ヌメ革(タンニンなめし革)は、日焼けや摩擦熱によって色が変わる特徴があります。

どんな色に変化するの?

ベージュ以外の革はどう変わる?たとえば緑とかグレーの革は?
そんな疑問にお答えしていきます。
そもそもヌメ革って何?という方はこちら☟もご覧ください。
ヌメ革(染料染め)の色変化。ベージュはアメ色(茶色)に。では緑は?グレーは?

早速ですが、正解とその他の色の変化は以下の通りです。
ヌメ革の色変化イメージ
- ベージュ➡茶色
- 緑➡オリーブ➡茶色
- グレー➡トープ➡茶色
- 青➡緑➡オリーブ➡茶色
- 黄➡オレンジ➡茶色
- 赤➡赤茶➡茶色
- 茶色➡茶色
- 黒➡黒
まとめると以下のようになります。

色変化するヌメ革と色変化しないヌメ革の違い
基本的にヌメ革は色変化するものですが 、中にはあまり色変化しない物もあります。
例えば以下のようなもの。
- 顔料塗装がしてある
- 特殊な色止め加工がしてある
このような革の場合、先ほどの色変化イメージは該当しません。
たとえばこんな革。
7年くらい前、彼女(現妻)にプレゼントしたイルビゾンテの財布です。
— dete® (@mkgx81) June 11, 2021
この革、使い込んでも赤の色味があまり変わらない割に摩擦で黒ずみは起きる。コバは切り目じゃなくヘリ返しです。クロムが入ってるのか?そういう色止めがなされているのか?
古い財布は教材にして最後まで使い尽くしましょう。 pic.twitter.com/p0OBqdRPCY
染料染めの普通のタンニンなめしの赤い革だったら、数年使えば赤みが減って茶色に近くなるはず。
イルビゾンテのこの革は、何らかの色止めがなされているか、そもそもタンニン100%ではなくクロムが入ったコンビなめし革なのかもしれません。
ずばり、ヌメ革のおすすめの色(経年変化込み)は?
- グリーン
- キャメル
- ワイン
- (次点)ネイビー
意外かもしれませんが、おすすめはグリーンです。
グリーンが一番おすすめな理由は、退色しても雰囲気のあるオリーブ色になるケースが多く、ずっといい色を保ってくれるから。
↑の写真は、右側の黄緑の革がどう変化するかを比較したもの。左のオリーブも渋いですよね。
キャメルは、すっぴんのヌメ革ほどは汚れが目立ちにくく、それでいてがっつり変化する過程も味わえます。
ワインとネイビーの選考理由はグリーンと同じ。色変化の途中で変な色になりにくいです。
あまりおすすめできない(色変化については)色は?
逆におすすめできないのは、明るくて鮮やかな水色~ラベンダーのような色。
理由は、これらの色が赤~黄色と補色関係にあるため、経年変化が元の革の色を打ち消してしまうからです。
補色(ほしょく、英: complementary color)とは、色相環 (color circle) で正反対に位置する関係の色の組合せ。 相補的な色のことでもある。
これは色相環というもので、色の要素の一つである色相の関係を表しています。

色相って何?むずかしい

青っぽいとか赤っぽいとかの色味の要素のことです。
色相(色味)・彩度(色の濃さ)・明度(明るさ)の3要素で色は決まります。
色相環の中で反対側にある色が補色関係にあります。
例をあげると、赤の反対は水色、むらさきの反対は黄緑といった具合。
話をヌメ革の方に戻します。
まとめるとこうなります。
ここで書いたおススメ云々というのは、あくまでも私個人の偏見です。
また、明るくて鮮やかなブルーでも、経年変化以外の部分は良い革がたくさんあり、うちでも扱っています。
革の種類によっても色変化の仕方は違うので、あくまでも一般論として読んでいただけたら幸いです。
ヌメ革を『早く色変化させる方法』と、『色変化させない方法』

