くつ用のクリーナーとして有名な、ステインリムーバーについての記事です。
ステインリムーバーで財布をクリーニングしてもいい?
財布を汚しちゃった。ステインリムーバーできれいになる?
ステインリムーバーじゃなかったら何がおすすめ?
いきなりですが革職人の私なりの結論です。
絶対ダメとはいいませんが、財布やバッグに使うのはおすすめしません。
私自身、財布にステインリムーバーを使うことは今後も訪れないと思います。
くつのクリーニングには使いますよ。
財布のクリーニング用にダメとは言いませんが、強くすすめる商品ではありません。
とは言っても、ステインリムーバーを財布に使おうと思っているということは、財布やバッグの汚れで困ってここに来た方もいるはず。
使えないんだ…。
どうしよう。困ってます。
安心してください。ステインリムーバー以外の選択肢を提案させていただきます。
まずは、どうしておすすめしないのかの理由から解説します。
理由は必要ないという方は、目次⇩の目次の読みたい項目に飛んでください。
ステインリムーバーを革財布のクリーニングにおすすめしない理由
ステインリムーバーは革の財布やバッグにはおすすめしません。
特に、ヌメ革やイタリアンレザーの財布にステインリムーバーは使わないようにしましょう。
財布やバッグは、靴にくらべてデリケートな革が使われていることが多いです。
そもそも、メーカーは使えないと公表しています。
バッグやお財布には使えますか?
出典 ステインリムーバー M.MOWBRAY公式オンラインショップ
いいえ、お使いいただけません。
とは言え、試してみないとわかりませんよね。
ということで、愛用の財布に使ってみました。
実験。ステインリムーバーで色落ちするリスクがある?
ずばり、ステインリムーバーを使うリスクは、色落ちと革へのダメージです。
ステインリムーバーはイタリアンレザーの財布に使える?
— デテログ (dete®の人) (@mkgx81) October 8, 2022
A:おすすめはしないですが、リスクを理解した上でたまに使うならアリかな?
リスクは
・色落ち
・色ムラ
・シミ(特に明るい色の革)
布で優しく塗って完全に乾いたら乾拭き後クリームを。
一枚目 右半身塗ってすぐ
三枚目 乾拭き後 pic.twitter.com/s7YNctdYHM
愛用の財布にステインリムーバーを試してみました。
油分が取りのぞかれて色が明るくなり、かすんだように曇りが出ています。
軽く拭いただけで革の染料が布に付きました。
その乾拭きしてクリームを塗ったらほぼ元通りになりました。とはいえ、繰り返せば色が落ちていくし、ダメージも蓄積されていくでしょう。
次はヌメ革。
グリーンの線で仕切った右側だけにステインリムーバーを塗ってみました。
無染色のヌメ革なら、色落ちに関しては問題なさそう(目立たない場所でテストは必要)。シミもありません。
ただ、目に見えないダメージが加わっている可能性はあります。
ステインリムーバーの主な成分は有機溶剤。
有機溶剤と言っても具体的に何なのかは書いてありませんが、ふたを開けるだけでツンとする匂いが広がるところから、一般的なレザークリームより有機溶剤の濃度が濃いのは間違いなさそうです。
有機溶剤は塗装を剥がしたり色落ちさせたりと革にダメージを与えます。くわしくは、『有機溶剤不使用』の革用クリームまとめで触れています。
財布やバッグにはデリケートな革が使われていることが多いから注意。
そもそも財布のクリーニングにステインリムーバーは不要?
財布やバッグにステインリムーバーなどの靴用クリーナーは基本的に不要です。
その理由は、ステインリムーバーを使う目的の一つが古い靴用クリームを落とすためなのに対し、財布やバッグには靴用クリームが使われないからです。
靴用クリームは、光沢を出したり防水性を高めるため、財布用のクリームに比べてコッテリしていて、革に塗るとクリームの層が残ります。
ステインリムーバーなどの靴用クリーナーは、この層を剥がして落とせるくらい強力。
そのようなクリーナーを、デリケートな革が使われた財布やバッグに使うとシミや色落ちの原因になり、革を傷めてしまう恐れがあります。
そもそも財布用として売ってる商品じゃないもんね
そう。ステインリムーバーは靴用のクリーナー。
靴用のクリーナーの中には財布には向かない商品があるよ。
財布やバッグはどんなクリーニングすればいいの?
