コロンブスが販売するブライドルレザークリームについて解説する内容です。
この記事は、革職人の私が実際に商品を購入して使用し、疑問点をメーカーに直接質問した上で書いています。
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普通のクリームと何がちがうの?
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普通の革にブライドルレザークリームを使うとどうなるの?
などについてお話します。
ブライドルレザーって何?と疑問に思った方は、関連記事 ブライドルレザーってどんな革?特徴と性質をわかりやすく解説を別タブで開いて後で読んでみてください。
ブライドルレザークリームってどんなクリーム?
コロンブスが作るブライドルレザークリームの特徴や品質について掘り下げます。
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ほかの革用クリームとどうちがうの?
先に結論だけお話しします。
ブライドルレザーに特化した、ロウ成分多めの油性クリーム。
落ちて無くなったブルーム(白い粉)の成分を補うような効果が期待できます。
他の多くのクリームとの違いは「油性」
ブライドルレザークリームは油性のクリームです。
革の種類によっては油性クリームでシミができるリスクがありますが、ブライドルレザーは油シミが目立ちにくい革なので気にする必要はありません。
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
油性の方がブライドルレザーに合っているなら油性でOK。
合っているかどうかはここから先を読みつつ考えてみましょう。
ブライドルレザーに特化した、ロウ成分多め配合
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ブライドルレザークリームに含まれる成分は下記の通りです。
ミツロウ、ラノリン、マイクロワックス、ホホバオイル、ワセリン、中性合性油
蜜蝋やラノリン(羊毛からとれるロウ成分)、ホホバオイルなど、他社の革用クリームにもよく登場する成分が入っています。他のクリームであまり見かけない※のはマイクロワックスと中性合成油。
※メーカーには革用クリームに成分のすべてを記載する義務などありませんので、実はほかのクリームにも含まれている可能性がゼロではありません。
マイクロワックスは、キャンドル作りに使われる融点が高い(常温では固形の)ロウのようです。
中性合成油は、常温では液体の石油由来のオイルと認識しました(ちがってたら詳しい方教えてください)。
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よくわからないけどつまりどういうこと?
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
通常のクリームに比べると、革表面に残って革を守る成分が多いみたい。
ブライドルレザー特有のブルームの役割を担うクリームって感じかな。ラノリンとホホバオイルが浸透してブライドルレザーの柔軟性を保つ効果が期待できそうだね。
![ブルームが付いたブライドルレザー](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2022/07/DSE_3790-1.jpg)
ブライドルレザークリームを塗るとすこしだけ防水性が高まる
撥水性をテストしてみました。
クリームを塗った側は、水を垂らしたらすぐに弾いています。
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水を追加した部分だけで比較しても、塗っていない側はボツボツが多くできている(水を多く吸っている)のに対し、塗った側はボツボツが少ないです。
ちなみに、このポツポツはブライドルレザー特有のもので、濡れると発生することがあります。乾くと目立たなくなり、ほとんど消えてなくなることもありますが、濡らさないように注意して使うことをすすめます。
くわしくは、ブライドルレザーを濡らした時の対処法&水ぶくれができたときの直し方をご覧ください。
栃木レザーでも撥水性を試してみました。
防水スプレーの成分を配合した強敵「コロニル1909シュプリームクリームデラックス」との比較です。
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結果。コロニルの方が気持ち水の吸い込みが少なかったようですが、コロンブスのブライドルレザークリームも健闘しています。
関連記事 1909シュプリームクリームデラックス(カラーレス)の万能感をレビュー&使い方
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
クリームを塗ったからといって濡れても安心とはならないけれど、お守りよりは効果があるよ。
撥水性を高めるには、ヌメ革でもブライドルレザーでも、防水スプレーが必須。これが結論です。
ブライドルレザークリームを使うメリットデメリット
ブライドルレザークリームをブライドルレザーに使うメリットとデメリットをまとめます。
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
塗りすぎさえしなければデメリットは見当たらないかな
ブライドルクリームの中身はこんな感じ
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ワックスと言った方がしっくりきそうな固形のクリームで、夏場でも硬く(ワセリンより硬い)、逆さにしても落ちてきません。
指をあてると体温で若干溶けます。
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溶けたクリームはべたつかず、簡単に拭き取れます。
ほぼ無臭ですが、かすかにワセリンのような香りがします。
ラベルがちがっていれば、お肌に使うクリームの類と間違いそうです。
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付属の布やスポンジで塗るならちょうどいい硬さです。
ラナパーに似てない?
