ヌメ革とはどんな革?日本のヌメ革とイタリア版のヌメ革TOIANO

革辞典

ヌメ革というとどんなイメージがありますか?

日本に昔からある”ヌメ革”とはどんな素材なのか、イタリアのタンニンなめし革と比較しながら考えてみましょう。

ヌメ革ってどんな革?

こう問われて多くの方が思い浮かべるのが、”ベージュや薄ピンクなどの、染色していないタンニンなめしの硬い革”でしょう。

あめ色になるという謳い文句が抱き合わせになっています。

これって実はすごく罪深い接客文句。

セレクトショップなどでヌメ革製品を見ていると、「味が出ますよ。」とか、「一生ものですよ。」とかと安易な接客をしてくるスタッフがいますよね。

こう言われると、革に詳しくない客側からしたら、その味がどんなものかもわからず、テキトーに酷使しながら長年使えるものだと思い込んでしまう。実際は全然そんなことなくて、ヌメ革はきちんと手入れしないと無残な姿になってしまう上級者向け素材なんです!!もう少し勉強して接客して欲しいなぁと思ったりします。

ヌメ革の性質

  • タンニン100%なめし。
  • 染料、顔料による着色を行わない。
  • 加脂はなめしに必要な最低限量のみ行い、表面処理も必要最低限で、光沢は弱く、毛穴が目立つ仕上がり。
  • 色は薄ピンク~キャメル。
  • 経年変化大。摩擦による光沢の増加、タンニンの変色など。
  • 汚れやすい(金属汚れ、汗などに反応して黒く変色)
  • 吸水性、吸油性に優れる

イタリアンレザーのナチュラルの性質

  • タンニン100%なめし。
  • 顔料による着色を行わない。(わずかに染料を入れている商品もアリ)
  • なめし後にも適度なオイルアップが行われている。表面処理は必要最低限で、光沢は弱くい。
  • 色はベージュ~キャメル。
  • 経年変化大。摩擦による光沢の増加、タンニンの変色など。
  • 汚れやすいがヌメ革ほどではない(黒ずみはあまり見られない)
  • 吸水性、吸油性に優れるが、ヌメ革ほどではない。

日本のヌメ革とイタリアンレザーのナチュラルで違う点の中でポイントとなるのは、汚れやすさです。ヌメ革は本当に汚れやすいですが、イタリアンレザーのナチュラルは普通に扱えるレベルです。この差は大きいです!!

イタリアンレザーのナチュラルはヌメ革よりも汚れにくい。

ヌメ革は実は日本オリジナル?他所の国じゃなかなか見かけない。

ヌメ革のベースになったと思われるイタリアやアメリカのタンニンなめし革は、多くの場合たっぷりと油脂を含んでいます。使用される油脂素材は、こってりとした獣脂(牛など)や魚脂(イワシなどの青魚由来。タンナーの工場付近から漁港のような魚の匂いが漂っていたりも)、さっぱりとした植物油や鉱物油を、ブレンドして使います。

日本のようにカサカサとした質感のヌメ革は、欧米ではあまり見かけません。

なぜでしょうか?

これは、日本の風土が関係しているのではないかと私は考えています。

一昔前まで、日本でレザークラフトと言えば、多くの趣味人がこの革を使っていました(現在では世界中のいろいろな素材が日本のレザークラフターの手に届くようになりました)。

日本で油分の少ないヌメ革が浸透した理由は?

年間を通して湿度の低い地域では、革表面が乾きやすく、ひび割れが起こりやすくなります。その為、そういった地域では、油分が少なく保湿力の弱い革が自然に淘汰され、しっとりとした質感の、油分の多い革が多く残りました。

打って変わって年間を通して湿度の高い日本の風土では、保湿力の高い革はカビの発生リスクや多湿から発生する革の匂いが要因で根付かなかった。

一定以上の湿度が保たれるのであれば、油分で革を守る必要性は下がります。今は技術も上がっており、質のいい油脂を使うことで日本の風土に合った素材を作ることができますが、昔は、革の油分を減らし、通気性を高めることで長持ちさせる工夫をしてきたのかもしれません。

