメって何?仕組みと構造と種類|レザークラフトに使うメリット
まっすぐ打つのにすこしだけ練習が必要かもしれません。それほどむずかしい作業ではないのですが、万が一の失敗を避けるため、私はハンドプレスという道具を使って確実に打ち付けています。
関連記事 革職人がホック金具をハンドプレスで付ける理由とメリット|使い方
上級者向けのテクニックになりますが、カシメ金具を革で包んで「くるみカシメ」として使うこともできます。
関連記事 革くるみボタンの作り方
金具の販売店については、レザークラフト用金具のネットショップ19選をご覧ください。
その他のレザークラフト用金具については、ボタン、ホック、ヒネリ、錠前|財布やバッグの留め金具まとめで紹介しています。
レザークラフトの材料が買えるお店は?
レザークラフト材料はどこで買えるの?
最近はネットで買う人が多いけど最初は実店舗に行ってみるとわかりやすいね。
おすすめはレザークラフト専門店。ほかには手芸店や一部のホームセンター、百円ショップなどで手に入るよ。
ネットでほとんどのレザークラフト材料は手に入る
最近のクラフターさんはほとんどがネットで買っているようです。
【ほぼ( ¯ω¯ )ネットかなぁ…】
— クロにゃんきグレにゃんき (@Schwarze1Grau2) March 28, 2023
車で1時間程のところに、大きなホームセンターがあり、レザクラコーナーがそこそこ充実しておりまして…始めたばかりの時は、ほとんどソコで買ってました。
今は、ほぼネット通販です。
革は、浅草とかに行って、実物を見て買いたいなぁと思ってますがなかなか…
Amazonのレザークラフト材料の特徴
最近はAmazonでの取り扱いも増え、楽天にはレザークラフト専門店のショップも並びます。
たとえばAmazonではレザークラフト用品メーカーSEIWAの商品群や、同じく協進エルの商品群。
必要な商品が決まっている場合や、一つの商品だけを買うならAmazonが便利です。
楽天のレザークラフト材料の特徴
楽天には、レザークラフトセットが人気の「レザーマート」や老舗の「ぱれっと」、大手ショップのレザークラフトドットジェーピーの楽天版「LCレザークラフト」などなら初心者からベテランまで必要な材料が手に入ります。
Amazonの倉庫で管理されるのとちがい、革の専門ショップが在庫を管理しているから革を買うなら楽天の方が信頼できます。
Amazonより種類が豊富な場合が多く(特に革)、一つのお店でまとめて買えるから安くなったりするのが楽天ショップのいいところです。
その他ネットショップ
Amazonや楽天に出店していない小規模なレザークラフトネットショップにもいいお店はたくさんあります。
有名なところでいえば、フェニックスやINファクトリーなど。
情報発信に力を入れていたり、独自に仕入れた素材やオリジナルの金具を販売するなど個性があります。
ここでは挙げませんが、職人御用達の業務用の商品をあつかうショップもあります。
ネットショップについては別記事で紹介しているのでこちらもごらんください。
レザークラフト専門店で買うメリット
ネットで買えるのに実店舗行くメリットあるの?
ちゃんとあります。特に初心者の場合は
特に、レザークラフト専門店が近くにあるならぜひ行ってみるのをおすすめします。
そうですね。
— naoko (@AmoNaoko) March 28, 2023
ただ、自分の定番革が決まってない初心者の頃は、実物を目で見て触って、お店の人に色々質問しながら革を選んだ方が絶対にいいと思います。
浅草橋~蔵前のお店は、行ける環境の方には、ぜひ行ってみてほしいです。
レザークラフトの知識が豊富なスタッフがいて疑問を解消しながら買い物ができ、良質な道具や材料が手に入ります。
実店舗ならどんなお店で買うのがいいの?
