一口に革のお手入れといっても、素材ごとにベストなやり方は違います。
この記事では、味が出るタンニンなめし革(ヌメ革)のキレイなエイジングを目指すお手入れの方法をご紹介します。
- 黒ずみや汚れの少ないきれいなエイジングが目指せる
- ひび割れを防いで革を長持ちさせることができる
ヌメ革って何?という方はこちら☟もどうぞ。
タンニン?クロム?何それと気になった方はこちら☟
革製品の美しいエイジングを目指した手入れ方法
タンニンなめし革(ヌメ革)は味が出ると革として知られていますが、汚れも付きやすく、シミになったり黒ずんでしまうことも。
そうなってしまうと美しいエイジングは望めませんし、革にいい影響もありません。
では、汚れを防ぐ為にはどうすればいいでしょうか?
何よりもブラッシング
革のお手入れで何よりも大切なのは、日頃のブラッシングです。
革を長持ちさせる為にも大切なこと。
ブラッシングを怠ると革はどうなるか・・・
また、汗に含まれる老廃物や塩分も革に悪影響を及ぼします。手に触れる財布やブックカバーなどは、特に念入りに、ブラッシングで汚れを落としてあげましょう。
良質な油脂が使われたタンニンなめし革なら、汚れさえ付かなければ自然といい感じにエイジングしていきます。
お掃除だけじゃない!ブラッシングの効果。革が美しく変身?
ブラッシングの効果は、汚れ落としだけではありません。
革のキメが整うため、軽い傷は目立たなくなり、革にツヤがでます。
エイジングするタンニンなめし革であれば、ブラッシングしてすぐに効果を実感できるはず。
継続は力なりです。こまめにブラッシングして美しいエイジングを目指しましょう。
革製品用ブラシの選び方
ブラシにはいろいろ種類があって、どれを使ったらいいのか、迷ってしまう方も多いと思います。
財布やバッグ用だったら迷わずこれ。
すこしだけ説明します。
種類と用途
気にしていただきたいのは、毛の種類。
- 豚毛
- 化繊毛
- 馬毛
- 山羊毛
一般的なのはこの4種類。
豚~山羊の毛の種類は、硬いものから順番に並べてあります。
その反面、革に刷毛跡やキズが残ってしまうリスクも✖
逆に、柔らかい毛のブラシは、繊細なキメの細かい繊細な革との相性が良く、革を傷つけることなくブラッシングができます。
化繊毛のブラシはバランスが良く、デリケートな革製品にも使えるので一つ持っておくといいです。
それぞれのブラシの用途
これらの大まかな用途としては・・・
- 豚毛・・・革靴のアウトソールのクリーニング、ワークブーツや登山靴などカジュアルな革靴のブラッシング、靴用クリーム延ばし用、カジュアルな革製品(成牛革など)のクリーニング
- 化繊毛・・・カジュアルな革靴・革製品(成牛革など)のブラッシング
- 馬毛・・・カジュアル・フォーマルの革靴・革製品(成牛革・カーフ・コードバンなど)のブラッシング
- 山羊毛・・・フォーマルな革靴・革製品(カーフ・コードバンなど)の仕上げブラッシング、特に繊細な革製品のブラッシング
メーカーや商品によって毛の硬さや太さは異なります。
より詳しい説明は、こちらの記事☟で。
きれいなエイジングの為に防水スプレーは必要?
結論から言うと、濡れやすい製品や汚れやすい製品には必要です。
防水スプレー推奨のヌメ革製品
- シザーケース
- バッグ
- 靴
特に水濡れが多く、薬品にも触れる理美容使用シザーケースの場合、たとえスプレーシミが出来たとしても、何もしないよりきれいに使えます。
対して、普通の財布や小物の場合、水濡れのリスクはあまり高くありません。
その代わり、手汗等の汚れが付きやすいです。
おすすめ防水スプレー
フッ素タイプの防水スプレーです。革に浸透して初めて効果を発揮する為、革用のクリームやオイルなどによるケアを行う前に塗布してください。
ヌメ革、ナチュラルなタンニンなめし革(TOIANOなど)では、多少のスプレー染みができます。
それでも、サロンワークでできるシミや傷みに比べれば、スプレーを使用する方がシミのリスクが低い!
