革製品ブランドdete®の代表ミコガイが革になる動物とその革20種類の特徴についてお話します。
日本で出回っている革の中で、比較的手に入りやすいものを中心に掲載しました。
どんな動物の革があるの?
動物がちがうと革質もちがう?
などをテーマにお話しします。
本題に入る前に、「革って何?」についてちょっとだけ触れておきましょう。
革というのは、皮を腐らないように加工したもののことを指します。
革と皮は別物だったんだね。
なめしっていうのは?
皮を加工して革にする工程のことだよ。
別記事でくわしく触れているよ。
関連記事 革と皮の違いとは?革の製法や加工法も紹介
革についてはざっくりわかってもらえましたか?
お待たせしました。どんな動物の革があるのか?の本題に入りましょう。
〈ほ乳類の革〉どんな種類があるの?
私が扱ったことがある革、目にした事がある革をズラッと載せます。
- 牛革
- 豚革、イノシシ、ペッカリー
- 山羊革
- 羊革
- 鹿革(ニホンジカ)、キョン、エルク
- 馬革
- ラクダ革
- バッファロー革
- センザンコウ革
- シールスキン(アザラシ革・オットセイ革)
- クーズー革
- カバ革
- 象革(アフリカゾウ)
他にも、熊、カンガルーなど様々な動物の革が存在します。
※現在、捕獲や輸出入が禁止されている革も掲載しています。
牛革
学名、和名:ウシ / Bos taurus
革の呼び方:牛革、ベビーカーフ、カーフスキン、キップ、ステアハイド、カウハイド、ブルハイド…etc(生育期間や性でよび名が変わる)
使いみち:くつ、財布、バッグ、衣類、家具、車の内装などあらゆる革製品に。
主な原産地:北米、オーストラリア、ヨーロッパなど
サイズ :自動販売機2台分 – 450~600ds㎡/1頭(成牛)
特徴:肉牛の皮が原料。供給量が多く、世界でもっとも多く使われている革素材。厚みがあり(最厚7mmほど)サイズも大きく丈夫な特徴を生かして幅広く使われている。安価な製品から最高級品まで。
日本で革といったら牛革がほとんど。
半裁(半頭分)の大きさは、なんと自動販売機と同じ(!)くらい。
ツルツルの革や自然なシボシボの革、型押しなどいろんな仕上げ方法があります。
関連記事 牛革はどんな革?《写真多数アリ》特徴、種類、手入れ方法
コブウシ
学名、和名:コブウシ / Bos primigenius indicus
革の呼び方:牛革、コブ牛革など
主な原産地:バングラディッシュ、インド、パキスタンなど
サイズ :自動販売機1台分 – 200~300ds㎡/1頭
特徴:肩付近にコブがあるため、革にすると穴が空く。
コブウシの革を牛革として販売している場合も。ふつうの牛革よりも安価です。
豚革
学名、和名:ブタ / Sus scrofa domesticus
革の呼び方:豚革、ピッグスキンなど
使いみち:バッグ、衣類、くつ、財布など
主な原産地:日本など
サイズ :広げた新聞紙2枚分くらい – 120~150ds㎡/1頭(成牛)
特徴:三つ並んだ毛穴が特徴。軽く、うすくしても丈夫、透湿性が高いなどの特徴を生かした利用がなされることも(内貼り、くつの内装など)。日本は世界有数の豚革、豚原皮輸出国。牛革よりも繊維が細かいため、バッフィングすると美しいスエードになる。
毛穴が特徴的です。日本の豚革は海外での評価も高い素材。日本で食べた豚の皮が日本で革になり、リアル地産地消できる素材でもあります。
脇役に甘んじることが多く(?)再評価が待ち望まれる立場。がんばれ豚革!
