レザークラフトの経験はあるけど、革の選び方がいまいち自信がない
厚い革と薄い革どう使い分ければいいの?
など、革の選び方や扱い方に悩む方に役に立つ内容です。
主にレザークラフト経験者向けとして書きましたが、これから始める方にも参考にしてもらえると思います。
レザークラフトで使う革素材の選び方
- 硬さ
- 厚み
- シボの有無
- なめし
- 型押し加工の有無
- 染め
これらの要素で作るものに向き不向きがあります。
硬い革/柔らかい革で作れるもの
硬い革
硬い革は芯など使わずに平面が出しやすいのがメリット。使う時にある程度硬さを保って欲しいものに使いやすいです。
- サイフ
- 名刺入れ
- 手帳
- 外縫いの製品全般
など。
デメリットは、革の種類によっては、無理に曲げるとひび割れが起こりやすくなること。
柔らかい革
柔らかい革はその逆。
内縫い(縫ったあとひっくり返すもの)に向いている(作りやすい)のは断然こちらです。
- がま口
- ポーチ(入れる物で形が変わる)
- 体に沿うショルダーバッグ
- 内縫いの製品全般
など。
柔らかい革は、芯を入れて硬く使うこともできます。
スムース革/シボ革で作れるもの
硬い革/柔らかい革と感覚的に近いです。
硬い革の特徴をスムース革、柔らかい革の特徴をシボ革に当てはめて考えてもらって大丈夫です。
一般的にシボ革はスムース革を揉んだり振り回したり振動させたりして柔らかくほぐしたものです。
硬さ以外の特徴としては、シボは一種の模様でもあるので、キズや汚れが目立ちにくい利点があります。この特徴を生かした造りにするのもいいですね。
厚い革と薄い革|向いているもの
目安として、この記事では1.5mmくらいを境に厚い革かうすい革を分けて考えます。
プロ目線でいうと、小物職人なのか鞄職人なのかで厚みに対する考え方が違います。
厚い革とうすい革のちがい
単純に、厚みがある方が硬くなり、丈夫です。
ですが、厚みがあり過ぎると硬い、重い、見た目がカジュアル寄りになるなど制約が出てきます。
厚い革
厚い革は用途が限られますが、厚くないと作れない丈夫さやハリの強さが求められる製品用になくてはならない存在です。
- ベルト
- 大型のバッグ
- 裏地なしの一枚革製品
裏地を付けないレザークラフト的なものによく使われます。
原皮の質が良くないと厚みがある革を作ることはできず、また輸送/なめしコストが上がるため、値段が高くなる傾向にあります。
うすい革
繊細orシックに仕上げたい製品にはできるだけ薄く漉き加工した革を使うのがベターです。
- 財布
- 名刺入れ
- 裏地用
- 繊細な革小物全般
財布など小物のメイン素材として使われる他、様々な製品の裏地用としても重宝します。
ドレープを入れるような布に近い表現はうすい革でないとできないので、うまく使いこなせると可能性が広がります。
タンニンなめし革/クロムなめし革|どちらを選ぶ?
何を作りたいかで選ぶといいです。
ある程度ガッチリとしたお財布などを作りたいなら、タンニンなめし革がいいです。また、経年変化で味が出る革が好きなら、その場合もタンニンです。
キレイ目の革、柔らかい革が好きな方は、クロムなめしの方が向いているかもしれません。
レザークラフトで多く使われているのがタンニンなめしなので選択肢が多く、また手縫いしやすいのもタンニンなので、最初はそこから始めてみるとお仲間も多く、情報が得やすいです。
型押し革のメリット
レザークラフトではそれほど人気がある加工ではありませんが、型押しした革は可能性が広がっておもしろいです。
型押し革のメリットは、キズが目立ちにくいことと、自然に作るのがむずかしい複雑な模様の表現ができることです。
たとえばこんな革。
自然に出すことはむずかしい角ばったシボ模様が上品です。
他にはこんな変わり種も。
牛床型押しオイル コイン 全15色 17×12cm 1.4mm前後【メール便選択可】 [ぱれっと] レザークラフト切り革(カットレザー)革らしい自然な風合いを好む方には型押しでない革がおすすめですが、上手に使えばオリジナリティが出せたり高級感を出せたりします。
染料染め VS 顔料染め
染料がいいか顔料がいいかはデザインや用途、好みなどにより、絶対的な答えはありません。
ですが、レザークラフトでは染料革を好む方が多い印象。
その裏付けとして、クラフト用として売られている革の多くが染料染めです。
その理由として、染料染め革の経年変化の楽しさと、逆に顔料革の経年変化のむずかしさがあります。
染料染め革の経年変化
染料染め革は、透明感のあるきれいな経年変化が期待できます。
よごれもつきやすいので、お手入れをしながら使ってあげる必要はあると思います。
顔料染め革の経年変化
茶色くなった部分は、それよりも顔料がはがれて下地のヌメ革の部分が出てきたのが主な原因。
これが汚れのように見えてしまって清潔感がないです。
使い始めはいいけれど、経年変化を考えるとむずかしいのが顔料革です。
染料染め、顔料染めの革の特徴
以下の表(横スクロール可)はそれぞれの特徴です。
顔料 | 染料 | |
---|---|---|
色移りリスク | ◎低い | △高い |
変色リスク | 〇低い | ×高い |
発色の良さ | ◎良い | 〇くすみが出やすい |
経年変化の味わい (タンニン鞣し革) | △顔料の厚みによる | ◎色つやの変化アリ |
仕上がり | 傷を隠せるが平面的 | 自然の風合いが楽しめるが、 傷やシミが残る |
引用元 顔料を使っている革は悪い革?染料と顔料のメリットとデメリット
染めていないベージュのヌメ革は染料染め革と同じ特徴と考えてもらって大丈夫です。
何の動物の革がおすすめ?
どの動物の革がいいの?
まずは牛革を試してみるのがおすすめ。
他には豚革や山羊革もレザークラフトに使いやすいよ。
種類が多くて手に入りやすく扱いやすいのが牛革。なのでまずは牛革から試してみるといいと思います。
それぞれ特徴のちがいがあって楽しいですよ。
レザークラフトで使う革の選び方についてのまとめ
硬い革と柔らかい革、シボがある革とスムースの革など、製法がちがえば性質もちがいます。
それらをゆるく理解しつつ好みで選びましょう。
経年変化を楽しめるガッチリした財布を作るなら
➡シボが無いヌメ革
やわらかくて退色しにくいバッグを作るなら
➡クロムなめしの顔料染めシボ革
など。
最初はレザークラフトの情報が得やすいヌメ革を使ってみるといいと思います。
革が買えるお店については、以下リンク先でまとめています。
小売りのお店では厚み指定はカット買いができますので、用途をお店に伝えて相談に乗ってもらうのもいいかもしれません。
練習用に安い革で試してみたい方はこちらの記事☟もどうぞ。
革問屋での買い方はこちら☟
プロが使う金具屋についてはこちら☟
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