革職人の私ミコガイが、ブライドルレザー製品のメンテナンス方法を解説する内容です。
ブライドルレザーはどうやってお手入れしたらいい?
白い粉?これってふき取ってもいい?
ブライドルに防水スプレーは必要?
などについてお話します。
先にお手入れの手順だけ書きます。
お手入れについて詳しい方からすると、
他の革と同じでいいのかな?
と感じるかと思います。基本的には同じです。
じゃあ読まなくていいかなと思ってしまうかもしれませんが、それだけでは情報が不十分です。
この記事では、防水スプレーの考え方やクリームの選び方など、ブライドルレザーならではの情報も初心者の方にもわかりやすく解説しています。
最後まで読んでいただけたら、ブライドルレザーユーザーの方にはきっと役に立つはずです。
この記事は、ブライドルレザー製品を持っているか購入を検討している方向けです。
ブライドルレザーを知らずに迷い込んでしまった方は、ブライドルレザーってどんな革?特徴と性質をわかりやすく解説をご覧ください。
革を長持ちさせるブライドルレザーの手入れ方法
まず手順をお話しします。
手順
この手順は、他の革製品(イタリアンレザー、ヌメ革など)をお手入れするときの手順と同じです。
つまり、ブライドルレザーだからといって特別なお手入れは必要なく、汚れ落としと油分補給と防水がポイントになります。
革のお手入れはブラッシングから
最初のブラッシングは、革についた汚れ(ほこりや砂など)を払う目的で行います。
ブラッシングしないと汚れがクリームに混ざって落ちなくなるよ。
クリームを塗らない時もマメにブラッシングしてあげるのがおすすめです。
ブラシは、馬毛ブラシか化繊ブラシ(エム・モゥブレィのプロブラシ)を使いましょう。
こだわり派の方は山羊毛ブラシを使ってもいいですね。
関連記事 山羊毛ブラシを革製品に使うメリット|なめらかな光沢
防水スプレーはまんべんなくかける
ブライドルレザーに防水スプレーを使う是非や考え方については後ほど触れています。ここでは使い方についてお話ししましょう。
防水スプレーは、革全体にまんべんなくかけましょう。一瞬表面がびしゃびしゃになるくらいのイメージです。
革表面が濡れるまでかけたら、乾くまではそのまま触らずに風通しのいい日かげで放置します。より詳しい使い方については、職人が解説|革用防水スプレーの使い方/乾かす時間をご覧ください。
防水スプレーはシリコンを使っていないタイプ(フッ素、フッ化炭素などを使ったもの)を使いましょう。
有名なところではコロンブスのアメダス、私が使っているのはコロニルのウォーターストップです。
他の防水スプレーとウォーターストップを比較した記事も書いています。
関連記事 コロニルの革用防水スプレー4種類を比較|迷ったらウォーターストップで間違いなし
ブライドルレザーの手入れにもクリーム推奨
ブライドルレザーにもクリームは必要です。革は使っているだけで少しずつ自然に油分が抜けていくため、それを補う必要があるからです。
クリームは、ロウが入った硬めのクリームがおすすめ。できればブライドルレザー専用の商品が望ましいです。
商品名をあげると、コロンブスのブライドルレザークリームや、ホワイトハウスコックスのブライドルレザー・レザーフードなど。
コロンブスのブライドルレザークリームについては、革職人が検証|コロンブスのブライドルレザークリームのメリットとデメリットで解説しています。
冬場は固まって浸透しにくいので、指の体温で馴染ませながら塗ってあげるといいですね。
普通のレザークリームはダメなの?
