- キリシメンって何?
- 使い方は?
- 入手方法は?
そんな疑問にお答えする記事です。
キリシメンとは?
ズバリ言うと、革の手もみに使う道具で、シボを入れて表情豊かな革に加工したり、柔らかく加工して扱いやすくしたりするためのもの。
キリシメンとキリシメンで揉んだ革、揉んでいない革。
革の表面を谷にして揉むとシボが入ります。
シボの大きさは、
・革の厚みが薄ければ薄いほど
・繊維が細くて密なほど
小さくて細かなシボに仕上がります。 pic.twitter.com/J7oGHQWy8E— dete (@mkgx81) December 22, 2020
キリシメンとの出会い
先日、革の仕入先を訪ねた際に、使い古された“フネ(キリシメン)”という道具を見せていただきました。
キリシメン?聞きなれない名前です。聞いたことはありますか?私は聞いたこともなかったし、実際に目にしても、何に使う物なのかわかりませんでした。
これがキリシメンです。
構造はというと、底が船形に削られた分厚い一枚板がベースになっており、片側の先端付近に斜め上に向かって15cmくらいの長さの棒が付いている。反対側の先端より少し中央付近に、キリシメンの左右をアーチ状に繋ぐ帯状の薄い革が取り付けてあります。底には分厚い革が数枚張り合わされています。
先端付近の棒が持ち手です。帯状の革は、持ち手を持った腕とキリシメン本体が離れないように固定する為のもの。底の革は、キリシメンが革を傷つけない為についています。
革のシボを入れる道具。それがキリシメン。
これを何に使うかというと、”革を揉んでシボを入れる”のに使うのです。年季が入っていますがもちろん現役です。
革にシボを入れる理由は?
シボを入れることにより、革に柔軟性をもたらします。さらに、革の傷やトラ(筋)や血筋、色ムラや汚れが目立たなくなります。良いことずくめですね。
どちらかと言えば、ハードな印象ではなく柔らかい印象の革になります。
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シボやそれ以外の自分でできる革の加工方法を紹介しています。
シボを入れる方法
シボを入れる方法はいくつかありますが、一番簡単な方法は銀面側を谷にして折ること。縦にシワが入りますね。これを平行に繰り返すと、LV社のエピに代表される水シボという線状のシボが入ります。
キリシメンは、この折る(揉む)やり方を確実に、楽にする為に考えられた道具。もちろん市販などされてはいません。各々が使いやすいように特注であつらえたものです。
昔ながらの職人って雰囲気がありますね!
このキリシメンの使い方
こんな感じでシボを入れます。
一方向だと水シボ(ヴィトンのエピ的な)、いろいろな方向から揉むと自然な丸シボに仕上がります。 pic.twitter.com/lGkGN1PMb4— dete (@mkgx81) December 22, 2020
使い方は、革の銀面(表側)を谷に折りながら、キリシメンの湾曲した底を使って革全体にシワを入れていきます。キリシメンの平らな面についている革に腕を通し、船底を利用してぎゅっぎゅっと体重をかけて前後に行ったり来たり。
これを八方から繰り返すことで、丸みのあるシワを作り上げていきます。
一度にシボを入れることができる範囲は限られます。その為、何度も何度も体重をかけて往復しなければいけません。
実際に使ってみせてもらいましたが、本当に繊細で大胆な力仕事です。職人さんによると、相当腰にくる作業だそうで。そうでしょうなぁ。頭が下がります。
シボの具合を見ながら、熟練のカンで程よい塩梅に仕上げています。
仕上がりです。 pic.twitter.com/NZBpyAF6dL
— dete (@mkgx81) December 22, 2020
貴重な技術の甲斐あって、熟練の職人が仕上げた革の表情はとても美しく、そして製品に仕立てた時に最も美しい姿になる。
弊社使用の国産ゴートは、こういった職人の技があってこそ成り立っています。
細かなシボと光沢が美しいです。
今後も使い続けていきます。
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