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ふのりと蜜蝋のコバ磨きの方法 [革職人伝授]

レザークラフト講座

ふのりと蜜蝋コバ磨きをする時の具体的な手順を説明します。

はじめてコバ磨きをする方にもわかりやすいように写真多めの構成にしています。

ふのりが手に入らない。

ふのり溶かすのめんどい。

という方は、CMCで代用しても大丈夫です。

クラフト社 革工具 CMC 70g 2246
クラフトシャ(craftsha)
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用途:コバ・床面磨き剤
この記事を書いた人
dete

・月6万人が読む革メディア『デテログ』の編集長
・レザーブランド"dete"の人
・職人歴10年/元・美容師

【デテログはこんな方向け】
・レザクラの腕を上げたい
・革のケアの腕を上げたい
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ふのりと蜜蝋のコバ磨きの方法

ふのりと蜜蝋のコバ磨き

まずは手順はざっと紹介。

ふのり蜜蝋コバ磨きの手順
  1. ふのりを煮る
  2. 下地作り
  3. ふのり磨き
  4. 蜜ろう磨き
  5. ふのり磨き二回目
  6. 蜜ろう磨き二回目
  7. 完成

この基本のやり方にそって練習していきましょう。

1、ふのりを煮る

乾燥ふのりを水で煮ます。

沸騰させると吹きこぼれるので注意!

トロトロになったら濾して、冷めたら防カビ剤を入れてビンに小分けし、冷蔵保存しましょう。

2、下地作り(重要)

まずは下地作り。ここが一番大事です。

コバを磨く前に、そもそも接着剤が薄くきれいに塗れていないとコバもきれいに仕上がりません。

こちらの記事☟で、『コバをキレイに磨く為の接着剤容器の選び方と扱い方』を紹介しています。

接着剤が薄くきれいに塗れていないときれいに仕上がりません。

コバの面を整える

2枚以上貼り合わせたコバの場合、まずカットがうまくいっていることが最低条件。

包丁の場合はよく砥ぐこと。カッターの場合は新しい切れる刃を使うこと。

カッターの使い方について詳しくはこちら☟を。

やすりだけで整えようとすると吟面だけが残ってしまうので、刃物を使ってきれいに落としましょう。

よく砥いだ切れる刃物をつかうのがポイント

面取り

カンナかヘリ落とし(エッジャー)でコバの角を取り除きます。ここもやすりだけではだめ。刃物を使いましょう。

ヘリ落としの使い方についてはこちら☟で詳しく解説しています。

やすりがけ

耐水ペーパーでやすりがけします。使うやすりの目の細かさは革にもよりますがこの段階で使うのは以下の通り。

やすりの番手(240)→ 320

段差が無くなだらかになったら下地が完成です。ここまでは、蜜蝋以外のどんな仕上げ方法も共通です。

やすりがけに使う耐水ペーパーの番手についてはこちら☟で詳しく解説しています。

https://dete-diary.com/14057/

3、コバを磨いて締める

ここから、磨きの工程に入ります。

ふのり磨き

コバにふのりを付けて乾かないうちに布で磨いて平らにします。

使う布は、Yシャツ生地のような繊維が細かくて毛羽立ちの少ない綿布がおすすめ。

裏側からもしっかり。角を丸めるようなイメージで。
少し力を入れてこするような感覚で。

台に置いて角を使って磨くとやりやすい
ふのりは予め水で煮て濾したドロドロのものを用意しておきます。

蜜蝋を溶かし込む

磨きで整ったら、蜜蝋を溶かし込んでしみこませます。

ピントあってないですがやり方は伝わると思います。

革によっては色が変わってしまうので多すぎないように注意

ネン引き

ネンを引いてコバを引き締めます。ネンは熱しながら使います。

この時の熱で蜜蝋を革の中までしみ込ませる

磨き

蜜蝋が革についた状態で布を使って磨きます。

磨く時の摩擦熱で蜜蝋が革に染み込み、余分な蜜蝋が取り去られる
これで一回目の磨きが完了です。

4、コバを磨いて締める(2回目)