関連記事 豚革(ピッグスキン)はどんな革?特徴、構造、種類をわかりやすく解説
イノシシ革
日本の野生のイノシシの皮をなめした革。
豚革の亜種と考えてOKです。野山を駆けてまわる野生動物ですから、傷が多くワイルドな革に仕上がります。
ジビエ革として注目が集まっています。
ジビエレザーについては、別記事の
ジビエレザーって何?品質、メリット、問題点、買えるお店解説
でくわしくお話ししています。
ペッカリー革
イノシシの仲間です。主にヨーロッパで高級手袋などの素材として利用されています。
画像引用元 楽天市場
山羊革
学名、和名:ヤギ / Capra hircus
革の呼び方:山羊革、ゴートスキン(英)、シェーブル(仏)など。子ヤギはキッドスキンと呼ばれる
使いみち:くつ、バッグ、財布など
主な原産地:アフリカ、中東、南アジアなど
サイズ :広げた新聞紙1枚分くらい – 35~80ds㎡/1頭
特徴:軽く、薄く加工しても丈夫。表面の凹凸が深く、独特のシボを活かした加工は高級品にも。山羊革のスエードは手ざわりが上質です。
薄く加工してもとても丈夫なので、小物用としては最高な素材の一つとデテログは考えています。小さいので大きなバッグやベルトなどに使うのはむずかしい素材。
とてもしなやかな革ですが、アルラン社のシュリーのようにコシが強い革もあります。
関連記事 ALRAN (アルラン社)の山羊革”シュリー”(シェーブル)ってどんな革?
関連記事 もっとくわしく知りたい方は、山羊革(ゴート)ってどんな革?羊革とのちがいもぜひご覧ください。
羊革
学名、和名:ヒツジ / Ovis aries
革の呼び方:羊革、シープスキン。子羊革はラムスキンと呼ばれる。
使いみち:バッグ、衣類、手袋など
主な原産地:アフリカ、南アジア、オセアニアなど
サイズ :広げた新聞紙1枚分くらい – 35~80ds㎡/1頭
特徴:キメの細かさとしなやかさを活かし、高級手袋やバッグ、衣類などに利用される。
羊毛利用されるウールシープよりも、熱帯産で毛足の短いヘアシープの方が革としては上質になる。山羊革に似た見た目。
キメが細かく凹凸の少ない繊細なシボとしなやかさが特徴です。
うすいわりに丈夫な素材ですが、山羊革に比べると見劣りする革が多いように思います。
ヘアシープ(毛の短い羊)に比べてウールシープ(羊毛利用される羊)の革は品質が劣ると書きました。この差の要因の一つに、ウールシープが持つ皮下脂肪があります。
ウールシープは、原皮の表層(乳頭層)と深層(網状層)の間に皮下脂肪があるのですが、なめす段階で取り除かれるため、この部分にすき間ができてしまうのです。
このすき間が、層の分離を引き起こし、銀浮き(革表面が浮いたようになってしまう現象)を引き起こしてしまいます。
関連記事 もっとくわしく知りたい方は、山羊革(ゴート)ってどんな革?羊革とのちがいもぜひご覧ください。
鹿革
学名、和名:ニホンジカ / Cervus nippon (ホンシュウジカ、エゾシカ、ヤクシカなどふくむ)
革の呼び方:鹿革、ディアスキン (Deer skin-雌鹿革) 、バックスキン(Buck skin-雄鹿革)、セーム皮など
使いみち:バッグ、衣類、財布、セーム皮など
主な原産地:日本、中国など
サイズ :広げた新聞紙2枚分くらい – 100~150ds㎡/1頭
特徴:クロムなめしの鹿革はとてもしなやかで、ふわふわした手ざわりは他の革では味わえない。
国内の鹿革の多くは国内で捕獲された野生の鹿原皮が使用されている。セーム皮にも。
日本で古来から作られてきた唯一の革。
用途は、古くは蹴鞠(けまり)、鎧、足袋、紙入れ、さらには火消しの親方が着る革羽織にも使われてきました。
白なめし、脳漿なめし、燻煙なめしなど、今ではあまり行われなくなった貴重な製法で作られた鹿革の道具は、博物館などで見ることができます。
関連リンク 印傳博物館
キョン(セーム皮)
学名、和名:キョン / Muntiacus reevesi、エゾシカ、ヤクシカなどふくむ)
革の呼び方:セーム皮
使いみち:セーム皮など