ヌメ革ファンには二通りの方がいます。
『できるだけ早く色変化させたい層』と、『できるだけ色変化させたくない層』に分けることができます。

アメ色の革大好き。早く良い味出したい。

ベージュがきれいだから元の色から変わって欲しくないな。
それぞれの方に役立つ内容です。
なる早で色変化させる方法
- とにかく使う
- 防水スプレーはNG
- 適度な日光浴(ベージュのヌメ限定)
とにかく使う
ヌメ革は摩擦で色が変わり、光沢が出ます。
最初は小傷やへこみなどが目立つかもしれませんが、次第にそれらが馴染み、味わいが増していきます。
とにかく使って使って、自分だけの味わいを育てましょう。
防水スプレーはNG
防水スプレーをかけると、紫外線をシャットアウトしてしまうようで、革の日焼けが起こりにくくなってしまいます。
日なたで2年ほど放置したイタリアンレザー(イエロー)。
右下の一画はコロニルの防水スプレーをかけた部分。
こちら☟で防水スプレーと革の日焼けについて検証したのでよろしければご覧ください(長いです)。
日光浴させる
ヌメ革は紫外線で焼けて色が濃くなるので、使い始めに日光浴させてあげることで均等に色を付けてあげることができます。
色が濃くなって汚れが目立ちにくくなるというオマケ付きです。
日光浴させたらその分保湿は念入りに行ってください。
日光浴の効果やリスク、やり方について詳しくは、ヌメ革を日光浴させる方法【革職人流】|効果とデメリットをご覧ください。

日光浴させた後の保湿におすすめなクリーム
革をしっとりさせたいならサフィール、保護メインならラナパーです。
おすすめできないクリーム
普段ならコロニルのシュプリームクリームデラックスをおすすめするところですが、今回はしません。
シュプリームクリームデラックスには、同社の防水スプレーと同じ防水成分が含まれています。
この成分が革の日焼けを抑制してしまうので、革を早く色変化させたい方には不向きです。
関連記事 ヌメ革日焼け実験|オイルやクリームで日焼けは早まる?
言い変えれば、急に色変化して欲しくないならシュプリームクリームデラックスはおすすめです。
できるだけ色変化させない方法
- 丁寧に扱う
- 日光や照明を当てない
- 防水スプレーをかける
丁寧に扱う
当たり前のことですが、気を付けて使うことで確実に長持ちするのが革製品。
バッグの中で革の財布と結露したペットボトルが一緒になっていたり、むき出しの鍵が財布をこすっていたりすると、革はカンタンに傷ついてしまいます。
革の小傷修復にはブラッシングが効果的な場合があります。革製品を清潔に保つためにも不可欠なツールなので、是非革用ブラシを揃えておきましょう。
日光や照明をなるべく当てない
紫外線による日焼けで色が変わります。使わない時は風通しが良くて日の当たらないところで保管しましょう。
防水スプレーをかける
色変化させたい場合とは逆に、防水スプレーを使いましょう。
おすすめはフッ素を使ったタイプ。
ロックタイトは安くていいのですが、革の日焼けを防ぐ効果はコロニルの方が上でした。
ヌメ革の色変化のまとめ
ヌメ革は、使っていくうちに、元の色に茶色の絵の具を足したような色変化をしていきます。
明るい革は濃くなりますが、ある程度までいくと色変化は止まります。
- ベージュ➡茶色
- 緑➡オリーブ➡茶色
- グレー➡トープ➡茶色
- 青➡緑➡オリーブ➡茶色
- 黄➡オレンジ➡茶色
- 赤➡赤茶➡茶色
- 茶色➡茶色
- 黒➡黒
色変化を早める方法、色変化させない方法の項目を参考に、お好みの使い方で革製品を楽しんでください。
色変化を早めたいなら、日光浴をさせながらとにかくガシガシ使いましょう。防水スプレーは使わない方が良いです。
色変化させたくないなら、その逆。丁寧に使って日の光を避け、防水スプレーを使うのがおすすめです。
こちらの防水スプレー(ウォーターストップ)が使いやすいです。
また、クリームではシュプリームクリームデラックスが日焼け防止に効果があることを確認済です。
関連記事 ヌメ革日焼け実験|オイルやクリームで日焼けは早まる?
急激な色変化を防いでおだやかなエイジングを楽しめます。
この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございます。
コメント
色を題材にした記事なので、色の名称を正確に読み解きたいのですが
おすすめ色のところで「グリーンが経年変化でカーキになる」とありますが
どんな色を指して書かれているでしょうか?
この「カーキ」はよく間違った使われ方をする単語なのと
グリーンから退色&経年による茶色の追加で
私が思っている「カーキ」も、間違った使い方をする人の「カーキ」も
どちらもあり得るので、ホントのところを知りたいです。
ちなみに、本来の「カーキ」は「砂埃色」なので、黄土色系の色を指します。
カン違いしていました。茶色がかった緑のことを指しています。
ご指摘ありがとうございます。