レザークラフトで何を作っても、人と同じようなものばかりに。
何かいい差別化アイディアありませんか?
クセが強いものを作りたい!どうすれば?
そんな方に役立つかもしれないアイディアを提案します。
今回お伝えするアイディアは、【革の加工】!
素材そのものを加工してしまおうという発想です。
そんなこと自分でできるの?
初心者さんでもできる方法も紹介します!
どれも掘ると深いです。気になる手法を掘り下げて楽しんでください!
自分でできる革の味出し加工法10選|レザークラフト
10の方法を紹介します。
揉んでシボ入れ
とってもカンタンなシボ入れ加工法です。
やり方 革の表面を内側にして折りたたみ、ころころと転がすようにしてシボを入れる
以上。
つまり手でもむだけです。カンタンでしょう?
上級者さんはキリシメンという道具も試して欲しい。
キリシメンについてくわしくは、キリシメンとは?革にシボを入れる為の貴重な道具です。をご覧ください。
スクラッチ加工
革をひっかいてキズをつける加工方法です。
これもちょっとした道具を用意すればだれにでもできます。
このような真鍮のブラシ☟
これを使って、細かく円を描くように革表面をこすっていきます。
その結果が☟こちら
ブラシの毛の太さや密度、そしてブラシの動かし方で雰囲気が変わります。
ちなみに、このやり方は顔料で塗装した革には不向きです。
染めていないか、染料だけで色付けした革におすすめの方法です。
関連記事 顔料を使っている革は悪い革?染料と顔料のメリットとデメリット
染色
革を染めることでいろんな表現ができます。
うちの製品では採用していないですが楽しい作業だと思います!
染料染め
均一に染めたり、ムラっぽく染めたり、描くように染めたり、やり方は無限大。
☟このようなセットもあります。
マーブル染め
唯一無二の模様が描けます。
コーヒー染め/紅茶染め
やり方 冷ましたコーヒー/紅茶液で染めるだけ
こちらのBE-PALのコラム☟で体験レポートが掲載されています。
https://www.bepal.net/diy/133051
コーヒーにはタンニンが含まれているので、コーヒーの茶色だけでなくタンニンの作用も関係しているのかもしれません。
紅茶も同様です。
やる際に気をつけて欲しいことが2点あります。
- 必ず冷めた液を使いましょう
- 浸けすぎに気をつけましょう
- 温風や直射日光で乾かすのは厳禁
BE-PALでは筆で塗っていますね。それなら問題ないですが、もし液に浸して染める場合は、長時間付けると油分やなめし成分が抜けすぎてしまう恐れがあります。
時間はどれくらいとはっきりは言えないですが、数分くらいずつ様子を見ながら浸けるようにしてください。
ドライヤーの温風や直射日光など、高温で乾かすのも絶対やめてください。
藍染め
こちらのKONYA-Iは、レザークラフト用品の専門メーカー誠和が作る藍染めキット。もちろん革にも使えます。
ヌメ革に藍染をすると、藍の紺色に茶色の絵の具を足したような経年変化をしていきます。
ネイビーがくすんで鮮やかさが抜けていくと想像できます。
鉄媒染(ビネガルーン染め)
ヌメ革にふくまれるタンニンは、鉄と反応して黒く変色します。
その作用を利用した染め方が鉄媒染。ビネガルーン染めともいうようです。
こちらのブログ☟でやり方が解説されています。
http://blog.livedoor.jp/leende67/archives/16053971.html
タンニンなめし革ならではの製法なのでおもしろいと思います。
グレージング加工(ツヤ出し)
グレージング加工とは…こすって摩擦熱をかけながら表面をつぶしてツヤを出す加工法
薄く塗り重ねてからウエスで強く擦ることで磨き艶が得られます。
引用元 楽天市場
バーニッシュ加工
バーニッシュ加工とは…ワックスの性質と摩擦熱を利用して色を濃くしながらツヤを出す加工法
自然乾燥後にウエスで強く磨くことで、焦がし加工バーニッシュ特有の風合いと磨き艶を得られます。
引用元 楽天市場
バーニッシュワックス+シボ入れでプルアップ加工
「ある革にグレージング加工したらイメージと違ったけど、それにシボ加工を加えたらプルアップして良い感じになった」のが今回の加工。
プルアップとは…前提として、革に油分を入れると色が濃くなります。プルアップする革は、伸ばしたり曲げたりした部分の色が薄く(革の地の色が見える状態に)なり、陰影が生まれます。
使ったのはバーニッシュワックスという商品。
これを革表面にぬって布で磨きます。
このバーニッシュワックスとはどんなブツなのかというと、ろうそくの原料でもあるパラフィンを水と混ぜて分離しないように安定させたもの。
靴みがきに使うツヤだしアイテムを水に溶かしてヌメ革に使いやすくしたものと考えてOK。
ふつうの靴用ツヤだしワックスを使っても面白いかもしれません。
自由に楽しみましょう。
スタンピング、カービング
カービングというと絵画的なデザインをイメージする方も多いと思いますが、バスケット模様のような連続したデザインのスタンピングも可能。
カービングは個性が強い物が多いですが、このような連続模様ならファッションを選ばず取り入れやすいのではないでしょうか。
やり方 濡らした革にすき間なく敷きつめるように刻印を打つ
刻印はいろいろありますが例えばこのようなもの☟
上級者向けのテクニックですが、基本を覚えれば無限に応用がきくので趣味にぴったりです。
ブルーム加工
Lizedのブルームワックス使用イメージ
ブライドルレザー風のブルーム(白いロウが浮き出る状態)加工も自分でできます。
やり方 専用のワックスを塗り込んで布で磨く
本物のブライドルレザーのように内部までワックスがしみ込んだ革にはなりませんが、雰囲気は楽しめますね。
パール加工
普通の革がラメラメに!