主な原産地:日本 (千葉県の一部や伊豆大島など) 、中国など
特徴:おもにセーム皮として利用される。キョンはセーム皮の原料としては最高級。動物園から逃げ出した個体が野生化して繁殖した。特定外来生物。
セーム皮は鹿革を油でなめした革で、ガラス製品のお手入れや掃除、工業用途などで使われています。
掃除用としてわが家でも愛用しています。
エルク革
画像引用元 楽天市場
ヘラジカやアメリカアカシカなどの大型の鹿の革。
※牛革を加工してエルク革に似せたものをエルクと呼ぶ業者もいるようですが、本物のエルク革ではありません。
馬革
学名、和名:馬 / Equus ferus caballus
革の呼び方:馬革、ホースレザー、ホースハイド。
使いみち:衣類、バッグ、財布など
主な原産地:ヨーロッパなど
サイズ :自動販売機2台分くらい – 450~600ds㎡/1頭
特徴:しなやかさとワイルドさをあわせ持つ革。銀面(表面)の凹凸は少なく、スムースな革に仕上がる。
大きさの割に厚みは取れないが、同じ厚みにそろえると強度は牛革以上とも。
馬革のお尻部分の「深層」をけずって磨いたのがコードバン。最初に考えた人すごい。
ふつうの馬革とはケタ違いの高級品です。
ラクダ革
学名、和名:ラクダ / Camelus
革の呼び方:ラクダ革
使いみち:衣類、バッグ、財布、靴など
主な原産地:エジプトなど
特徴:傷を隠すためスエードやヌバックに加工されることも多い。
かつてのラクダ革は、日本に持ち帰るとニオイが気になることがあったようです。
アフリカの乾燥した気候と日本の高温多湿の気候とでは、ニオイの広がり方もちがってくるのですね。
最近は、数は多くないですが、日本で使うことを想定した(もしくは日本でなめした)ラクダ革も販売されているようです。
バッファロー
学名、和名:アジアスイギュウ / Bubalus arnee
革の呼び方:バッファロー
使いみち:バッグ、財布、靴など
主な原産地:東南アジア、南アジアなど
本来、バッファローはスイギュウ(アジアスイギュウ)を指す言葉だったが、今ではウシの仲間を総じてバッファローと呼ぶ場合があるようです。
バッファロー (buffalo) は、本来はアジアスイギュウのこと[要出典]である。しかし、他にもウシ族のさまざまな種がバッファローと呼ばれ、特にアメリカ合衆国やカナダの一部ではアメリカバイソンを指す呼称として一般的となっている。
引用元 ウシ族 – Wikipedia
実際革の業界でも、バッファローの革が厳密にどの動物の革なのかはあまり語られてこなかったように思います。
deteであつかっているこのバッファローはインドでなめされた革なので、恐らくスイギュウ(アジアスイギュウ)の原皮を使った革だと思われます。
牛革よりも銀面の凹凸が深い印象。
繊維が緻密でとてもいい革でした。
センザンコウ革(商取引禁止)
学名、和名: センザンコウ / 穿山甲 / Pangolin
革の呼び方:センザンコウ革
使いみち:バッグ、ベルト、財布など
主な原産地:アフリカ大陸、インドから中国南部やボルネオにかけてなど
特徴:ウロコがインパクト大のエキゾチックレザー。食用や薬用、魔除けとして利用された結果乱獲が起こり、絶滅危惧種に。センザンコウ全種がワシントン条約付属書Ⅰ(商用利用不可)指定。
鱗甲目(りんこうもく)という種類の唯一の動物。
2021年現在、センザンコウはワシントン条約の規制における付属書Ⅰ(学術研究用に許可を得たもの以外の商取引禁止)に指定されています。
すでに持っている方は大切にしましょう。
シールスキン(アザラシ革・オットセイ革)
学名、和名:タテゴトアザラシ(ハープシール) / Pagophilus groenlandicus
ワモンアザラシ(リングシール) / Pusa hispida
ミナミアフリカオットセイ(ケープシール) / Arctocephalus pusillus
革の呼び方:アザラシ革、オットセイ革、シールスキン
使いみち:衣類、バッグ、財布、靴など