2回目の磨きをします。

やすりがけ

耐水ペーパーでやすりがけします。

せっかく磨いたのにもったいないように思ってしまうかもしれませんが、これをやるかやらないかで仕上がりは大きく違います。

やすりの番手 320か400
凸凹がなくなるまで行いましょう。

ふのり磨き

コバにふのりを付けて乾かないうちに布で磨きます。

一回目のふのり磨きよりも優しめに

蜜蝋磨き

蜜蝋をコバに塗り、布で磨きます。基本的にはこれが仕上げの磨きになるので慎重に。

摩擦の熱だけで蜜蝋を染み込ませて、余分な蜜蝋が残らないように取り去る

2021年4月追記。
仕上げの蜜蝋磨きは蜜蝋を染み込ませた布を使うとやりやすいです。

やり方は、蜜蝋を布に溶かし込み、その布で優しく磨くだけ。蜜蝋ラップのような感じにします。

蜜蝋を革に溶かし込む磨き方ではなく、最後のお化粧用におすすめなオマケのテクニックでした。

完成。うまくいかない理由

うまくいきましたか?慣れればこれだけでキレイで丈夫に仕上がります。

もしうまくいかない場合に考えられる原因を羅列してみます。

うまくいかない理由
  • 接着剤の塗り方がうまくいっていない
  • 面が整っていない(カット)
  • 面取りがうまくいっていない(ヘリ落とし)
  • 磨きがうまくいっていない
  • 蜜蝋の溶かし込みがうまくいっていない
  • ネン引きがうまくいっていない
  • やすりがけがうまくいっていない
  • 仕上げの磨きがうまくいっていない

これらの原因を追究し、一つ一つ潰していく必要があります。

根気のいる作業ですが、仕上がりに大きな差が出る部分です.

やる価値は十分あるのでがんばりましょう!
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ふのりと蜜蝋のコバ磨きに必要な材料と道具

コバ磨きで使うふのり、蜜蝋、布についてお話します。

ヘリ落とし

おすすめのヘリ落としと砥ぎ方、使い方についてこちらで紹介しています。

ふのり

こういうやつです。

これを煮込んでグズグズにしたやつを布で濾して使います。ユザワヤ、東急ハンズなどでも買えると思います。

ふのりはカビが生えやすいので、容器に移す時に防腐剤を加えてカビ止めを行います。

小分け容器は小さなガラス瓶がおすすめです。

ふのりの代用品CMC

ふのりを用意するのはちょっと面倒ではあります。
やったことが無いという方は、まずはCMCを使ってみてもいいかも。
ふのりの代用品として使える食品添加物です。プロの革職人で使っている方もいます。

蜜蝋

蜜蝋 日本製

アマゾンで見つけたものですがこれとか。
そんなにこだわって選んでもコバの仕上がりに大きく影響するものではないと思います。
お肌に使うような高品質なものを使う必要はありません。

磨きに使う布はコットンで目の細かい布

磨きに使う布は、わざわざ買わなくてもいいですが、良い物に巡り合うまでは中々根気がいるかもしれません。

目が細かく毛羽立ちの少ないコットンの薄い布

が正解です。

Yシャツの生地のようなものというとイメージがわきますか?私は、近所の荒物屋みたいなお店で大量に買ったウェス(使い古しの布の切れ端)から、イメージに合った物を選んで使っています。

[使ってみたけど良くなかった物]

  • 帆布(硬すぎてコバにキズが残る)
  • Tシャツ生地(柔らかすぎる)
  • ガーゼ(毛羽がコバに残る)

クラフト社のコバ磨き布は必要?

私は使わないです。ではこれが使えない商品かというと、必ずしもそうではないです。
コバ磨きに使う布は好き嫌いがあるので、人によってはこれが最高という場合も。

ミコガイ
ミコガイ

昔はヘチマを使ったらしいです!

いろいろ試して最良な物を見つけてみるといいのではないでしょうか。

ネン

クラフト社 革工具 ネジ捻 8633
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対応巾:約1~10mm

電気ネンが便利ですが、無い場合はこのようなネンでも大丈夫です。
アルコールランプかオイルランプで先端を熱して使います。

蜜蝋を溶かすコテ

蜜蝋を溶かす時は私はコテを使います。

白光(HAKKO) アートフラワー用はんだごて 690

これだけをコンセントに差し込んでしまうと温度が高すぎて革を傷める&火事になる危険があります。必ずコントローラーをかませましょう。

同じメーカーで黒の安価なものもありますが、そちらは調節幅が狭いので、こちらの白いタイプを買いましょう。コントローラーをかませても火事になる危険はあるので注意。

その他道具についてはこちらをご覧ください。

ふのり蜜蝋コバ磨きのメリットとデメリット

メリット

  • コバが一番締まる仕上げ。
  • 硬いタンニンなめし革なら最もキレイで耐久性が高い仕上げになる
  • 傷んでからも比較的自然な見た目

デメリット

  • 傷み始めるともろい
  • 柔らかい革に力をかけ過ぎると革がよれる
  • 柔らかいクロムなめしの革では、樹脂仕上げに比べて見た目や耐久性で劣る
  • 柔らかいクロムなめしの革では、磨くのが困難で手間がかかる。

