素上げの革ってどんな革?

素上げ革とはどんな革?革辞典

『素上げ』の革とはどんな革のことなのかを解説します。

けっこうマニアックな知識ですが、革製品を選ぶ際の参考にしていただけると思います。

この記事を書いた人
dete

・レザーブランド"dete"の人
・職人歴10年/元・美容師

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『素上げ』の革ってどんな革?

素上げの革、味カーフ。

メインテーマの『素上げ革とは何か?』ついて。

素上げはすっぴんレザー

素上げの革というのは、顔料の塗装やラッカーなどによるコーティング、グレージング(摩擦)や型押しなどの仕上げをせずに、あえて最低限の染色だけで仕上げた革のことです。

関連記事の、革職人が考える『良い革』とは?の最初の項目の『うす化粧の革』に素上げ革は該当します。

素上げ革の特徴

  • 革の表と内部の色が近い(表の色が極端に濃くない)場合が多い
  • マットな質感
  • 水を吸いやすい
  • 毛穴が残っている

などなど。

うちで取り扱っている代表的な素上げレザー

  • ヌメ革
  • マイネ
  • トイアーノ
  • 味カーフ

ヌメ革

よくあるベージュのヌメ革は素上げの中の素上げ。

乱暴にいえばなめしただけの革ですので、ごまかしは一切できません。

マイネ

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人気急上昇中のイタリアンレザー"マイネ"です。マイネの特徴は不可能を可能にした54色のカラバリその特徴は、なんといってもその色の美し...

イタリアンレザーのマイネは鮮やかな発色が特徴の革ですが、染料の染めだけで色を出しており、表面の仕上げも最低限のみです。

トイアーノ

マイネより若干ですがオイル分が多い印象。

タンニンなめし革らしい素朴さがあります。

味カーフ

味カーフはほぼ素上げの革でありながら移染がしにくい高品質素材です。

この革、革の楽しさ詰め込みすぎだろ・・・|新素材【味カーフ】で文庫本カバーを作った
イタリアから届いたカーフレザーを紹介します。ぶっちゃけ、本当に本当に良い革です。どこが良いのか?どんな製品に向いているのか?写真を交えて説明しています。
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タンニンなめし&コンビなめしの素上げ革を採用するメリット