主な原産地:北太平洋、カナダ、グリーンランドなど( タテゴトアザラシ )、北極海全域(ワモンアザラシ)、アフリカ南部など(ミナミアフリカオットセイ)
サイズ :約13ds㎡/ハープシール1頭
特徴:網目のように入り組んだ独特のシボもようが特徴。毛皮としても使われる。
革の業界では、アザラシ、オットセイ、アシカなどの鰭脚類の革をまとめてシールスキンと呼んでいる。
ミナミアフリカオットセイはワシントン条約付属書Ⅱ(商用利用可)指定。
画像引用元 楽天市場
象革ともちがうしカバともちがう。唯一無二の雰囲気といえる革です。
クーズー革
学名、和名:クーズー / Tragelaphus strepsiceros
革の呼び方:クードゥ革、クーズ―革
使いみち:財布、靴など
主な原産地:アフリカ大陸南部
特徴:スエードとしてはなめらかな手ざわりが楽しめる。銀面(表)は、野生動物ならではのキズがあり、リアルレザーの醍醐味を味わうことができる
クーズーの革はあまり一般的ではありませんが、高級スエードで有名なCharles F Stead社がなめしたスエードが出回っています。
本来はスエード面(裏)を使う革なのですが、野生ならではのキズを活かしたワイルドな表面(ヌバック)使いが人気です。
スエードとヌバックのちがいについては、スエード、ベロア、ヌバック、バックスキンのちがい|起毛革の特徴をわかりやすく解説をご覧ください。
アフリカゾウ革
学名、和名:アフリカゾウ / Loxodonta africana
革の呼び方:象革、エレファント
使いみち:財布、バッグ、くつなど
主な原産地:サハラ砂漠以南のアフリカ大陸
サイズ :大きいため、ボディの一部、耳、鼻など、パーツごとの販売になるため不明
特徴:全体に粒状の突起がある独特の質感。素材の表情を活かした仕上げが多く、牛革や山羊革のようなバリエーションはありませんが、それでも圧倒的な個性を発揮しています。
銀面の凹凸が深く、ボディは網目状にシワが走っています。銀面をけずってヌバックにする場合もあり。
しなやかでありながら引き裂きに非常に強い素材。
非常に高価。
ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ産アフリカゾウはワシントン条約付属書Ⅱ(商用利用可)。
圧倒的な存在感と自然の妙味!
部位ごとの表情のちがいが大きく、天然素材ならではの醍醐味を存分に味わえます。
引き裂きや引っ張りへの強さもアピールしたいポイント。
※アジアゾウはワシントン条約付属書Ⅰにリストアップされていて商取引不可です。
商取引の可否は産地によるのと、どこに輸出するかにもよります。
【革・皮】…ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、南アフリカ産の輸出入は可能
引用元 象革ってどんな革?
【革製品】…ナミビア、ボツワナ、南アフリカ産は輸出入可能
より詳しい話は、関連記事 象革ってどんな革?でお話しています。
カバ革
学名、和名:カバ / Hippopotamus amphibius
革の呼び方:カバ革
使いみち:財布、バッグ、くつなど
主な原産地:北部をのぞくアフリカ大陸
サイズ :大きいため、ボディの一部、耳、鼻など、パーツごとの販売になるため不明
特徴:カバの革は表皮をとりのぞいてからなめすため、ヌバックやスエードの仕上げになる。
網目状のシワが走り、象のボディの革と似ている。
非常に高価。
ワシントン条約付属書Ⅱ(商用利用可)。
画像引用元 楽天市場
ぱっと見、象革のようなシールスキンのような見た目。
象革よりもさらに流通量は少なくレア度は高いですが、知名度が低く需要も少多くないかも。
次はエキゾチックレザーの代表、爬虫類革について解説します。
〈爬虫類の革〉の種類
- ワニ革(クロコダイル・アリゲーター・カイマン)
- トカゲ革(リングマークトカゲ・テジュー・ジャクルシー)
- ヘビ革(水ヘビ、コブラ・ニシキヘビ)
爬虫類革は、革のお腹を中心に使うバックカット(背中に切り目を入れる)と、背中を中心に使うベリーカット(お腹に切り目を入れる)があります。
