この記事では、間違った革の切り方を知ることで、上手なカッターの使い方を学べるよう構成しています。
ただ切るだけじゃないの?
そう思っているなら、たぶんカッターでの切り方を間違えています。
先日の私のツイート。
職人的にカッコよくないですが、deteの仕事は7、8割はカッターでこなします。
意外と奥が深いですよ😁 pic.twitter.com/jdG91XpP4k— 御子貝康|dete (@mkgx81) September 4, 2019
うちはフォロワー数は多くないですが、このツイートは反響がありました。
≪カッターの革の切り方をマスターするメリット≫
- 革包丁を使う機会が減って砥ぐ機会も減る
- 砥ぐ機会が減るので爪が汚れない
- 時短化できる
↑の仕事は裁断はほぼ全てカッターで行いました。一部包丁で漉いた部分もありますがコバは全部カッターです。
革の切り方でも仕上がりに差がうまれます。くわしくは、貼り合わせた断面(コバ)がキレイにそろう革の切り方[3つの方法]をご覧ください。
早速講座を始めていきましょう。
カッターを使った間違った革の切り方4選
≪カッターを使った間違った革の切り方4選≫
- 刃を立てすぎている
- 刃が短すぎる
- 切り始めの刃先の位置が違う
- カーブ部分をくり抜いて切る
順に説明します。
刃を立てすぎている|カッターを使った間違った革の切り方1
✖ 立てすぎている
〇 正しい角度
≪カッターの刃を立てすぎていると✖な理由≫
刺身包丁を立てて使う寿司職人はいませんよね。そういうことです。
刃が短すぎる|カッターを使った間違った革の切り方2
✖ 短すぎる
〇 正しい長さ
≪カッターの刃が短すぎると✖な理由≫
カッターは刃を長めに、引き切りの刃物は刃を寝かせて使いましょう。
※ケガをしないよう十分気を付けて扱ってください。
切り始めの刃先の位置が違う|カッターを使った間違った革の切り方3
✖ 間違った切り始め位置
〇 正しい切り始め位置
≪切り始めの刃先の位置が違うと✖な理由≫
✖の位置から切り始めようとすると、最初は上から下に押し切りしないといけなくなり、正しく切れません。
切り始めは、革があるところより気持ち奥から引いてカットしましょう。
カーブ部分をくり抜いて切る|カッターを使った間違った革の切り方4
くり抜いて切るんじゃないの!?
なぜ不可能かと言うと、くり抜いてカーブを切ると、革の表層を切る刃の部分と底層を切る刃の部分にずれが起こる為、狙った通りに切ることができなくなるのです。
先ほどの写真を見ながら説明します。
革の表層を切る時は、刃の二つ目の折れ目付近で切っています。
革の底層は刃先近くの部分で切っています。
内輪差
自動車が曲がるとき、後輪は前輪と比べて内側を通ります。
特に曲がるほうのタイヤの前輪と後輪の通り道の幅の差を内輪差といい・・・
参考 全日本トラック協会
車の後ろのタイヤ:カッターの根本の部分(革の表層を切る部分)
が当てはまります。
※車は前に進みますがカッターは引くのでそこだけ注意。
革を切る場合、切りたい線は車でいうところの後輪が通る線になります。
実際にやってみたので次のツイートの動画をみてください。
カッターを使った間違った革の切り方。
ヒントは車の内輪差#レザークラフト pic.twitter.com/yfDiaVhny9— 御子貝康|dete (@mkgx81) September 23, 2019
角度を変えて3回切りましたが、どれも正しく切れていません。
例え刃の角度を変えても、引き切りする限り必ず起こる問題です。
じゃあどうすればいいか?
その回答が次のツイートです。
革の正しい切り方|カーブ部分
続き。
カッターじゃアレできないじゃんと思ったあなた。
カッターでもアレできますよ。 pic.twitter.com/eBp0sW2NKd— 御子貝康|dete (@mkgx81) September 4, 2019
これが革のカーブ部分の切り方です。
カーブを作るのではなく、無数の線で角を落として少しずつ滑らかにしていく作り方です。具体的なやり方ですが、
これって角が残らない?
でもやっぱり難しそう。他にきれいにカーブを切る方法ない?
角落としか抜型が一番きれいになります。
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角落としはこういうもの。
私が使っているものとは違うメーカーの品なので何とも言えませんが、写真を見る限りこれも良さそうですね。
もしくは、何度も使う型紙なら抜型を作るのもアリです。
専門業者にオーダーして作ってもらいます。
この抜型を使う時に必要になるのがハンドプレス機。
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ネット上ではこのタイプを使っている方を良くみかけます。うちで使っているのは別のメーカーのものです。
物理的には、これらを使う方法が一番キレイなアールでカットできることになります。
カッターで革を切る時のデメリットは2つほど
≪カッターで革を切る際のデメリット≫
- 分厚くて硬い革を切るのには向かない。
- 手漉きするのには向かない
カッターは分厚くて硬い革を切るのには向かない
分厚くて硬い革を切るのは苦手です。
カッターは手漉きするのには向かない
手漉きには向きません。
トライしてみての感想なのですが、
漉きには革包丁やフレンチエッジャーを使いましょう。
革を切るのにおすすめのカッターは?
結論からいうと、大サイズを選んでいれば、カッター本体はどれでもいいです。
これがいいです。刃がブレないから正確なカットができる。刃が超鋭角、切れ味もいい。
厚い革を切る場合、粗裁ち用には、しいていればこちらです。
刃の長さが無段階で調節できるのとデザインで。
替え刃はオルファの特選黒刃がおすすめです。
お得な50枚セットも
ちなみに、刃は消耗品です。
私は多い時は一日でこれくらい使ったりします。
さらに正確なカットを目指すなら、プロ用のビニ板(ビニプライ)を使いましょう。
これを使うメリットですが、刃先を固定できるので、途中で紹介したカーブの切り方が安定します。
それに比べると普通のカッターマットは少し使いにくいです。
まとめ
カッターは初心者向きで革包丁が上級者向きと思う方が多いかもしれませんが、実はカッターだけで多くのレザークラフト作業ができます。
ただ、革を切る際の正しいカッターの使い方を知っている人はあまり多くないように感じているので、この記事をきっかけにより高いレベルのクラフトを目指してもらえたら嬉しいです。
最後に、カッターで革を上手に切る為のコツをまとめます。
- 刃を寝かせる
- 刃を長めに出して使う
- 切り始めの刃先の位置に気を付ける
- カーブ部分は刻む
ここに気を付けて練習してみましょう。
近い内容で、定規をあてて革を切る方法(失敗しにくい)|直線を切るなら包丁かカッターか?もあります。合わせてご覧ください。
記事への質問やリクエストなどございましたらコメント欄からお寄せください。
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