うまくできてたのに気が付いたら指紋の汚れが…
次は汚したくないです。どうすれば?
レザークラフターなら、一度は作業中に革を汚してしまった経験があるのではないでしょうか。
この記事では、レザークラフトを趣味にする方に向けて、革を汚さずに安心して作業を進める方法を6つ紹介します。
最初に、このページでお話ししたい内容をまとめます。
革、手、作業台、道具をきれいにするのがレザクラ中の汚れを防ぐ何よりの方法。そして不用意に濡らさないように。
革の種類によっては手袋をするのも効果的。防水スプレーは汚れ防止にもなる。デメリットを理解して使おう。
記事本編ではこれらを掘り下げて解説し、「それぞれがどんな汚れを防いでくれるのか?」や、「おすすめの道具」などについてもお話しします。
すてきな作品作りのお手伝いができたらうれしいです。
レザークラフト作業中に革が汚れるのを防ぐ6つの方法
手の汚れが革を汚す|濡れた手で革に触らない
作業前や作業中にまめに手を洗うだけで、革を汚すリスクを大きく減らすことができます。少なくとも、汚れた手で作業するのはやめましょう。
革が乾いているときは問題なくても、濡れた手(トコノールなどが付いたときなど)で革に触ると革についた汚れが目立ってしまうことが。
.革が汚れないよう、作業中もきれいな手で行うように意識しましょう。
特に次のような場合に気を付けるといいでしょう。
鉄の道具に触ったあとや刃物を砥いだあとは、鉄が手に付着している可能性があります。
この状態で革(タンニンなめし革)に触ってしまうと、革に黒っぽいシミができる原因になってしまうことがあります。
くわしくは、【実験】鉄で黒くなったタンニンなめし革をクエン酸でクリーニングする方法をごらんください。
油が革にシミを作ることもあります。多くの場合、油シミは時間を置けば落ちつきますが、革の種類によっては長期間跡が残る場合があり注意が必要です。
レザークラフト中はいつも手をきれいに保とう
作業台の汚れに注意|作業台は意外と汚れやすい
手と同じくらい作業台の汚れにも気を配りたいところ。
レザークラフトの作業スペースで使われるビニプライ(ビニ板)は、使っていると切り目が深くなっていきほこりがたまりやすくなります。ブラシなどを使って汚れがたまらないようにしましょう。
私はレデッカーというブランドのテーブルブラシテーブル(豚毛)とエアダスターを使っています。
やばいの買ったw
— デテログ (dete®の人) (@mkgx81) November 1, 2022
あとはロボット掃除機と空気清浄機に任せた。 pic.twitter.com/6990uGBn7u
ほこり以外にも、作業台にこぼれたトコノールやコバ処理剤、染料や接着剤などにも気を付けましょう。特に染料は革に染みこむと取り除くのは困難です。
落ちにくい汚れにはアルコール入りのウエットティッシュが便利です。
いつも作業台を清潔に。接着剤や染料がこぼれたらすぐに拭き取る
革の汚れにも気を付けたい。ブラッシングで汚れを落とす
革そのものに汚れがついていると、濡れた時に汚れが現れたり、革の中に染みこんでしまい落とせなくなってしまいます。
革を切り出したらブラッシングしてから作業を始めましょう。
ブラシは靴磨き用のものを使います。硬い順に、豚、化繊、馬、山羊になります。
豚はすこし硬いので、それ以外のブラシを使うといいでしょう。私は化繊か馬毛を使っています。
作業前には革をブラッシングして汚れを取り除こう
ヌメ革でクラフトするなら手袋があると安心
水を吸いやすいヌメ革や素上げ革は、うすくて作業しやすい手袋があると安心です。
特に、内縫い(あらかじめ裏返した状態で縫い、ひっくり返して仕上げる製法)した革をひっくり返す工程やコバ磨き、手縫いなどは革に手を触れる機会が多い場面。
これらの作業中はどうしても手に力が入ってしまいがちで、革を汚しやすい危険なタイミングで、手袋が効果的です。
私が使っているのはトラスコのゴム手袋Mサイズ。よほど繊細な作業でなければこれで問題なく行えます(レザクラの8割方イケるイメージ)。
手の大きな方はLサイズ、女性ならSサイズを検討されるといいかと思います。
ヌメ革は汚れやすい。手袋が汚れ防止に効果的。
事前のクリーム・防水スプレーで革の汚れを防ぐ効果が
ここで紹介するのはちょっとした裏ワザ。
汚れやすい革は、あらかじめクリームや防水スプレーを使って汚れが染みこまないようにするのもありです。
汚れの多くは水分と一緒に革に付着するため、水をはじく防水スプレーやクリームは汚れ防止に役立ちます。
特に革用の防水スプレーは水滴だけでなくほこりなどの汚れもはじいてくれるため、より効果的です。
防水スプレーはシリコンやカーボンなどを使っていないフッ素系の商品を使ってください。私はコロニルのウォーターストップを使っています。
参考記事 コロニルの革用防水スプレー4種類を比較|迷ったらウォーターストップで間違いなし
