レザークラフトを始めたけど、革のことがまだよくわかっていない。
革の良し悪しがわからない。
そんな方は、一度でいいので半裁とダブルショルダーを買ってみて欲しいです。
『初心者が半裁なんて・・・』と思うのはごもっとも。
でも、初心者だからこそメリットが大きいのです。
- 部位ごとの質のわかって製作にいかせる
- 繊維の向きがわかって製作にいかせる
- パーツに合う部位を自分で選べる
『使い切れるかわからない!』
と思うかもしれませんが、大丈夫。
革はきちんと保管すれば何年も持ちます。
大きな革を広げるスペースがない!
なるほど。でも、床に置いて必要な分だけハサミで切り出して使うこともできます。
私は6畳ほどのスペースから始めました。きっとなんとかなります笑
革の勉強をしたいなら半裁とダブルショルダーを買うといい理由
まず最初に、半裁とダブルショルダーについて、写真とゆるいイラストで解説します。
一頭のうち右半分もしくは左半分をまるまる使った革。横に長い。
一頭のうち首のつけ根から背中までの左右の肩付近を使った革。正方形に近い。
- 部位ごとのちがいがわかって製作にいかせる
- 繊維の向きがわかって製作にいかせる
- パーツに合う部位を自分で選べる
部位ごとの革質のちがいがわかる
半裁革は大まかに分けると、4つの部位に分けることができます。
- ネック(首)
- ショルダー(肩から背中にかけて)
- ベンズ(お尻から背中にかけて)
- ベリー(お腹)
ベンズは繊維が詰まっていてハリがある、ショルダーはキメ細かく傷が少ない、ベリーは繊維がゆるい、ネックは粗く硬いなど、それぞれに特徴があります。
繊維の向きの傾向がわかる
背すじに平行して伸びる、尻は縦方向、脚は脚のラインに沿うなど、それぞれに繊維の向きがあります。
この特徴をつかむには半裁革にさわるのが一番です。
くわしくはこちらで↓
パーツに合った部位を自分で選べる
パーツに合った部位から選んで使うことができます。
これはカット革では絶対にできないことです。
- ベンズ部分でストラップ
- ショルダーのトラ模様を活かしてフラップに
- 丈夫なベンズでバッグ本体を
例えばですがこのような感じ。
パーツ取りの楽しさを知って欲しいです。
半裁とダブルショルダーのメリットの違い
半裁のメリット
半裁のいいところは、良質な部位のベンズ(お尻付近)が使えるところ。この部分は繊維密度が高く丈夫です。
半裁はショルダーからベンズまで横に長い特徴がある為、この方向で長い(成牛なら2.5m以上)パーツがとれるのもメリット。
この部位は繊維の向きがほぼ真横に流れており、横に伸びにくく、ベルトにすると最高級品になります。
牛の体から革になる部分をあますところなく手にできるところもポイント。
(革でいうところの半裁というのは、一頭分の右半分か左半分が半裁)
ダブルショルダーのメリット
ダブルショルダーの良いところは、大きくて質のいいパーツがとれるところ。
どんな革でも周囲の端の部分はロスが出ますが、ダブルショルダーは一番質のいい背すじ付近がカットされていない為、丸々使えます。
背すじを左右にまたいでパーツ取りすることができるのも大きなメリット。
これにより、左右対称の性質の革が取れるので、経年劣化によるバランスの崩れが起きにくくなります。
高級なバッグはこの方法で革のど真ん中からパーツ取りします。
ダブルショルダーは、ネックやベリー(お腹)など繊維がゆるい部分や硬い部分が取りのぞかれているので、半裁に比べるとむだが少なくなります。
はじめて買うのにおすすめの半裁革/ダブルショルダー
はじめて買うのにおすすめの革、半裁やダブルショルダーの革を買えるショップを紹介します。
はじめて買うならタンニンなめしのシボ革がおすすめ
タンニンなめしのスムースは、少しでも内側に折れば線が残るし、キズも色変化も目立ちやすい。
長い間保管する前提で考えると、初心者の方には管理がすこしむずかしいかもしれません。
どこで買える?
