革製品ってどうやって作られてるんだろう?
革職人の技に興味があります!
deteのシザーケースを検討中!
そんな疑問や興味を持った方に楽しんでいただける内容です。
最初の章で大まかな流れを紹介、次の章で細部をじっくりと掘り下げてみます。
革製品ができるまで|deteのシザーケースの場合
シザーケースS06-3を例にとって解説します。まず、S06-3はどんなシザーケースなのかをざっくりと。
S06-3はこんなモデル
技術的な部分について解説すると、まず縫製は手縫いです。
長年のハードな使い方に耐えられるよう、必要な部分は補強して裏貼りをしています。
断面は可能な部分はヘリ返し、それ以外の部分は切り目で染色してロウで磨いています。
それでは製作工程についてです。
製作の流れ
- 裁断
- 漉き(厚み調整)
- 補強/下ごしらえ
- 裏貼り
- 組立て
- 縫製(手ぬい)
- 仕上げのコバ処理
- 金具取付け
- 検品、ブラッシング
裁断(革の切り出し)
大きな革から必要なパーツを切り出します。
大きく粗裁ちしたあと、革包丁というナイフを使って手作業で正確にカットします。
カットが済みました。↑は一部で実際は他にもパーツはあります。
漉き(厚み調整)
パーツ細部の厚みを調節します。
ヘリ返しという技法のために、縁にむかって少しずつ薄くなるように漉き加工しました。
※写真では彫刻刀で溝を掘っていますが、この加工は現在は行っていません。
補強/下ごしらえ
この写真は、ダッカールをつけるベルトパーツの内部。
芯を仕込み、この上に革を巻いて縫います。
その他、傷みやすい部分の内部にナイロンテープを貼ったり、曲げやすくする為に溝を掘ったりと、丈夫できれいな仕上がりになる為の加工をほどこします。
関連記事 レザークラフト|補強の方法と丈夫に作るテクニックまとめ
裏貼り
裏地を付けます。
写真はマチ(厚みをつくる側面)のパーツ。
裏地を貼って補強します。
裏貼りの重要性についての記事を書いています。
関連記事
・裏打ちをマスターするだけでレザークラフトの腕が上達する本当の話
組立
縫製してコバ(断面)を染色して磨いたら、接着剤を塗って組立てます。
接着剤の扱い方について
貼り方と圧着について
・革と革を貼る道具|ハンマー、ペンチ(エンマやっとこ)、ローラーをどう使い分ける?
・革の表面同士がうまく接着できない!革表面を荒らす3つの方法
縫製(手ぬい)
通常、手縫いはポニーや馬というクランプにはさんで行うのが一般的ですが、このシザーケース本体の手縫いはポニーが使えません。
机の上に置いて行うか、膝の上に布を置いてその上で手ぬいします。
構造上、ミシンで縫うことはできません。
菱錐という専用のキリを使って一目ずつ縫い進めます。
菱錐について詳しくは 菱錐(ひしぎり)とは?|使い方は2種類|砥ぎ方とメンテナンス
仕上げのコバ処理
コバに捻を入れ、磨いて丈夫に仕上げます。
捻というのは縁にミゾを入れる装飾加工。
詳しくは 革製品に入れる「捻(ネン)」って何?|目的と効果と捻の種類
コバ磨きは布や硬い木などでこすって段差をなくしなめらかに仕上げます。
金具の取り付け
金具を打ち付けてがっちりと固定します。金具は、写真のように手作業で打つ場合と、ハンドプレスで機械的に打つ場合があります。
関連記事 革職人がホック金具をハンドプレスで付ける理由とメリット|使い方
検品、ブラッシング
仕上りに問題がないかどうか最終確認を行います。
ブラッシングして革の粉やホコリを払います。
ちなみに、ホコリ落としで使うブラシは、化繊毛、馬毛、山羊毛のどれかならどれでもOK。
デテログは万能な化繊毛と馬毛をおすすめしています。
山羊毛は趣味性が高いブラシです。
ブラシの比較記事も書いています。お時間がある方はこちらもどうぞ。
詳しくは 革職人が選んだベストな革用ブラシに検証写真を添えて。
関連記事 山羊毛ブラシを革製品に使うメリット|なめらかな光沢
完成
重厚ですがスリムでいい雰囲気に仕上がりましたね。
写真は、プルアップブラウン×イタリアンレザーチョコ×茶色ステッチです。
ここからは、さらに細部を掘り下げてみてみましょう。
革製品の製作風景|細部を掘り下げる
今後は細かい部分をピックアップして解説します。deteのシザーケースS06-3が作られる背景やプロセスの断片をお楽しみください。
コバ処理に関わる作業
手縫いと手縫いに関わる工程
ミシン縫いにはない手縫いならではの工程を紹介します。
金具がジャマしてキリが通せない部分の手縫い
貼り合わせたパーツを二重にまたいで縫う
縫い穴をあける作業
美しさと耐久性にかかわる|パーツの作り込み
力がかかるパーツの内部補強
ベルトを留めるパーツ作り
ベルトパーツの穴あけ作業
制約がある組立て
ヘリ返しのための漉き加工
型崩れを防ぐ芯材使い
R部分の切り出し
接着に関する工程
接着やその準備についての作業紹介です。
圧着作業
接着面の荒らし
革製品ができるまでのまとめ
シザーケースを例にとり、革製品ができるまでの工程を解説しました。
製作の流れをおさらいします。
- 裁断
- 漉き(厚み調整)
- 補強/下ごしらえ
- 裏貼り
- 組立て
- 縫製(手ぬい)
- 仕上げのコバ処理
- 金具取付け
- 検品、ブラッシング
この流れは製品によって変わります。
同じ製品であっても、常に技術をブラッシュアップしながら日々製作しているため、工程や作業内容は常に変わる可能性あります。
私達の仕事に興味を持ってくれたことをうれしく思います。
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