結論は、レザークラフト専門店がベスト。専門店がないor買うものが決まっている(質問しない)なら、アークオアシスかジョイフル2が品ぞろえが良くて評判もいいです。
手芸店・クラフトショップで買うメリット〔宝の山?〕
専門店は魅力的ですがどこにでもあるわけではありません。
もしお近くに手芸店があるならのぞいてみてもいいでしょう。店舗によりますがレザークラフトコーナーを設けている場合があります。
たとえば糸通しや糸切りバサミ、定規など、手芸用品と共通の道具は意外と多いです。
レザークラフトに慣れてくると、手芸用品店のアイテムが宝の山に見えてくるかも?
ハンズと地元の手芸屋さんのドリームさんってお店やイオンモールに入ってるパンドラハウスさん、スタイルレザークラフトさんですね!
— A.C.E(エーシーイー) (@acestudio2013) March 28, 2023
ジョイフル2やアークオアシスはレザークラフト用品の取り扱い数がすごい。そして他のクラフト用品も一緒に見れるからアイディアが広がります。
ホームセンターで買うメリット
次の選択肢として、DCM、ユニディ、ハンズマンなどのホームセンターをおすすめします。
いつもブログ拝見してお世話になってます。
— 98.hobby (@98hobby1) March 28, 2023
糸や染料などは革製品に特化したネットショップで比較し安いところを選定。
テープやヤスリは㎝単価や㎠単価で計算したら100均よりホームセンター等で大容量のものを買った方が安いこともあるので、大まかに計算して購入しています。
ヤスリやカッターや定規などはホームセンターでも手に入ります。
全国各地のレザークラフトショップ情報を地域ごとにまとめました。
北海道・東北 北海道・東北のレザークラフトSHOP
関東(東京以外) 関東(東京以外)のレザークラフトSHOP
東京 東京のレザークラフトSHOP
東海 愛知・静岡・岐阜・三重のレザークラフトSHOP
北陸・甲信 北陸&甲信越のレザークラフトSHOP
関西 関西のレザークラフトSHOP
中国・四国 中国・四国のレザークラフトSHOP
九州・沖縄 九州・沖縄のレザークラフトSHOP
百均で買えるレザークラフト用品の口コミ
一部の材料は100円ショップで事足りる場合もあります。私が見た範囲では、大型店でないと扱いがなかったり、あったとしても必要な道具をそろえるにはあまりに心細い状況です。
何かのついでにでものぞいてみるといいかもしれません。
紙やすり、工作用紙、小物トレイ、接着剤用の小瓶、等々100均にお世話になりっぱなしです笑
— しのみやれざー (@shinomiyalll) March 28, 2023
梱包材、テープ、工作用紙などの消耗品はほぼダイソー、セリア等の100均で、たまにホームセンターや文房具店など
— hagu@shape (@hagu_artisan) March 28, 2023
基本はネットで済ませてしまっています
(´・ω・`)
レザークラフトに必要な材料と買えるお店のまとめ
結論、最初にそろえたいレザークラフトの材料は、革・手縫い糸・接着剤・コバ処理剤・金具です。
革はヌメ革が形にしやすく、手芸になれていない方でもあつかえておすすめです。
手縫い糸は麻糸かポリエステル製を。予算がゆるすなら、質がいいものを選んだ方が仕上がりがよくなります。
接着剤は有機溶剤を使っていないものが体に害を与えず安全です。
トコノールは基本のコバ処理剤。床面(革の裏)にも使えます。
金具はまずはホックとカシメを試し、少しずつ増やしていきましょう。
それぞれの商品例です。
ネットでレザークラフト用品を買うならこちらの記事が参考になります。
道具も必要ですが長くなってしまうので別記事でまとめました。初めてのレザークラフトに〔最低限〕必要な工具をご覧ください。
レザークラフト用品取り扱い実店舗を探すならこちら↓の記事が参考になります。
北海道・東北 北海道・東北のレザークラフトSHOP
関東(東京以外) 関東(東京以外)のレザークラフトSHOP
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北陸・甲信 北陸&甲信越のレザークラフトSHOP
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中国・四国 中国・四国のレザークラフトSHOP
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この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございました。
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