一気に雰囲気が変わりますね。
やり方 布でペーストを伸ばし、ウレタントップで色止めします。
オイル加工
ヌメ革に、あえてオイルやワックスを多めに足して雰囲気を変化させる加工。
ただ塗るだけなので加工というのもちゅうちょするくらいに簡単です。
市販の革製品用クリームを使うか、☟のような革用オイルを革にしみ込ませます。
大きな見た目の変化はありません。
色が少し濃くなるのと、やわらかくなったり、オイルによって質感が変わったりという変化が楽しめます。
ウォッシュ加工
水で濡らした状態で革をもんだり折ったりしてクセ付けする加工法。
革を傷めるリスクがあります。
自己責任でやりましょう。
※ウォッシュ加工後は必ずオイルやクリームを多めに塗ってください。
ウォッシュ加工した革製品の例
ウォッシュ加工+バッフィング(やすりがけ)
ウォッシュ加工でできたシワを利用し、ランダムにやすりをかける方法。
手作業でやすりがけするのは大変ですが、むずかしいことはないのでハンドメイドでもできると思います。
革を燃やす?
リスクしか無いですが、やり方によってはアートかもしれません。
経験済みです。
めっちゃ良い感じになりましたが、製品にするのはムリゲーだったので辞めました。
少なくとも、力がかかる部分には行わないでください。たとえばバッグに仕上げて、そこが裂けたりしたら大問題になりかねません。
それと、クロムなめし革を燃やすと有害物質が出ます。
ヌメ革以外の革、特殊な加工がされた革などは燃やさないでください。
ルールはないので何をやっても自由だという意味で紹介しました。
安全に気をつけつつ自由に楽しみましょう。
自分でできる革の味出しクラフトのまとめ
自分でできる革の味出し加工を10種類+α紹介しました。
記事内で、Lizedさんの商品がいくつも登場しましたね。
こちら様は今までタンナーしか手にできなかったプロ仕様の染料やワックスを扱っており、趣味で革遊びするには最高なラインナップがそろっています。
なかなかそそられますよ。オタク寄りな職人さん/クラフターさんはぜひ一度チェックしてみてください。
今回紹介した内容は、カービングや染色などをのぞけば、どれもむずかしいことは無いテクニックです。
人と同じでは満足できない方、いろんな可能性に挑戦したい方、ふつうの革には飽きてしまった方、ぜひトライしてみてください。
水に浸すと油分が抜けたり、乾燥に熱を使うと革を傷めてしまうリスクがあったりと、気を使わないといけない部分もあります。
いただいたいのちを最後まで有効につかえる(肉の副産物が皮で、革の原料)のが革という素材のいいところ。最後までムダなく大切に使ってあげましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
他にもレザークラフト関連や革についての記事を書いています。
https://dete-diary.com/10289/
https://dete-diary.com/9884/
コメント
蝋などのワックスで煮込むのはどうでしょう?
レザーアーマーはそうやって作ると強いものになります。
蜜蝋がポピュラーですがカルナバ蝋が最強と言われていますね。
グレージングなんですけどアルコール入りの水で少し乾いたところでやったらいくつかはすごく綺麗になりました。
緑色のアリゾナの床が蛇紋岩のような見た目になったので床革に施すのもありかもしれません。
念引きの応用で革全体をうまく焼きしめられないかと試行錯誤しています、反らないようにやる方法を模索しています。
革を燃やす(炙る)ってスウェードとかでやられることありますよね。
理論上は黒ラッカーを茶色の染料染にやると茶芯ができると思うんですがどう思います?
コメントありがとうございます。
いろいろ模索しながら楽しまれているのですね。革の可能性を試す意味でとても有意義なことだと思います。
蝋はそのまま入れすぎると結晶化した蝋がボロボロ落ちてきてしまいますが、油分と合わせたり量を考えたりすれば可能性はあるかもしれないですね。革は高温に弱いので温度には気をつける必要があります。
革用の染料などにはくわしくないですが、革に適した黒の顔料を茶色の染料染め革に載せれば茶芯同様の革になるのではないでしょうか。これはできそうな気がします。
こんにちは。Shinと申します。
スクラッチ加工について宜しければ教えてください。
プエブロレザーのデザインに憧れて、似たような加工が出来ないか模索している際に、デテログブログ様に辿り着きました。
自分で染色したヌメ革に、真鍮のブラシで丸くなぞる様に擦ってますが、なかなかこちらで紹介されてる様な模様になりません。なにかコツの様なものはありますか?
加工は染色する前がいいのでしょうか。染色した後、コーティング材でコートする前の方がいいのでしょうか。
よろしくお願いします。
Shinさんコメントありがとうございます。
自分で染色したヌメ革ではうまくいかないのですね。
プエブロをはじめとした市販の革と自分で染料で染めた革とでは表面の仕上げ方法がちがいます。
スクラッチ加工したいのであれば、市販の革をベースにした方がやりやすいかもしれませんね。
別の可能性としては、お使いのヌメ革の性質やこする強さに問題がある可能性もあります。この情報だけでは何とも言えませんが、いろいろとお試しになって正解にたどり着けることをお祈りしております。