財布やバッグには、汗や雨水や砂や、衣類から出る繊維などのホコリに特化したクリーニングをしてあげるといいね。
次の章で方法を解説します。
財布やバッグに適したクリーニングとおすすめクリーナー
具体的なクリーニング方法
財布やバッグに適したクリニングは、まず第一にブラッシング。ほこりに油分を吸われるのを防いだり、濡れた時に汚れが革に浸みこむのを防ぎます。
ブラシは化繊のプロブラシがおすすめ。適度なコシがあって使いやすいです。
ブラシについてくわしくは、革職人が選んだベストな革用ブラシに検証写真を添えて。で解説しています。
デリケートな革専用にするなら、山羊毛のブラシの方も安心感があっておすすめ。
くわしくは、山羊毛ブラシを革製品に使うメリット|なめらかな光沢をご覧ください。
ブラッシングはマメにしてあげるといいですね。
なお、革が濡れた状態ではブラッシングは行わないでください。
濡れた革製品のお手入れ方法についてくわしくは、濡れた革財布の手入れ方法|保存版をご覧ください。
そして、状況に応じてたまーに界面活性剤と水でできた泡タイプのクリーナーを使ってあげてもいいでしょう。泡立つクリーナーならまんべんなく財布上で伸ばせるから、すみずみまでムラなくクリーニングできます。
推奨したいクリーナーの条件はこちら。
クリーナーは革専用の泡立つタイプがおすすめ
各社いろいろな商品を出していますが、私が愛用しているのはコロニルのレザーソープという商品。
水分量が少ないムースタイプ(髪に使うムースのような泡)なので、とにかく使いやすい。柔らかいクロスで優しくふき取ってあげるだけです。
くわしい使い方は、コロニルのレザーソープを使ったヌメ革クリーニング方法|使い方をご覧ください。
目立つ汚れはないけどたまにお掃除した方がいいかなって思うんだけど。
それならコロニルの汚れ落としクリームがぴったりだよ。
コロニルの汚れ落としクリームは、クリーニングしながら油分も入れられるクリームです。
くわしいレビューと使い方は、[正直レビュー]コロニル汚れ落としクリームってぶっちゃけどう?をご覧ください。
衣類用洗剤はおすすめしない
界面活性剤といっても、衣類用の洗剤は使わないでください。PHの問題で革に悪影響があったり、どんな成分が入っているかわからないからです。
ペン汚れは消しゴムで落とせる場合も?
水性ペンの汚れは消しゴムで落とせる場合があります。
くわしくは、革財布についたボールペン汚れを自分で落とす方法をご覧ください。
汚れにくい革にするために。予防方法
今回は仕方ないけれど、これからは汚れないように対策したい。
防水スプレーが最大の予防策になるかも。
防水スプレーの効果は水から守るだけではありません。汚れの付着や浸透を防ぐ効果もあります。くわしくは、ヌメ革製品の汚れを防ぐ方法2選|(黒ずみ&指紋)をご覧ください。
むずかしいならプロに頼もう
革製品のクリーニングを自分でするのは限界があります。
もし不安があるなら、自分で対処しようとせず、プロに頼む方がいい結果が得られるでしょう。
レザーソープを使ったけれど落とせなかった場合も同様です。
大切な製品なら特に、最初からプロにお任せするのがおすすめ。
皮革専門クリーニングのリナビスさんは、クリーニングから傷の補修、色の補正までをトータルで請け負ってくれます。
財布にステインリムーバーが使えるか?のまとめ
財布にステインリムーバーは使えるのか?についてお話しました。
結論は、基本的には財布やバッグにステインリムーバーはおすすめしません。
理由は、財布やバッグは靴よりもデリケートな革が使われている場合が多いから。
そして、靴に使うようなコッテリしたクリームを使うことがないからステインリムーバーは不要。
よほどひどい汚れでない限り試す必要はないですね。
一般の方でも使える財布やバッグ用のクリーナーをさがしている方には、コロニルのレザーソープをおすすめします。
関連記事 コロニルのレザーソープを使ったヌメ革クリーニング方法|使い方
軽い汚れに効果があって日常のお手入れも兼ねるクリームが欲しい方には、やはり同じくコロニルの汚れ落としクリームがいいでしょう。
関連記事 [正直レビュー]コロニル汚れ落としクリームってぶっちゃけどう?
最後に、ステインリムーバーで財布のクリーニングがうまくいった報告例も紹介しておきます。
ちょっとジーパンの色写りが激しくなってきたので、消しゴムとステインリムーバーできれいにしてみた!
— NAO (@HMHistory2018) June 13, 2019
三枚目:手を付ける前の写真を取り忘れたけど、消しゴムで目立つところをきれいにしたあと
二枚目:ステインリムーバー使用後
一枚目:ケア後
結論:結構きれいになったけど写真じゃわからない… pic.twitter.com/hpVlhWZFr8
インディゴで染まったヌメ革の財布がキレイになったとのことです。
こちらも念のため、リスクがあるので革に詳しくない人にはおすすめしないとお伝えしておきます。
ひどい汚れがあるならプロに頼んだ方が安心でしょう。
ちなみに、伝えたいのはステインリムーバーの品質が悪いということではありません。靴用のクリーナーとして優れた商品です。
知識を備えて正しく使い分けしてもらえたらうれしいです。
ステインリムーバーの正しい使い方については、エム・モゥブレィのステインリムーバーは革靴に必須のクリーナー|使い方解説をご覧ください。
この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございました。
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