クリームなら、防水効果があるシュプリームクリームデラックスや、オイルで水分を弾く油性クリームのモイスチャークリームなどがいいでしょう。
余分なクリームはふき取って。クリームが革に浸透し、サラっとした手触りになってから作業しましょう。
製作前にクリームや防水スプレーを使う方法にはデメリットがある点も知っておく必要があります。
これらのデメリットを理解したうえで行うかどうか判断してください。
防水スプレーをかけた革のコバに染料を入れようとしたら表層側が全然染まらなかった経験あり。
どれくらい影響が出るのか、使う革でテストしてから実践するのがいいでしょう。
クリームや防水スプレーが作業中の汚れ防止にも効果的。染料やコバ処理剤が効かなくなるリスクも理解する。
乾きが遅いボールペンインクは危険
ボールペンのインクが革を汚してしまうことがあります。
革を貼り合わせるときなどにつけるボールペンの印が要因です。
銀ペンを使うから問題ないという方もいるかもしれませんが、革の種類や色によっては銀ペンよりもボールペンが使いやすい場合がありますね。
そんなとき、乾きが遅いペンを使うと、汚してはいけない部分にインクを付けてしまうミスのリスクが高まります。
私の経験では、銀面(革の表面)同士を貼り合わせるときの「荒らし」作業中、削った革についたインクが原因でほかの革を汚してしまったことがあります。
関連記事 革の表面同士がうまく接着できない!革表面を荒らす3つの方法
しるし付けには乾きが早いインク(油性)のペンを使う。インクが乾いたのを確認してから作業をすすめる。
革が汚れてしまった時の対処法
表面的な汚れは消しゴムで落とせる
革表面にのった汚れは消しゴムで落とせる場合があります。
ただ、消しゴムは表面を削って落とすものなので、革表面の塗装を落としてしまうリスクがあります。
また、革にしみ込んだ汚れは落とせません。
消しゴムで、紙の表面をこすると、この紙の表面にならんだえんぴつの細かな粒が、こすり取られるために、字は消えてしまうのです。
出典元 消しゴムはどうして字を消すことができるの | 身近なふしぎ | 科学なぜなぜ110番 | 科学 | 学研キッズネット
ボールペンやサインペンでかいた字の場合には、インキが紙の表面だけでなく、紙の中にまでしみ通ってしまうために、いくら消しゴムで表面をこすっても、字は消えずにのこっているのです。
鉄で黒ずんだ革はクエン酸水で元通りになる
意外に多い鉄による革の黒ずみは、クエン酸水できれいにできます。
写真は、クエン酸水溶液をティッシュに染みこませて革をパックした結果です。
くわしくは、【実験】鉄で黒くなったタンニンなめし革をクエン酸でクリーニングする方法をごらんください。
鉄がついた覚えがなくても、革の製造・流通段階、漉き加工(厚みをうすくする加工)の段階で鉄粉が付着している場合があります。
クラフト中に革が濡れたタイミングで発覚するケースがあるので、このクエン酸のテクニックを覚えておくと便利です。
革を加工して汚れを目立たなくさせる
ここで紹介するのは、クリーニング方法ではありません。シボ模様を入れたり磨いたりして汚れを目立たなくさせる方法です。
ごまかしじゃない?
うっ。
でも汚れが目立たなくなるのは本当。前向きにとらえましょう。
革のシボを入れるには、キリシメンという道具が効率的で便利です。
関連記事 キリシメンとは?革にシボを入れる為の貴重な道具です。
特別なテクニックはいりません。ちょっと練習すればだれでもできるようになります。
さらに、ワックスをしみ込ませて磨いた上でシボを入れるとまた雰囲気が変わります。
こういった自分でできる革の加工について、関連記事の自分でできる革の味出し加工法10選|染め、ツヤ出し、シボ、ウォッシュ加工で解説しています。
革にしみ込んだ染料や汚れは落とせない
染料は顔料とちがい革の中まで入り込んでしまうため、一度染まると基本的に落とすのは困難です。
染まる革(塗装やコーティングがされていないか最低限の革)についてしまったら作り直すしかありません。
コーヒーや紅茶などの飲み物、泥水や汚れをふくんだ水なども同様です。
気をつけましょう。
レザクラで革を汚さず使う方法まとめ
革を汚さず作業するために大切なのは次の通りです。
革、手、作業台、道具をきれいに保つのがレザクラ中の汚れを防ぐ何よりの方法。そして不用意に革を濡らさないようにしましょう。
具体的には、マメな手洗いと作業台のお掃除が効果的です。染料や接着剤やコバ処理剤を使ったあと、刃物を砥いだあとなどは特に気をつけましょう。
革の種類によっては手袋をするのも効果的。
また、防水スプレーは汚れ防止用としても効果を発揮します。染色ができなくなったり接着剤が効きにくくなるデメリットもあるため、理解した上で行ってください。
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