ワニ革
ワニ革として使われるワニはクロコダイル科とアリゲーター科に分類され、アリゲーター科はアリゲーター亜科、カイマン亜科に分けられます。
革界では、クロコダイル、アリゲーター、カイマンはそれぞれ別物とされていますが、総じてワニ革と呼ぶのはアリという空気です。
ワニ革は、背中側と腹側の印象のちがいが大きいのが特徴です。背中はゴツゴツしたゴジラのようなワイルドな見た目なのに対し、腹側はおとなしく品が良い革に仕上がります。
お腹を使う腹ワニが一般的ですね。背ワニはゴツゴツでゴジラみたいで使いどころがむずかしい。
クロコダイル
代表的な4種を紹介。
学名、和名:イリエワニ / Crocodylus porosus
ニューギニアワニ / Crocodylus novaeguineae
ナイルワニ / Crocodylus niloticus
シャムワニ / Crocodylus siamensis
革の呼び方:ワニ革、クロコダイル、クロコ
イリエワニ / スモールクロコ、ポロサス
ニューギニアワニ / ラージクロコ
ナイルワニ / ナイルクロコ、ニロティカス
使いみち:財布、バッグ、ベルト、時計バンドなど
主な原産地:東南アジア、オセアニア、アフリカなど
サイズ :横になった大人の身長くらい / 1頭
特徴:背を割っておなかを使う腹ワニと、腹を割って背を使う背ワニとの2種類の使い方がある。
腹ワニは、特有のきれいにならんだウロコ(腑)が特徴。お腹は四角い腑なのに対し、横腹にかけて丸みを帯びた腑へと変わっていく。
クロコダイルはどれも非常に高価だが、中でもスモールクロコが最高級。ラージクロコ、ナイルクロコなども高級品に。
ラージクロコは今でも野生の原皮が利用されるが、その他のクロコダイルの多くは養殖。
高級品の代表格。
バブリーなツヤツヤのグレージング仕上げとマット仕上げがあり、最近はナチュラルなマット仕上げが人気ですね。
腑の小さいスモールクロコが最高級と言われています。
某ブランドのスモールクロコのハンドバッグは、限られた顧客だけが手にできる希少品。
アリゲーター
画像引用元 楽天市場
もっとも多く(頭数)利用されるワニ革。(2016年)
アリゲーターの革をクロコダイルと表記することはできません。
カイマン
メガネカイマンの目がキュート。
カイマンの革をクロコダイルと表記することはできません。
トカゲ革
2021年現在、商取引可能なトカゲは9種類あります。
国内で主に取引されているのはミズオオトカゲ(リングマークトカゲ)です。
リングマーク以外はあまり一般的ではないですが、トカゲの写真が美しいのでしっかりめに特集しておきますw
ミズオオトカゲ
学名、和名:ミズオオトカゲ / Varanus salvator
革の呼び方:リザード、トカゲ革、ミズオオトカゲ、リングマークトカゲ
使いみち: 財布など小物類、時計バンド、ハンドバッグ、ベルトなど
主な原産地:東南アジアなど
サイズ :幅25~35cmくらい / 1匹 腹回りのサイズで値段が決まる
特徴:トカゲ革の最高級品。
名前のとおり輪状の模様があり、これを残した染色方法と、脱色して除去した染色方法がある。
うろこの形は、背中は丸い粒、腹は四角い腑で構成されていて、どちらを生かすかでワニ同様バックカットとベリーカットから選ぶことになる。
国内でトカゲ革といったらこれがほとんど。
ヘビ革同様とてもうすいので、基本的に裏に革や布を貼って補強して使います。
トカゲ革についてさらに詳しくは、関連記事 リングマークトカゲ革(リザード)の知識|魅力と特徴をたっぷり解説で解説しています。
ナイルオオトカゲ
学名、和名:ナイルオオトカゲ / Varanus niloticus
革の呼び方:リザード、トカゲ革、ナイルオオトカゲ、アフリカトカゲ
使いみち:財布など小物類、時計バンド、ハンドバッグ、ベルトなど
主な原産地:北西部の砂漠をのぞくアフリカ全域
テグー
画像引用元 楽天市場
