菱目打ちはクラフターそれぞれのクセが出やすい工程です。
自分がやりやすい方法が一番ですが、うまくいかなくて悩んでいるなら、そのクセを修正することで解決するかもしれません。
あなたのそのクセ直した方がいいかも!(自分でも経験済み)
この記事では、キレイな手縫いの実現を目指し、菱目打ちのつかい方にしぼって解説します。
ちなみに、この記事内で使っている菱目打ちは協進エルのプロ菱目打ち。
入門用の道具ですが、製品用にも十分使えます。
私は、厚みを削り、表面を磨くなどの加工をして使っています。
deteの革製品製作で使っている道具一覧はこちら☟
菱目打ちのよくある失敗例と対策
よくある失敗例とその対策や修正方法について解説します。
- かたむいている
- ねじれている
- 重ねる穴がずれる
かたむきとねじれを抑えられればかなりキレイになるはずです。
菱目打ちがかたむいている(前後、横)
かたむいた状態で打つと、ピッチが変わったり、縫い目の大きさがばらばらになってしまいます。
菱目打ちが前後にかたむく
少し誇張してますが、近い感じになっている方いると思います。
まっすぐ打ちましょう。
菱目打ちが左右にかたむく
横にかたむいた状態で打つと、表と裏でぬいしろの幅にずれが出てしまいます。
厚みがうすければそれほど大きな問題にはなりませんが、それでも角度にばらつきが出たら目立ってしまいます。
修正するポイントとしては、持つ手をしっかり安定させること。
その際、持った手で革を汚さないように、紙などを敷いて、革に直接触れないようにしましょう。
菱目打ちがねじれる(仕上がりがゆるいジグザグ)
私はかつてこのクセがありました。
極端にやるとこのような感じです。奥は溝にあっていますが、手前が外にずれてしまっています。
一度ずれると、次に続く菱目は修正しなくてはいけなくなります。
〈こんな感じで修正しないといけなくなる〉
右にねじれている
☟
少し左にして元のラインに修正
☟
結果、菱目の幅ごとのゆるいジグザグなラインに仕上がる。
- きちんと正面から見ていない
- 持つ手の親指に力が入り過ぎている
私はこのクセが強くて、原因は主に後者でした。
「かまえている時はまっすぐなのに、打つ瞬間持つ手に力が入り過ぎて親指で押してしまい右にずれる現象」が起きていました。
私の修正方法
私の場合、次のように持ち方を変えたら改善できました。
- 脇を開いて持つ(リラックスして持つ)
- (人差し指+中指)と親指と背骨が一直線になるように持つ
ためしてみてください。
重ねる穴がずれている
ざんねんながら、一度打ってしまうと修正できません。
防止策ですが、これは打つ前に確認すれば防げます。気を付けて打ちましょう。
菱目打ちの使いかたのコツ|まっすぐきれいな手縫いを目指して
もっときれいなステッチを実現するために。菱目打ちのやり方を見直せば手縫いが上手になるかもしれません。
- 手の感覚をつかもう
- はなれて見よう
- まっすぐ叩く
- 叩く力は一定に
左右の傾きは目で、前後の傾きは手の感覚で修正!
菱目打ちは、正面から見ても横から見てもまっすぐ垂直で打つのが理想。
じゃあどうすればまっすぐ打てるでしょうか?
左右のかたむきは目で修正し、前後(奥行き)のかたむきはできるだけ手の感覚で修正しましょう!
一回一回横からのぞき込んで打つのはどうでしょうか?
ていねいで良いのですが、のぞき込む度にずれてしまうかも。
例をあげます。
奥から手前に向かって縦に打っていく場合、横のかたむきは見えるから修正できますが、前後のかたむきはわかりにくい。
そこで、横からのぞき込んで修正しようと考える方も多いと思いますが、それをやると、今度は左右どちらかにかたむいてしまいがち。
そのかたむきを修正しながら打つと、今度はまた前後がかたむくということに。
どうすればできるようになりますか?