クリームというよりもワックスといった方がふさわしいこのブライドルレザークリームですが、他社製品でよく似たものがあります。ラナパーです。
関連記事 「ラナパーは革に悪い」は本当か?|デメリットとメリットを解説
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
独特の硬さと、革に塗ってすぐのテカリ感が似てるなって。
とはいえ、おそらくメーカーの方に尋ねれば首を縦には振らないでしょう。成分も似ていますが、全く同じではないはず。
※これはあくまでも私の主観です。
ブライドルレザークリームのパッケージ
パッケージにも触れておきましょう。裏方の道具でもデザインがいいかどうかは気になりますよね。
まず外箱の外観から。
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コロンブスプレミアムシリーズ共通の統一感あるパッケージです。
プレミアムシリーズには、ほかにコンディショニングクリームや、モイスチャークリーム、コードバンクリームなどがあります。
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背面。
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開けたときのファーストビューがちょっと高級感あってあがるんですよね。プレミアムシリーズにはクロスがついているのもうれしい。
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アルミのキャップがついたガラス瓶ジャータイプです。
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
プラスチッキーな安っぽいパッケージの商品もある中、決して悪くないデザインだと思います。
ブライドルクリームの使い方
使い方にもざっくりと触れておきましょう。
ブラシは化繊毛のプロブラシか馬毛のものがいいでしょう。
関連記事 革職人が選んだベストな革用ブラシに検証写真を添えて。
使い方についてよりくわしい解説は、ブライドルレザー製品のお手入れ方法【長持ちさせる】をご覧ください。
ブライドルレザークリームをヌメ革に使っても大丈夫?
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他にヌメ革の財布も持ってるんだけどそれにも使っていい?
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メーカーはヌメ革に使わないように注意書きを添えてるよ。
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そうはいっても、注意書きは万が一のときの訴訟とかクレームを避けるために書くものだよね。
じゃあ、このブログ「デテログ」の結論は?
- Qブライドルレザークリームはヌメ革には使えない?
- A
メーカーはダメと言っている。おすすめはしないけど、兼用にして節約したいならリスクを受け入れた上で使ってOK。
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メーカーの方の話も交えて深掘りしてみよう。
メーカーに聞いてみた
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ヌメ革に使わないように注意書きがありますが、ヌメ革に使うと何か問題があるのでしょうか?
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ヌメ革の場合は、基本的に表面加工があまりされておらず、水や油が浸透しやすい革になります。
水分であれば、乾燥して元の色味に戻りますが、ブライドルレザークリーム等の油系クリームを
使用すると色味が濃くなり元に戻らなくなる可能性があります。また、エイジングを早めてしまう可能性もございます。
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ブライドルレザー以外の革に使ったときに、起こり得る可能性があるリスクがあったら教えてください。
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上記のように油分があまり含まれていない革では、色味が濃くなり、戻らない可能j性があります。
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塗ることでブライドルレザーのブルームが復活することは考えられますか?
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復活といるよりは、ブライドルレザークリームを使用することで、表面のブルームがクリームと馴染み、見た目消えたように見えますが、ブライドルレザークリームが乾燥もしくは革へ浸透すると、もう一度、出てくる可能性はあります。
ブライドルレザーのブルームは脂肪分のため、使用していくことでいずれ馴染み、なくなりますが。
栃木レザーに塗ってみた
効果を比較するため、コロニルの1909シュプリームクリームデラックスと塗り比べしてみました。
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塗ってすぐの状態はテカテカしています。
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しばらく置くと油分が浸透し、元通りの見た目になりました。
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うん。普通に使えそうな。
ブライドルレザークリームの方がツヤが落ち着いたマットな仕上がりに見えます。油性ゆえ浸透が早いからでしょうか。
余談ですが、
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油性クリームを塗ったら革の光沢がなくなった
となげくレビューを見かけたことがありますが、心配は無用です。大抵の場合ブラッシングすれば元のツヤに戻ります。
結論:使っても大丈夫だけどリスクはある
結論、ヌメ革など他の革に使っても大きな問題はなさそうですが、二つのリスクが考えられます。
厚く塗ってしまうと、マイクロワックスやワセリンが革の透湿性(湿気を吸ったり放出したりする性質)を阻害する可能性があります。
その結果、もし湿気や水を多く吸った場合、なかなか乾かなくてカビが生えやすくなるリスクがありそうです。
関連記事 プロが教える革製品のカビ予防策!おすすめ防カビ剤も紹介
また、油性クリームなので、塗りムラができるとオイルシミが残ってしまうことがあります。
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とはいっても、ヌメ革はどんなクリームでもシミができる可能性があるよ。だから他のクリームもはらんでいるリスクなんだ。
でも過度な心配はいらないよ。シミもいずれわかりにくくなるし、それも含めていい雰囲気に育っていくのがヌメ革だからね。
ヌメ革に使うならどのクリームがおすすめ?
いろいろいいクリームがありますが、使いやすくてほかの革製品にもおすすめできる点で1909シュプリームクリームデラックスがおすすめです。
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関連記事 1909シュプリームクリームデラックス(カラーレス)の万能感をレビュー&使い方
![](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2020/05/DSF_2446-1-320x180.jpg)
ほかにもう一つあげるなら、コロンブスのコンディショニングクリームもいいですね。
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シミができるリスクが低いので、デリケートな革にも安心して使えます。
関連記事 革小物用コンディショニングクリームの使い方とレビュー(コロンブス)
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まとめ
コロンブスのブライドルレザークリームについてレビューしました。
ブライドルレザークリームの特徴をまとめると次のようになります。
個人的に、塗りすぎなければヌメ革に使っても大きな問題はないと考えますが、ほかのクリームを持っているならあえてブライドルレザークリームを使わなくてもいいと思います。
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
ブライドル以外の革に使うなら自己責任でどうぞ。
この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございました。
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