ワニ革のようにボリュームがあって美しい腹の腑(うろこ模様)が特徴で、背を割って腹を使うバックカットが多用されます。
ジャクルシー
学名、和名: ジャクルシー / Dracaena guianensis
革の呼び方:ジャクルシー、カイマントカゲ
使いみち:財布、時計バンド、小物類
主な原産地:南米
特徴: ワニのようなイカつい背鱗板(背中のウロコ模様)が特徴。背のもようを活かしてベリーカット(腹を割って背を使う切り方)で使われることが多い素材。
画像引用元 楽天市場
パッと見、ワニ革に見えなくもないゴージャスな革。
レア度で言えばクロコダイル以上です。
ヘビ革
日本では縁起がいいとされ、お金が貯まる財布用として人気があります。
ヘビ革もワニ革やトカゲ革同様にベリーカットかバックカットかで表情がまるで異なります。
どんなヘビが革に使われるのか見てましょう。
ニシキヘビ
アミメニシキヘビ、ビルマニシキヘビ、ヒイロニシキヘビなどが利用されていて、種類によって模様が異なる。
学名、和名:アミメニシキヘビ / Python reticulatus
ビルマニシキヘビ / Python molurus
ヒイロニシキヘビ / Python curtus
アフリカニシキヘビ / Python sebae
革の呼び方:ヘビ革、パイソン
アミメニシキヘビ / ダイヤモンドパイソン
ビルマニシキヘビ / モラレスパイソン
ヒイロニシキヘビ / レッドパイソン
アフリカニシキヘビ / アフリカパイソン
使いみち:財布、小物類、ベルト、ハンドバッグなど
主な原産地:東南アジア、南アジア、アフリカなど
サイズ :幅30cm~40cmの細長い帯状
特徴:ヘビ独特のもようを残す染色方法と、脱色して一色に染め上げる染色方法の2種類がある。
とてもうすい革なので、一般的に他の革や布を貼って補強した状態で使う。
画像引用元 楽天市場 モラレスパイソン
画像引用元 楽天市場 レッドパイソン
ヘビ革単体ではうすくて弱いですが、他の革を裏打ちすることでとても強い革になります。
その他のヘビ革
水ヘビやコブラなどの革もあります。
下の写真は、青緑系のヤスリヘビ(カロング)と、イエロー系の謎の水ヘビを使っています。
ヤスリヘビは名前の通りザラザラした手ざわりに驚きます。
ヘビ革は好みは分かれますが、好きな方は本当に好きですよねぇ。
〈鳥の革〉の種類
- ダチョウ(オーストリッチ・オーストレッグ)
- レア
ダチョウ
学名、和名:ダチョウ / Struthio camelus
革の呼び方:オーストリッチ
使いみち:財布、バッグ、くつなど
主な原産地:アフリカ大陸
特徴:ボディの皮はオーストリッチ、脚の皮はオーストレッグになり、全く別の特徴を持つ。羽毛はよく見る掃除用ハタキに。羽根を抜いた跡の突起(クイルマーク)が特徴。
オーストリッチは、全体を同じ色で染めたクラシックフィニッシュと、ブラッシングしてツヤをあたえてクイルマークを強調したサドルフィニッシュがある。
オーストリッチ
クイルマークはオーストリッチ全体の40%程度と言われています。
見える部分にクイルマークを使い、見えない部分や裏地にクイルマークがない部分を使うのが一般的です。
革の仕上げ方法には主に2種類あって、クラシックフィニッシュとサドルフィニッシュです。
クラシックフィニッシュは単色で染色・塗装したもの。対するサドルフィニッシュは、タンニンの性質を活かし、突起部分だけに摩擦を加えて色変化&ツヤだしした仕上げです。
オーストレッグ
文字通りダチョウの脚です。インパクトがすごくて好みがわかれる素材ですね。
レア
学名、和名:レア / Rhea americana
革の呼び方:レア、アメリカダチョウ
使いみち:財布、バッグなど
主な原産地:ブラジル北東部からアルゼンチン中央部にかけてのパンパス地帯
サイズ :広げた新聞紙1枚分くらい – 40~50ds㎡/1羽
特徴:オーストリッチ同様、羽根を抜いた跡の突起が特徴だが、オーストリッチに比べると小さく凹凸も目立たない。
参考文献 エキゾチックレザーの基礎知識 発行-全日本爬虫類皮革産業協同組合