ダメではないけれど、できればブライドルレザー専用がいいかな。
革質が変わったり柔らかくなってもそれはそれでありなのですが、デザイナーの意図しない革質になると、型崩れの原因やシワの原因になるかもしれない。
なので、基本的に革のお手入れは、新品の状態に近づける(抜けた油分を近い性質の油分で補う)ことを意識した方がうまくいきます。
さらに、ブライドルレザーが元々持っているロウのコーティング力を保つ効果があり、はっ水性を高めて革を水濡れから守ってくれます。
そんなのわかってるよっていう革製品上級者なら、どんなクリームやオイルを使ってもOK。楽しみましょう。
革製品のお手入れ(クリームについて)は、新品の状態に近づけるのを意識すると失敗しにくいです。
— デテログ (dete®の人) (@mkgx81) July 22, 2022
ブライドルレザーにはロウ入りクリームが望ましい、オイル入れすぎは注意など。
そうしないと柔らかくなりすぎて型崩れやシワの原因に。
でも、わかってる上級者さんなら止めません。自由です。
乾拭きとブラッシングで見ちがえる
クリームを塗ったら、やわらかい綿の布で乾拭きして余分を拭き取り、少し置いて(食事でもするか翌朝にでも)仕上げブラッシングをすれば完璧です。
ここで使うブラシは最初のブラシと同じで大丈夫ですが、こだわるなら山羊毛ブラシを選ぶのも良い選択。よりきめ細やかなツヤが楽しめます。
余談ですが、クリームのレビューでよく見かけるのが、
塗ったらツヤがなくなってくもっちゃった
という内容。これは大抵の場合一時的なものです。
乾拭きして余分をふき取って仕上げにブラッシングすれば元に戻るし、何なら元以上に輝いたりします。安心してください。
革に乾拭きする効果とブラッシングする効果を比較検証した記事も書いています。
関連記事 革製品を乾拭きする効果|乾拭きとブラッシングの比較
両方してあげるのがベターという結論です。
余分なブルームは落としてもいい
バッグにブルームが付くのが気になる。これ落としたらだめ?
軽くふき取ってあげてもOK。
まず、購入した時点で表面にたっぷりブルームがついていて、なおかつ服などにつくのが気になるなら、軽くふき取ってから使っても大丈夫です。
丸めたティッシュなどでやさしく拭って落としましょう。ブルームは革から油が抜けるのを防いでくれる役割があるので、ゴシゴシこすって完全に落としてしまうのは避けてください。
ブルームが服などに付くかどうかは革の状態によるよ。ティッシュで取れないなら服などに付くこともないから気にせず使うのが吉。
(好みで)使い始めに防水スプレーを
ブライドルレザーは水を吸いやすく、濡れると水ぶくれができやすい一面を持っています。
関連記事 ブライドルレザーを濡らした時の対処法&水ぶくれができたときの直し方
革の水ぶくれを防ぐ第一の方法は、防水スプレーを使うことです。
ブライドルレザーに水滴を垂らして3分置き、拭き取るとどうなるか?
— デテログ (dete®の人) (@mkgx81) July 24, 2022
下半分のみ防水スプレー塗布。 pic.twitter.com/vOXKLixbzR
使い始めに防水スプレーをかけて、あらかじめ革を水から守る対策をしておきましょう。
ブライドルレザーに防水スプレーを使って大丈夫?
問題ないよ。
防水スプレーをかけるだけで、ブライドルレザーの水ぶくれリスクはかなりの割合で軽減できます。
ブライドルレザー製品が濡れてしまったときの対処方法については、ブライドルレザーを濡らした時の対処法&水ぶくれができたときの直し方でくわしくお話ししています。
ところで”好み”でって?
革好きな方は防水スプレーを好まない人もいるんだ。エイジングが進まなくなるからとか、革質に影響がって考えてるんだと思う。
でもブライドルレザーは防水スプレーしても革質に大きな変化はないし、色変化を楽しむ革じゃないから、使うメリットの方が大きいと考えているよ。
おすすめの防水スプレーは、コロニルの革用防水スプレー4種類を比較|迷ったらウォーターストップで間違いなしで紹介しているウォーターストップです。
クリームを塗るのはいつから?
クリームを塗り始めるタイミングがむずかしいんだけど。
最初にブルームをふき取るかどうかでタイミングが変わるよ。
ブルームをふき取って使うなら、ある程度使って表面が乾いてきたかな?と感じたら塗ってあげてください。
ブルームをふき取らずに使う場合は、表面のブルームが自然になくなって、表面が乾いてきたなと感じたら塗ってください。
その後は時々ブラッシング後にクリームを塗りましょう。はっ水効果が落ちてきたなと感じたらまた防水スプレーを使うといいでしょう。
とはいえ、よほどべったり塗ったりクリームのチョイスをまちがえなければ、少しくらい早く塗っても問題はないよ。
むずかしければ、ブルームがなくなって1か月後とか目安を決めるといいかも。その後は毎日使っていれば革が乾いてくる感覚もわかってくるはず。
この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございました。
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