革の匂いについて書きましたが、使っている油脂の種類によっては、梅雨時期など、湿り気を帯びると油の匂いが出ます。

「あぁ。よくあるモロッコの土産物(バブーシュ)の話ね。」

いいえ、日本製の革でもです。濡らしたり、梅雨や秋の雨が続く時期とか。

うちでも、昔仕入れたある革は、梅雨時期になると、魚河岸ですか?みたいな強烈な魚の匂いがしていました。聞くところによると、イワシなんかの青魚の油を使っているんだとか。そういう素材もあるということです。

狭義でのヌメ革、広義でのヌメ革

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業界では、狭義でのヌメ革、広義でのヌメ革という考え方もあります。ここでいう狭義でのヌメ革が、既出の日本のヌメ革です。広義のヌメ革は、タンニンなめしの革全てを指してそう呼ばれています。

最初にお付き合いした革屋さんがそうであったことから、私は広義での言い方に倣うことが多いです。オイルヌメとか、型押しヌメとかと言ったりします。ヌメ革とだけ言う時は、狭義での無染色のヌメ革を指しています。わかりにくくてすみません・・・。

人によって指す革が違う場合があるというのは、やはり非常にわかりにくいので、最近私は広義のヌメ革をタンニンなめし革と呼んでいます。私がヌメって言ったらベージュ系の狭義のヌメってことですね。

オイルレザーと区別する為に、ヌメ革をオイルの入っていない革と表現する方がいますが、これは間違いです。タンニンなめしにおいて、鞣し段階で脱脂した皮は、柔らかく仕上げる為に加脂の工程が必ず行われています。仕上がった革の油分濃度が比較的低く、カサッとした質感の為誤解されやすい点です。

ヌメ革製品の扱い方

ヌメ革の製品は、とにかくデリケートです。日焼け、摩耗による光沢、傷、黒ずみ。

ちょっとした刺激が製品に残ってしまいます。

言い換えれば、その光沢や深い褐色の色合いや長年残る傷が、製品に風格を醸し出し、味わいになって、財布やバッグをより魅力的にしていってくれるとも。ヌメ革を選ぶ方の多くは、そのような雰囲気を楽しむ気持ちを持った方が多いように思います。

ヌメ革を使う高級ブランド

ヌメ革を使用した高級ブランドとしては、フランスのルイ・ヴィトンが有名ですね。

ヌメ革製品は、ありとあらゆるクレーム要因をはらんでいます。高級ブランドでありながら、今でもヌメ革を使用し続けるこのブランドは、様々な苦労と長年の研究を経て今の地位を確立したのでしょう。この点については畏敬の念を抱かずにはいられません。

 

ヌメ革の汚れを防ぐには?

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ヌメ革は経年変化を楽しめる反面、使い方によっては嫌な汚れがついてしまうことも。

私の経験から言うと、金属の粉が付いた時や、汗が付いた時がやっかいです。黒っぽく変色してしまい。容易には取れません。

汗も金属も同じような変色をすることから判断するに、もしかしたら、汗に含まれる金属が反応しているのかもしれません。

それ以外にも、使い始めはあらゆる汚れに染まりやすいので、革表面を清潔にしておくことが何より大切です。そう聞くと、「難しそう・・・。」って構えてしまうかもしれませんが、まめにブラッシングしてあげるだけでいいんです。これが一番効果的。

汚れが付いた状態で水にぬれると、水と一緒に汚れが革にしみこんでしまいます。革表面を清潔にしておけば、万が一雨に濡れても、汚れが浸透することはありません。水ジミによる影響も最低限で済みます。

こちら↓でヌメ革の扱いとお手入れについて、2019年時点での私の考えをお話ししています。

シリコンの入ったレザーケア剤“Brillo”(ブリオ)は栃木レザーのヌメ革に使えるか?

おすすめのブラシについても

革職人が選んだベストな革用ブラシに検証写真を添えて。

よろしければご覧ください。

 

定番のヌメ革は、流行り廃りに関わらず安定した需要があります。正しく扱って、自分だけの美しい革製品に仕上げていただきたいです。
ご不明な点やご意見ご感想などコメントでお寄せください。革の無料相談もコメントで受け付けております。

 

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