某ブランドバッグのハンドルがボロボロに崩壊しました。
あるあるです。革は使い方や保管状況によっては著しく劣化してしまいます。
最初に、この記事を書く目的は、特定のブランドの商品をこき下ろすことではないです。
伝えたいのは、
ということです。
まず、どう壊れたのかを紹介しましょう。
ブランドバッグのレザーハンドル崩壊|手入れを怠るとこうなる
ハンドルを触って気が付きました。
一見、まだまだ使えそうなきれいな状態なのに、
これを手で曲げると・・・
見事に割れました。
決して強い力を加えたわけではありません。
革が劣化するとこうなる。
— dete® (@mkgx81) January 30, 2021
某ブランドバッグのハンドルです。
原因は、使い方や、お手入れ、革質や構造の問題などいろいろ考えられますが、大切なのはお手入れ。きちんとクリームを塗っていればもっともっと長く使えたはずです。 pic.twitter.com/1I4NVkFhqu
バッグの革ハンドルが経年劣化した原因は?
あくまでも推測ですが、どんなところに原因があるか考えてみました。
- 汗によるダメージ
- 油分が抜けたこと
- 光によるダメージ
汗によるダメージ
革は汗でダメージを受けます。
バッグのハンドルや肩紐は、くり返し使うことで汗の成分が蓄積し、含まれる塩分によって損傷をうけます。
また、汗のpH値も問題。
通常汗は弱酸性ですが、かいた汗が乾くと、pH値はアルカリ性に傾きます。
通常、汗のPHは5.7~6.5程度に保たれており、人間の肌に優しいとされる弱酸性です。
ところが、真夏にたくさん汗をかくと、汗のPHが上昇し、アルカリ性になってしまいます。皮膚表面に吹き出た汗は、蒸発して水分が失われるため、より一層PHの高いものとなり、肌にとっては強い刺激となってしまいます。
引用元 サラサラ汗で夏を過ごそう(7月) – 逓信病院
アルカリは、革にふくまれるタンニンに作用し、革を変色させてしまうことがあります。また、タンパク質を分解し、革をもろくさせてしまいます。
革の繊維がほぐれたようにグニャグニャになったのも確認できました。
出典 革はアルカリ性に弱い?そもそも革のpHは?重曹水に浸した結果
アルカリ性のレザーソープや石鹸も革にリスクがあります。
油分が抜けて柔軟性がなくなったから
革の繊維と繊維がスムーズに動くためには油分が必要。
油分が切れると、曲げたりひっぱったりした時に無理がたたってひび割れしたり切れたりします。
日ごろからクリームを塗っていれば長く使うことができます。
革が割れるメカニズム
どうして油分が抜けて乾燥すると割れやすくなるのか?については、↓のお餅が割れるメカニズムについての話がわかりやすいです。
つきたてのおモチはとてもやわらかく、両手で引っ張って伸ばしても亀裂は入りません。ところが、鏡餅のようにずっとおモチをそのまま放っておくと、表面が乾き、引っ張る力に負けて亀裂が入ってしまいます。
引用元 ひび・あかぎれの原因・仕組みを解説 | ロート製薬: 商品情報サイト
これを革に当てはめると、油分が減ると繊維と繊維の潤滑油がなくなって柔軟性が下がり、曲げたり引っ張ったりした時に革が耐えられなくなって割れるということができます。
日光によるダメージ
革は、その他の多くの素材同様、紫外線を主とした光によっても劣化します。
具体的にどう劣化するかというと、光を浴びれば浴びるほど引き裂きに弱く、切れやすくなります。
さらに、紫外線を浴びる時間が長くなると革表面が硬くなります。
この硬化がひび割れの原因の一つになっている可能性も十分に考えられます。
参考文献 皮革ハンドブック
【予防策】どうすれば経年劣化を防げたか?
クリーニングと保湿をするなど、適切な扱い方をしていればもっと長く使うことができたはず。
今現在革のバッグを使っている方向けに、予防策を考えてみました。
- 定期的なクリーニング
- クリームによるお手入れ
- 光から守る保管方法
予防の前に、修復はできる?
ひび割れてしまった革の修復はできません!
なので、そうならないための予防策をお話しします。
定期的なクリーニングをしていれば
最低限のことをいうなら、ブラッシングや乾拭きをするだけでも差は出るはず。
ですが、ハンドルはそれだけでは不十分です。
革表面の汗の残留物を取りのぞいてあげたい。
具体的には、濡らして硬く絞ったハンカチで拭くだけ(乾いたらクリーム必須)。
さらにいうと、時々は専用のクリーナーを使ってあげればなお良いです。
クリームによるケアをしていれば
クリーニングとセットの話になりますが、クリームをしっかり塗っていれば乾燥を防ぐことができ、状況はちがったかもしれません。
おすすめクリーム
おすすめのクリームですが、今回と同じようなヌメ革なら、以下のような商品がおすすめ。
- コンディショニングクリーム / コロンブス
- シュプリームクリームデラックス / コロニル
- デリケートクリーム / エム・モゥブレィ
関連記事 革小物用コンディショニングクリームの使い方とレビュー(コロンブス)
関連記事 1909シュプリームクリームデラックスの万能感をレビュー&使い方
関連記事 エム・モゥブレィ デリケートクリームは買いか?|デメリットと使い方
保管方法に気を配っていれば
どのような状況で保管されていたかはわかりませんが、保管方法に気をつけていればこうならなかったかもしれません。
光から守る保管方法
風通しのいい状態でクローゼットに入れておくとか、直射日光があたるところに長時間置いておかないなど。
特に、紫外線の強さがピークになる5~7月は気をつけましょう。
気象庁のデータによると、3月頃から急激に強くなりはじめ、5~7月にかけてピークを迎えています。
引用元 紫外線が強い季節は? 時間帯は?|紫外線|乾燥性敏感肌のための生活情報 お肌ナビ|花王株式会社
カビに注意
光に当てないことにばかり気を使いすぎて通気性が低いところに置いてしまうと、今度はカビのリスクもあります。
- 高温・多湿
- ホコリ・汚れ
- 過度な栄養
定期的なクリーニングはカビ対策にもなります。
UVカット効果があるケアグッズを使う
UVカット効果がある防水スプレーもあります。
参考として、amazon激安防水スプレー(LOCTITE 超強力防水スプレー)とCollonilの日焼け比較で、防水スプレーで革の日焼けが軽減されたのを確認しています。
使ったのは、コロニルの防水スプレーです。
この防水スプレーウォーターストップについては、コロニルの革用防水スプレー4種類を比較|迷ったらウォーターストップで間違いなしで比較レビューしています。
バッグハンドルの経年劣化の原因と予防策まとめ
某ブランドバッグの経年劣化例と、原因と予防策についてお話ししました。
革が劣化する要因を一つ一つケアしていくことが大切ということですね。
- 定期的なクリーニング
- クリームによるお手入れ
- 光から守る保管方法
上手に使えば、製品によっては10年も20年も使えるのが革製品。
ですが、あつかい方をまちがえると、場合によっては長持ちしないでがっかりする結果になってしまうことも。
見方によっては面倒にも思える革製品ですが、慣れてくるとお手入れは楽しいですし、革の経年変化(味)は他の素材では味わえないものです。
もしすでに劣化してしまって自分で対処できないなら、専門家に修理やクリーニングを依頼しましょう。
この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございました。
革の楽しさと奥深さを広げるため、デテログは今後も活動を続けてまいります。
参考文献 皮革ハンドブック – 日本皮革技術協会(編集)
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