イタリアンレザーTOIANOは素上げの革。

素上げ革を使うメリットは主に二つ。

素上げ革を使うメリット
  • ダイレクトに味わえる革の経年変化
  • 革らしい素朴な風合い

メリット1⃣:ダイレクトに味わえる経年変化

素上げ革はダイレクトに味わえる経年変化が魅力。

※タンニンなめしとコンビなめしの素上げ革のみ。クロムなめしの革は該当しません。

そもそもクロムなめしの素上げ革というのは、靴用で職人が加工する前提の革が多いので、バッグ用やクラフト用などに使われることは稀。
ミコガイ

逆に、タンニンなめしやコンビなめしの素上げ革には独特の魅力があり、クラフト用として人気です。

話を戻します。

素上げ革は革表面のコーディングがされていないので、摩擦や圧力の影響をモロに受けて表情が変化します。

どうなるのか、実験してみましょう。

布でこする実験

布で力を入れて5秒ほど(少し熱くなるくらい)こすってみました。

【味カーフ】

【マイネ】

どちらもはっきりと色が濃くなり、ツヤが増しました。

この変化にはタンニンが影響していますが、素上げでなかったらここまではっきりとした状態にはなりません。

使い込んで自然にこのように変わっていくのが素上げ革の醍醐味。

色艶の変化そのものが魅力なのですが、ただ変化するというだけではなく、どう変化するかは使ってみないとわからいということもまた楽しい。

メリット2⃣:革らしい素朴な風合い

素上げ革は、塗装した革やアイロンでプレスした革、型押しした革などに比べると華やかさにかける一面がありますが、それらの革では味わえない、革らしい素朴さがあります

たとえばこの青い革。

毛穴や生きていた時についた傷のかすかな残りなど、鮮やかに染められていながらも、革の質感が手に取るようにわかると思います。

少し大げさにいうと、素上げ革で作る製品は全てが一点物。

素上げ革からは、二つとして同じ製品は生まれません。

タンニンなめし&コンビなめしの素上げ革のデメリット

素上げ革にはデメリットがあります。

素上げ革のデメリット
  • 水シミや汚れが付きやすい
  • アタリ、テカリが出る
  • 原皮の質で革の仕上がりが左右される

デメリット1⃣:水シミや汚れが付きやすい

素上げ革は水を吸いやすい。

表面保護も最低限なので、水を吸いやすくシミになりやすい。

汚れも同様に残りやすいので、扱いに気を遣う必要もあるデリケートな素材。

昔のミコガイ

じゃあ素上げ革の革製品は買わない方がいいの?

ミコガイ

いいえ。むしろ、そのデリケートさが逆にかわいい。
手入れする楽しさも教えてくれるのが素上げ革です。

実際、根強いファンが多く、deteでも素上げの革に絞ってお選びになるお客様が多数いらっしゃいます。

デメリット2⃣:アタリ、テカリが出る

要は、ツヤが出るとうこと。

このデメリットはメリットの経年変化と表裏一体。

革らしい変化がお好きでない方にとってはデメリットということです。

デメリット3⃣:原皮の質で革の仕上がりが左右される

タンニンなめし&コンビなめしの素上げ革のデメリット

このデメリットは、作り手や売り手にとってのデメリット。

素上げはキズや虫食い跡、染色のムラなどが隠せません。

その為、上手に使わないとロスが多くなります

また、お客様の理解が足らないとクレームの原因になるので、注意点を知らせるなどの対策が必要になります。

素上げ革の手入れと扱い方

手入れと扱い方で大切なことは3つ。

素上げ革の扱い方
  1. まめにブラッシングを
  2. 手でベタベタ触り過ぎない
  3. クリームやスプレーなど適切に使う

まめにブラッシングを

まめなブラッシングは革の扱い方の基本中の基本。

ほこりや汚れをそのままにしておくと、濡れた時に汚れがしみ込んでしまったり、ほこりが革の油分を吸ってしまったり、カビの栄養源になったりと良いことがありません。

☝この辺りを使えば問題ないですが、より詳しく知りたい方は☟をどうぞ。

手でベタベタ触り過ぎない

気に入った革製品はなでてしまいたくなりますが、素上げの革製品に関しては、それは控えめにした方がいいかも。

手は知らず知らずのうちに汚れているものです。

汗も革にとって良い物ではありません。

クリームやスプレーなど適切に使う

この辺りのクリームやゲル状のデリケートクリームがおすすめ。

こちらも詳しくは別記事で書いています。

防水スプレーは賛否いろいろですが、私は必ずしも反対ではないです。

防水スプレーを使った方が良いケース
  • 濡れ、汚れやすい環境で使う
  • 汚したくない方

※素上げ革は、防水スプレーでシミができる恐れはあります。

それでも、上記のようなケースでは防水スプレーを使った方がいいと考えています。
汚すよりはシミの方がマシ(シミは段々目立たなくなりますが、汚れは蓄積されていきます。)

素上げ革についてのまとめ

  • 素上げとは何なのか?
  • どんなメリットがあるの?
  • デメリットは?
  • 扱い方は?

などについて書いてきました。

ざっくりおさらいすると、

素上げの革というのは、コーティングや熱による仕上げをせずに、あえてすっぴんで仕上げた革のことです。

素朴ですが、革らしい経年変化ががっつり楽しめるところがメリット。革の成長を見ながら使えるので、私自身とても好きな素材です。

逆に主なデメリットは、デリケートなところが挙げられます。

きちんと手入れしながら使うかどうかで数年後の仕上がりに差が出るので、きちんとお手入れして可愛がりながら使ってあげることをおすすめします!

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