革に「味が出る」ってよく聞くけど、どういうこと?
革ってどんな経年変化するの?
そんな疑問に答えます。
- 革の味と経年変化
- 革をいい味に育てる方法
革の味は、「経年変化+使いこんだ歴史」
革の味は経年変化+使いこんだ歴史だと考えています。
- タンニンなめし革特有の色変化
- やわらかくなじむ
- 摩擦によるアタリ(ツヤ)
- シワ(履きシワ、折れシワ)とキズ
これらが合わさって成長していくのが革の魅力であり、『味』と呼ばれるもの。
タンニンなめし革特有の色変化
タンニンなめし革は、日焼けにより、元の色に赤茶色の絵の具を足したような色変化をしていきます。
※タンニンが含まれていない革、顔料で塗装した革は上記の変化はしない(わからない)です。
次の写真は、新品のイエロー(左)と使用後オレンジに近く変化した同商品(右)の比較です。
次は、レタスカラーのイタリアンレザーの経年変化。
黄緑に赤茶がまじってカーキに変化したイメージです。
次の写真は、明るいキャメルだった栃木レザーがブラウンに変化した様子です。
ベージュやキャメルのタンニンなめし革(ヌメ革)がアメ色に変化するエイジングは革好きの憧れの一つともいえます。
※濃い色の革の場合、染料や油分が抜けることで新品時より色がうすくなる場合もあります。
色変化についてくわしくは、☟の記事をご覧ください。
繊維がほぐれて柔らかくなじむ
革は繊維がからみあった構造になっていますが、使うことで繊維がほぐされ、やわらかくなじんでいきます。☝の財布は新品と4年ほど使った状態との比較。
入れたものの形に合わせてふくらみがでています。
なじむことで使いやすくなり、愛着が増していくのを実感できるはずです。
摩擦による革のアタリ(ツヤ)
摩擦により革の表面がつぶれて平らになることで、光を反射してツヤが出るようになります。
このツヤが使いこまれた味です。
タンニンなめし革は特に変化が大きいです。
※最後の靴の写真はお手入れ時に磨いたことによるツヤです。
関連記事 クロムなめし革とは?タンニンなめし革&ヌメ革との違い
履きシワ、折れシワ、キズ
革は使っていくうちにシワやキズが増えていきます。
つるつるな革にシワが入った時は悲しかった
最初のシワはショックですよね。わかります。
ですが、このシワが少しずつ全体に入っていく頃には、一つ一つのシワは目立たなくなり、全体になじんで風格が出てきます。
コードバンの靴のように、シワそのものを楽しめる製品もあります。
掲載元アカウント @masasaomondan様
履きシワがランダムに反射する光沢がうつくしいですね。
小さなシワは乾燥のシグナル?
革が乾燥すると、乾燥した革特有の細かいシワが入ってしまうことがあります。
次の写真の左は、縦方向を中心に細かいシワが入っています。
実はこれ、長い間お手入れしていなかった靴の右だけにクリームをたっぷり塗ったところ。まるで違いますね。
このシワは無い方が美しいと私は思うので、定期的にクリームを塗るメンテナンスを続けていただくことをおすすめします。
保湿効果で革も長持ちします。
クリームを塗ると、うるおいが戻って革が若々しくよみがえります。
いい味の革に育てる方法
どうすれば上手に育てられるか?について解説します。
- お手入れは超重要!
- 無理に味出しするのはおススメしない
いい味に育てる為にはお手入れが重要
いい味の革製品に育てるには、汚さずに、油分を補いながら、ゆっくり経年変化させることが大切。
その為には、ブラッシングや防水スプレーで汚れを防ぎ、クリームで保湿して適度なうるおいを保つことが必要です。
基本のお手入れ方法
- ブラッシング
- 防水スプレー
- ブラッシング
- クリーム
- 乾拭き
ブラッシングは毎日やってもいいです。
エイジングのためのお手入れ方法を☟で解説しています。
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☝こちらでは、シチュエーションごと、商品ごと、トラブルなどに合わせたお手入れ方法をまとめています。
基本のお手入れグッズ
関連記事 革職人が選んだベストな革用ブラシに検証写真を添えて。
関連記事 革小物用コンディショニングクリームの使い方とレビュー(コロンブス)
関連記事 コロニルの革用防水スプレー4種類を比較|迷ったらウォーターストップで間違いなし
基本のクリームやブラシとしてこれらを紹介しましたが、他にも良い商品はあり、シチュエーションごとにおすすめは変わります。
こちらの記事☟でグッズについてまとめています。
関連記事 革製品のメンテナンス用品まとめ|革のプロが使ったクリーム
無理な味出しはおススメしない
はやく味を出してビンテージっぽくするにはどうすればいいですか?
こんなご質問をいただいたことがあります。
気持ちはわかるのですが、味を早めるのはむずかしいというか、やらない方がいいです。
味=経年変化と考えると、それはダメージと表裏一体ともいえることですので、無理に行うと耐久性をそこなうことにもつながります。
2021年6月 日焼けとクリーム&オイルの影響を実験しました。
クリームやオイルでエイジングの仕方に変化は出るので、選び方の参考にしていただけたら幸いです。
クリームでオイルのムラ感を出すことは可能
質問者さんのいう味とマッチするかどうかはわかりませんが、クリームの選び方次第で、ヌメ革をオイルレザーっぽいムラ感にすることは可能です。
コロンブスの革小物モイスチャークリームは家具用ワックスをやわらかくしたような質感のクリームで、ヌメ革に塗るとすぐにしみこんで色が濃くなります。
塗ってすぐはムラが目立ちますが、落ち着くとオイルレザーっぽいムラ感がいい味になります。
くり返し使ってオリジナルのオイルレザーに育てる楽しみがあります。
※塗りすぎると柔らかくなりすぎて型崩れの原因になります。様子を見ながら少しずつ塗りましょう。
革の味についてのまとめ
革の味について書きました。
私が考える革の味は、経年変化と使った歴史の証。具体的に言うと、
- タンニンなめし革特有の色変化
- やわらかさ
- ツヤ
- しわ感
これらの組み合わせです。
「革の味」って定義があるわけじゃなく、使う人の好みに左右されることでもあります。
この記事ではきれいに使う方法を紹介しましたが、
ちょっと汚いくらいもアリ!
とするなら、それもいいと思います。
ただこれだけはやっていただきたいことが一つあって、それは最低限のお手入れ。
- ブラッシング
- クリーム
- 乾拭き
クリームを使う頻度は使い方によるのではっきりと伝えることは難しいですが、月1だとすこし多すぎ、年イチだともっとお手入れしてあげましょうといった感じです。
ブラッシングと乾拭きは毎日やってもいいです。
最低限ということで、防水スプレーは省きました。時々でいいので、適度に油分を補ってあげてください。
おすすめのブラシとクリームはいろいろありますが、この辺りを持っておけばいろいろな革に対応できて便利です。
抜けた油分を補わないと引き裂けや割れの原因になってしまいます。
関連記事 経年劣化|某ブランドバッグのレザーハンドルがひび割れ|原因と予防策
記事内容は以上です。
わからないところはコメントで質問してください。
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