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革と革を貼る道具|ハンマー、ペンチ(エンマやっとこ)、ローラーをどう使い分ける?

革を貼る時の道具の使い分け レザークラフト講座

当記事はプロモーションをふくみます。

革と革の接着方法と、接着にハンマーとペンチ(ヤットコ)をどう使い分けるか?について歴10年目の革職人がお話しします。

※この記事で紹介する方法は、ゴム糊や、サイカプレンやノーテープなどの完全接着型のボンドを使った貼り方です。
サイビノールや白ボンド等水溶性のボンドには効果はありません
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プロフィール

革職人の経験を活かし、趣味のレザークラフターや革製品のトラブルに悩む方に役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

・レザーブランド"dete"の代表
・出版書籍『革職人になる方法』Amazon手芸本1位獲得

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革と革を貼る圧着道具の使い分け方

革と革を貼る圧着道具の使い分け方

ボンドは、貼った後に圧着して初めて強く貼り合わせることができます。
主な圧着の道具には、ハンマー、ペンチ(エンマやっとこ)、ローラーがあり、それぞれ特性が違います。

どう使い分ければいいのでしょうか?

使い分け方

圧着道具の使い分け方
  • コバを貼るならハンマー
  • 台に置けない、凸凹してる部分はペンチ
  • べた貼りならローラー

基本的にハンマーを、ハンマーが使えない部分はペンチを、広い範囲を貼るならローラーを使います。

それぞれの特徴

圧着の強さ
  • ハンマー…とても強い
  • ペンチ…強い
  • ローラー…ほどほど
圧着する範囲のイメージ
  • ハンマー(点)
  • ペンチ(線)
  • ローラー(面)

圧着効果は、ハンマー、ペンチ、ローラーの順に高く、強い接着ができます。

一度に圧着できる範囲は逆で、ローラー、ペンチ、ハンマーの順。
広い方がムラなく圧着することができます。

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ハンマーで革と革を圧着する方法

ハンマーで革を圧着して接着

ハンマーはもっとも強く圧着できる方法。

やり方

叩くだけ。

革を傷めない程度に強く叩きます。

コバを圧着する際は、縫う部分から外だけを叩くことで革に跡が残るリスクを下げることができます。

圧着にハンマーを使うのはどんな時?

コバ、ヘリ返し部分の圧着、ハンマーの面よりも細いヒモなどの圧着に使います。

使用頻度がもっとも高い圧着道具です。

ハンマーを使う際の注意点

注意点
  • 真っすぐ叩く
  • 丸みを付けたハンマーを使う

真っすぐ叩く

革を叩く際は、面を平行に保ち、まっすぐ叩きます。

よくある悪い例 肘を支点として振り子のように振り下ろすやり方

丸みがついたハンマーを選ぶ

叩く面に丸みがついているものを選びましょう。

平らな面を使ってしまうと革に跡がつきます。

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ペンチで革と革を圧着する方法

職人の間では、矢床(ヤットコ)という呼び方が一般的なこのペンチ。

革業界ではなぜかエンマやっとことも呼ばれていますが、本来のエンマは閻魔大王が歯を抜くために使ったもののことです。

話を戻します。

ペンチを使った圧着の方法。

やり方

ギュッと思い切り力をこめるような気持ちでコバを挟んで圧着します。

圧着にペンチを使うのはどんな時?

主にコバの圧着に使います。

打ち台が必要ない為、バッグの口元に使ったり、凸凹した物や裏面が曲がった形状のものにも使うことが可能。

例えば、☟の写真は片サイドミシンをかけた後にもう型側のマチ部分を圧着し、その上でミシンをかけるという工程が必要な製品です。
これは、ハンマーでもローラーでもなく、ペンチでしかできない作業です。

ミシンで縫いながらやっとこで接着

ペンチを使う際の注意点

ペンチはハンマーよりも跡が残りやすい道具です。
コバが見える製品なら、圧着する幅はできるだけ狭く抑えることを意識する必要があります。

また、ペンチの構造上、想定以上に厚いものを挟むと、力のかかる面が平行にならず、革が逃げてしまうことがあります。

V字になっていますね。

この状態で力を込めてしまうと、正しく圧着できないだけでなく、革が逃げる時に「パチンッ」とはぜるようになってしまい、革が変形したり傷ついたりすることがあります。

使っているペンチはこちら☟

圧着面に革を貼り(革にキズを付けないように)、握る部分に革を巻いて使いましょう。

ローラーで革と革を圧着する方法

ローラーで圧着して革と革を接着

やり方

手の力に頼らず、全重心をかけて転がします。

圧着にローラーを使うのはどんな時?

ハンマーではカバーできない広い範囲をベタ貼りしたい時に使います。

このように、ハンマーではムラになってしまうような広い面の圧着に便利です。

ムラなく圧着できるのがローラーの利点ですが、使い方の注意点が二つあります。

ローラーを使う際の注意点

ローラーの注意点です。

ねじれ、ゆがみに注意

試してみるとわかるのですが、きちんと貼れていない状態でいきなりローラーをかけてしまうと、革が歪んだりねじれた状態で貼られてしまうのです。

なので、ローラーで圧着する際は、なるべく全体を手で仮貼りするか、周囲だけハンマーで叩くなどした上で使います。

まずハンマーでガッチリ圧着し、

その後でローラーを使って面で圧着します。

こうすることでゆがみを抑えてまんべんなく圧着することが可能。

ローラーは革のゆがみに注意。

キズに注意

ローラーの幅よりも大きな面に使う場合、ローラーの端で傷を付けてしまわないように注意が必要です。

対策としては、ローラーの端が面取りしてあるローラーを使うのが効果的。

こちらは面取りがなされており、鏡面仕上げで質が良さそう。

ローラーは良い物を選ぶというのが職人の間での常識です。

サイズの使い分け

サイズごとの使い分けですが、狭い範囲に使うなら当然小さい方が力を加えやすく使いやすいです。広い範囲に使うなら、大きい範囲でないとダメです。

結論、複数サイズが必要ということです。

ローラーとハンマーでもっとしっかり圧着する方法

圧着する際やネンを入れる際に、鉄の板など硬い板の上で行うとより効果的です。

ネンというのは革のフチに施す装飾のことです。くわしくは、革製品に入れる「捻(ネン)」って何?|目的と効果と捻の種類をご覧ください。

革の接着とハンマー/ヤットコ/ローラーの使い分けのまとめ

ハンマー、ヤットコ、ローラーは、場面場面で使い分けるもので、職人なら全部必要、趣味でもできれば揃えたい道具です。

コバの接着ならハンマー、ハンマーが使えない部分はペンチ、べた貼りするならローラーを選びましょう。

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接着しにくい銀面(表)を強く貼るには荒らすのが有効。

そのやり方について☟でくわしく書いています。

革の表面同士がうまく接着できない!革表面を荒らす3つの方法
革の銀面(表面)同士を貼り合わせるコツは、「銀面を荒らす」ことです。荒らす方法には、突きのみや包丁を使う方法、フレンチエッジャーでそぐ方法、やすりで削る方法があります。コツと貼り合わせ方法についても。

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