信頼できるレザークラフトショップ、輸入代理店、革問屋、タンナー直販などから買いましょう。
楽天はイデアルさんやぱれっとさん辺りは信頼できそうですが、Amazonで出店している業者さんについては情報がありません。
楽天
楽天で半裁を扱っているお店は多くないですが、例えばパレットさんは種類が豊富。
大判の革は厚みがある状態で売られているので、使いやすい厚みに漉き加工してもらうといいかもしれません。
バッグなどに使うなら1.5~2.0mmくらい、小物なら1.0~1.5mmくらいが使いやすいです。
シボ革の半裁はあつかっていないようですが、等級を選んで買えるDY.Leatherさんのヌメ革もいいですね。
Amazon
PHOENIX
大阪の老舗のレザークラフトショップ。
革を売るプロに対して上から目線で恐縮ですが、マメに発信されているSNSやブログから判断するに、きちんと革に詳しい方がいらっしゃるんだなということがわかります。
株式会社 三昌
姫路のタンナー直販サイト
タンナー直販だけあって、他ではちょっと見かけない革やスポットらしいレアな革もあります。
その他、半裁革を扱っているお店を下記リンク先で紹介しています。クラフト用ヌメ革販売店〔ネットで買える〕まとめ|買い方と注意点
革を買う時の注意点
初めて買う方は、革の値段のしくみがわからず、とまどうことがあるかもしれません。
価格の仕組み|デシ単価とは?
革は当然ですが生き物の皮から作るものですので、個体によってサイズが違います。
なので、お店によっては、注文するまで正確なサイズと金額がわかりません。
わかっているのは、『デシ単価』という価格だけ。
革業界では、100dsとか、200デシと表記されて使われるのですが、正確にはds㎡(デシスクエアメーター)。つまり、平方デシメートルのこと。
ここで『デシ単価』に話を戻します。
デシ単価というのは10cm×10cm辺りの単価のことです。
革は個別に機械計量されているので、
デシ単価×デシ数+送料
となります。
傷、汚れと捨てる部分
革は動物の皮から作られてるものだし、タンナー(工場)から届いたままの工業製品なので、傷や汚れがほぼほぼ入っています。
よほどひどい場合を除いては、返品や交換はできません。
商売でものづくりをするとなると、こういった使えない部分のロスも計算に入れて価格設定する必要があります。
じゃあ、どれくらいロスがあるのかというと、個体差や職人の許容度にもよりますが、
最初に周囲をトリミングして15~20%、さらに内側の傷やパーツとパーツの間を取りのぞくと、30~40%くらいは使えない部分が出ます。
一度買ってみるとよくわかるはずです。
その他、革問屋をたずねるときの注意点やノウハウについてこちら☟で書いています。
まとめ
革の勉強をしたい方が半裁とダブルショルダーを買うメリットについてお話ししました。
- 部位ごとのちがいがわかって製作にいかせる
- 繊維の向きがわかって製作にいかせる
- パーツに合う部位を自分で選べる
経験を通して革の知識が入ってくるので、とてもいい勉強になるはず。
中でも、半裁を使うメリットは、ベンズ(尻付近)が使えること、ベルトに使える長くて伸びにくいパーツがとれること、革の全部位にさわれること。
ダブルショルダーを使うメリットは、背すじをまたいだ左右対称の良い部分が使えること、ロスが少ないことです。
ネットでも良い革は買えますので、情報を集めながらぜひチャレンジしてみてください。
半裁革が買えるお店は下記で紹介しています。
クラフト用ヌメ革販売店〔ネットで買える〕まとめ|買い方と注意点
コメント
なんていうか、パーツ取りの時どうしても勿体ぶっちゃうんですよね。
それで色々選ぶにはどうすればいいんですかね……
そういえばゴートとかカーフとかみたいな一枚革って部位とかどんなかんじですか?
初心者の方であればなおのこと真ん中のいいところからパーツ取りした方がいいです。
ゴートやカーフは、成牛に比べると、比較的端まで使える部分が多い傾向が強いです。
この記事みて半裁買おうと思ってるのですけど、厚みが難しいですね。
厚みごとに1枚半裁買うのが普通ですか。。?例えば1mmと1.5mm欲しい場合って、1.5mm買って、1mmのものはベタ漉きして使う感じですかね。(漉き機ないですけど)
厚みごとに半裁買うならけっこう出費てきなハードル高いですね。。
こんにちは。
半裁を二つにカットして漉き加工してくれる革屋さんもあります。
たとえば伊藤登商店さんやぱれっとさんなどです。
問い合わせてみてください。