防水スプレーについて詳しくは☟こちらを。

防水スプレーでエイジングが止まる!?
防水スプレーには、紫外線から革を守る成分が含まれています。
この成分が紫外線のダメージ(肌でいうサンバーン)から守ってくれるのですが、同時に害の少ない日焼け(肌でいうサンタン)も防いでしまいます。
なので、ヌメ革特有の色変化を強調したいのであれば、防水スプレーは使わないという選択肢もあり得ます。
その分汚れは付きやすくなりますので、どちらを優先するかですね。
革の手入れにクリームやオイルは必要?
革用のクリーム、ゲルなどの保湿剤は、状況に応じて適切に使用することをおすすめします。
使うタイミング
イタリアンレザーの場合、基本的に新品の”受注生産品”の革製品には不要です。
しばらく使って、革表面が少し乾いてきたかなと感じたら、薄く塗ってください。
ヌメ革や栃木レザーは最初から使ってあげた方がいいかもしれません。
※在庫品を購入した場合、保管されている間に油分が抜けている可能性があるのでクリームを使いましょう。
クリームが必要な理由
革には油分が含まれていますが、使っているうちに少しずつ抜けていきます。
抜けきってしまうとカサカサになり、ひび割れが起こる原因になります。
おススメの革用クリーム
1909シュプリームクリームデラックス
コロニルのシュプリームクリームデラックスがおすすめ
有機溶剤を使っていないから安心感もアリ。
こちら☟でヌメ革財布に使うクリームの選び方について書いています。
革小物モイスチャークリーム
コロンブスのプレミアムなクリーム。
天然成分を豊富にふくんだ油性クリームです。
オイルによって色が濃くなり、ムラ感ができるのが特徴。エイジング好きとしてはこれがたまらないです。
オイルは必要?
オイル(油分の多いケア用品)は、使いどころが難しいです。
革は、タンナーがそれぞれ独自の技術と配分で油分をコントロールして作り上げます。少ないと革が乾いたり柔軟性が足らなかったりしますが、逆に多すぎるとヘタってしまいます。
油分の多いケア用品は、商品によっては、革への影響が大きすぎてしまい、塗ることで革製品の寿命を縮めてしまうことも考えられます。
そもそも、革のエイジングって?
一般的に言われる革のエイジングは、ヌメ革のあめ色への変化です。
ベージュのヌメ革が深い茶色になり、艶々とした独特の光沢を放ちます。
なぜ艶が出るのか?
表面の凹凸がつぶれ、平らになることで光沢が出ます。
これには、タンニンなめし革の特有の、”可塑性(かそせい)が強い”という性質が寄与しています。
可塑性とは・・・固体に力を加えて弾性限界を越える変形を与えたとき、力を取り去っても歪(ひず)みがそのまま残る性質。塑性。
タンニンなめし革は、摩擦や圧などの影響が後々まで残ります。その為、よく擦れる部分はどんどん平らに潰れて、早い段階で艶が出ていくのです。
なぜ色が変わるのか?
ベージュのヌメ革が褐色に変化していく理由はいくつかありますが、美しいエイジングとされるのは、摩擦熱による焼けと、紫外線による日焼けです。
これらは、革に含まれるタンニン(渋)によるものです。
タンニンを多く含む無垢素材の家具なども、使い込むと深い色合いに変わっていきますね。それと同じ作用が革にも起こっています。
革製品のエイジングを目指した手入れ方法まとめ
きれいなエイジングの為のケア方法は、何よりも汚れをためないこと!
汚れを溜めない為には、マメなブラッシングが効果的です。
そして、必要に応じて防水スプレーとクリームを。
革製品は、使いこんではじめて完成するもの。
適切なお手入れを続けて、お気に入りの革製品を少しでも永く愛していただければ幸いでございます。
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