コツを話します。
スマホで動画を撮ってチェック
横から撮影しつつ、目線は正面で打つ。
撮影した結果を見てみましょう。イメージ通りの角度で打てていましたか?
修正をくり返し、垂直のときの手の感覚をつかみましょう。
特訓です!体でおぼえましょう。
重ねた穴の方に傾きやすいことを意識
穴を重ねた方に傾きやすいです。
重ねていない刃で平らを保つのがポイント。
奥から手前に向かって進めている場合、すでに開いている奥の穴の方に傾きやすいです。
開いた穴に力をかけないように、10本目なら重ねていない8本の刃だけで平らに保つようにしましょう。
目を近づけすぎない
どんな作業でも同じだと思いますが、目を近づけすぎると全体のバランスがみえなくなります。
目を近づけすぎるクセがある方は、気づかないうちに傾いていることが多いです。
試しに10cm離してみてください。見えなかったものが見えてきます。
まっすぐ叩く
叩き方も大切です。
斜めから打ったり、振り子のように弧をえがく打ち方をしてしまうと菱目もずれます。
私は、打点近くを持って真下にまっすぐ打ちおろすことを意識しています。
菱目が曲がりにくく、失敗しにくい方法です。
叩く力は一定に
叩く力は常に一定にします。
そうすることで、開く穴のサイズと形を均一にすることができ、縫い目がキレイにそろいます。
菱目をかまえる向きは?
菱目打ちは縦にかまえるか、横にかまえるかですが、これは自分がやりやすい方でいいです。
迷った方向けに、それぞれのやり方の長所を書きます。
- 縦:【キレイなライン】ステッチのラインがまっすぐに仕上がりやすい
- 横:【キレイな糸目】ピッチや糸のしずみ具合が均一になりやすい
私の場合ですが、ステッチのラインがまっすぐかどうかを重視したいので、縦に持って打ちます。
アンケートをとってみました。
8割強の方が縦に打ち進めるやり方を選んでいるようです。
打ち進む方向は完全に好みです。奥から手前でも、左から右でも、やりやすい方を選んで大丈夫です。
それと、利き手で持つの?それとも?ということで・・・
持つ手は利き手?完全に好み
どちらの手で持つか?ですが、これは完全に好みで慣れの問題です。
これを書いている時点(2020年11月28日深夜)でアンケート募集中です。
みなさんそれぞれやり方が違うんだなとあらためて実感!
両方やってみてやりやすい方を選びましょう。
菱目打ちの失敗例と対策、使いかたについてのまとめ
菱目打ちの失敗例と上手な使いかたについて書きました。
- かたむいている
- ねじれている
- 重ねる穴がずれる
これらの対策として、
✔垂直のときの手の感覚をつかむ
✔菱目打ちをしっかりおさえる
✔体の正面で持って正面から見る
✔離れて見るクセをつける
✔まっすぐ、一定の力で叩く
などがあります。
きれいな手縫いには、菱目打ちの打ち方以外にも、菱目打ちの種類、菱錐のつかいかた、糸えらび、引きしめの強さなども影響してきます。
全部をまとめようと思うと途方もない量になるので、今回は菱目打ちの使いかたにしぼって紹介しました。
手縫いのキレイさにぜったいの正解はありません。
自分なりの正解を追求しだすと底なし沼。だからおもしろい。
あなたの研究の成果を見せてください。コメントお待ちしています。
糸の選び方もステッチの美しさを構成するポイントの一つです。
選び方に迷った時は、レザークラフト用手縫い糸の選び方とおすすめ|麻(リネン)かポリエステルかをご覧ください。
各手縫い糸のステッチ見本は、検証記事 手縫い糸縫い比べレビュー[AMY ROKE、YUE FUNG、Fil Au Chinois、ツレデ糸、エスコード、ビニモMBT]で見れます。
コメント