レアは私はまだお目にかかったことがありません。
〈魚の革〉の種類
- サメ革
- エイ革
- イール革(ヨーロッパのウナギ)
サメ革
学名、和名:ヨシキリザメ / Prionace glauca
革の呼び方:鮫革、シャークスキン
使いみち:財布など小物類
主な原産地:日本。気仙沼産が有名
特徴:流れるような網目状の模様と凹凸が特徴。大型の鮫になると凹凸も大きくなる。
日本で主に革になる種類はヨシキリザメ。
他にヨゴレ、クロトガリザメ、アオザメ、海外ではホオジロザメやイタチザメなどがサメ革として使われ、革として利用されるサメは20種ある。
気仙沼産のサメ革は評価が高いです。
次で紹介するエイ革同様、サメ革もリン酸カルシウム質に覆われています。この硬いツブツブをいかし、わさびのおろし金に使われた時代もありました。
現在のサメ革は、リン酸カルシウム層を除去してからなめしています。
エイ革
学名、和名:アカエイ / Dasyatis akajei
革の呼び方:エイ革、スティングレイ、ガルーシャ、シャグリーン、鮫革(旧)
使いみち:財布など小物類、時計バンド、ハンドバッグ、高級家具、剣道の防具やかつては刀の柄などの装飾品として
主な原産地:東南アジアなど
サイズ :A4~B4くらい – 6~9ds㎡前後 / 1匹
特徴:歯と同じ成分のリン酸カルシウムでできた丸い突起が特徴。革の宝石とも。
リン酸カルシウムの突起は、刃が欠けるくらいにカチカチ!
かつて日本ではこのエイ革が鮫革と呼ばれていました。こだわり派の武士に愛され、刀の柄や胴の素材としても愛用されてきた歴史があります。
今でも装飾的な高級品として、財布になったり時計バンドになったりと。
アカエイの学名にも注目!akajei(アカジェイ)これって「アカエイ」!?。
エイ革についてくわしくは、関連記事 エイ革(ガルーシャ)ってどんな革?|特徴、加工、不人気(?)な理由をマルっと解説をご覧ください。
イバラエイ革
星形のもようが特徴のエイ革。
画像引用元 楽天市場
自然の神秘を感じる革ですね。
番外編 鮭皮
アイヌ民族の間で作られてきた、 チェプケリという鮭皮の靴があります。
革じゃなくて皮?
ここで紹介する鮭皮は、あえて革じゃなくて皮と書いています。理由は鞣していない生皮だから。
つまり、鮭の皮を乾かしただけの素材を使っています。
腐るんじゃ?
普通なら腐るでしょうね笑
でも、北海道の冬なら腐ることはありません。一冬越せる丈夫な靴が作れたということです。
こちらのアイヌ生活文化再現マニュアル -縫う-で写真や作り方が見れます。
どの革でも同じような製品がつくられる理由
20種ほど紹介しました。
長かったね。
それだけいろんな革が使われているっていうことだね。
用途のことで一つ気になったんだけど、ほとんどの革が財布やバッグなんかに使われてるみたい。革ごとに向き不向きはないってことかな?
実は、ほとんどの革素材は、作り手の工夫次第でどんな用途にも使えるんだ。
ここで一つ問題になるのは、革の大きさと厚み。小さい革では作れない物があるのと、薄い革を補強するのには限界があるから、汎用性の点では大きくてぶ厚い牛革にアドバンテージがあるっていうことだね。
あとは、柔らかい羊革や馬革は、手袋や衣服に使われることが多いのも特徴。
革になる動物とならない動物
革になる動物はわかった。他の生き物は革にならないの?
ここで紹介していない動物や魚や鳥の皮も革にすることはできるよ。
多く出回っている革は、肉が流通している家畜だからという大人の事情があったり、加工しやすかったり、素材としての魅力があったりします。
この記事は以上です。革についてすこしでも興味を持ってもらえたら、革職人としてとてもうれしいです。
革についてもっと詳しくなりたい方は、革についてのブログ記事まとめからご覧ください。
参考文献 エキゾチックレザーの基礎知識 発行-全日本爬虫類皮革産業協同組合
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