ふのり蜜蝋仕上げにもデメリットはあります。

コバの仕上げ方法はケースバイケースなので、いろいろな選択肢を用意して、適材適所で使い分けができるのが最強です。

まとめ

ざっくりと方法をおさらいです。

  1. 下地作り
  2. ふのり磨き
  3. 蜜蝋磨き
  4. ふのり磨き二回目
  5. 蜜蝋磨き二回目
  6. 完成

革のコバ磨きは、やればやるだけうまくなると思います。実際にやってみないことには感覚もつかめませんし、繰り返しやらないとコツもつかめません。

上で紹介した方法は一例です。自分だけの方法を編みだしてみるのもレザークラフトの楽しみといえるでしょう。

レッツトライです!

わからないことがあったらコメントで問い合わせてください。一緒に勉強していきましょう!

コメント

  1. 山口 より:

    ふのりについて質問です。ミコガイさんはふのりにカビ止めを使用していますか?また使用している場合どのタイミングで混ぜればいいのでしょうか?

  2. 海藤 敬一 より:

    こんにちは。
    いつもここで勉強をさて頂いております。

    質問ですが、もし可能であれば教えて下さい。
    念を入れる際にヘリ落としは必ずやったほう良いのでしょうか。
    先日、マレンマと言う革にヘリ落とし(1mm)念を2mm幅を
    入れました。

    漉いたので1.5㎜程度厚の革ですが、念が滑って外側に逃げるような
    方向に行きます。
    念を入れる場合は、ヘリ落としはケースバイケースでしょうか。
    自分自身の腕の問題もあるかもしれませんが、念を2.5㎜程度なら
    外側に逃げないような気もします。

    文面が正確にお伝え出来たか心配ですが、もし分かる範囲で結構ですので
    ご教示頂けらと思います。
    ここのサイトは本当に頼りにしています。
    宜しくお願い致します。

    • detedete より:

      お問い合わせありがとうございます。

      念が外に逃げてしまうのですね。
      引く姿を見ていないので想像ですが、次にあげる可能性が考えられます。

      • 引く方向がコバと平行ではなく外に引いてしまってい
      • 捻が歪んでいる
      • 漉きがうまくいっていない

      これらを踏まえて練習していただくといいのではないかと思いました。
      自分の姿を撮影しながら練習してみるといいです。

  3. 豊田 英甲 より:

    こんにちは。
    いつも拝見させていただいており、大変勉強になる記事ばかりです。

    そこで、蝋の仕上げについて質問なのですが、
    生成のサドルに同じやり方で磨いた後に蝋を溶かし込んだ直後は、コバが焦げ茶色になり、吟面とのコントラストが美しく、オールドのゴローズのような風合いになるのですが、時間が経つとコバの色が薄くなってしまいます。これは、普通の現象でしょうか?

    また、紹介いただいている、コテアイロンと調整器を使用しているのですが、ダイヤルを何時くらいの位置まで回して使ってらっしゃいますか?
    私は、2時くらいで使用しています。

    よろしければ教えてください!

    • detedete より:

      こんにちは。
      革に溶かしたロウは、時間がたつと結晶化して白っぽく浮いてくることがあります。もしかしたらそれが影響しているのかもしれません。

      ロウを入れてきれいに仕上げるなら染料を入れた方がいいです。この記事は無色のコバのつくり方を紹介する内容なので省いています。
      茶色と黒を用意しておけば混ぜてこげ茶も作れます。

      ローパススピラン 小 100ml 黒
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      ローパススピラン 小 100ml 茶
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      白い方の調整器なら、ネンを入れるときは12時くらい。ロウを溶かすときは2時くらいです。
      ネンは革の種類によります。
      それと、コテや調整器で多少個体差がある可能性があるので、ご自分で試した結果を信用された方がいいかと思います。

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