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豚革(ピッグスキン)はどんな革?特徴、構造、種類をわかりやすく解説

豚革とはどんな革?用途、特徴、性質をまとめて解説 革の種類と専門知識

当記事はプロモーションをふくみます。

豚革を仕事で使っている革職人が、

豚革ってどういう革?

という疑問について深掘りしていく記事です。

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いきなりまとめると…? 豚革は、『毛穴』と凹凸模様がポイントのジャパニーズレザー。

写真をたくさん載せつつ、特徴や種類などについてくわしく解説します。

その他の革とその動物についてまとめました。
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ブタと豚革のスペック

どんな革?

学名、和名:ブタ / Sus scrofa domesticus

革の呼び方:豚革、ピッグスキンなど

使いみち:バッグ、衣類、くつ、財布など

主な原産地:日本など

サイズ :広げた新聞紙2枚分くらい – 120~150ds㎡/1頭(成牛)

特徴:三つ並んだ毛穴が特徴。軽く、うすくしても丈夫、通気性があり透湿性が高いなどの特徴を生かした利用がなされることも(内貼り、くつの内装など)。日本は、世界有数の豚革、豚原皮輸出国。牛革よりも繊維が細かいため、バッフィングすると美しいスエードになる。

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豚革の特徴と構造

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豚革はほかの革とちがうわかりやすい特徴があっておもしろいです。

最大の特徴?毛穴があるからすぐわかる豚革

白い〇を付けたところが毛穴。三つならんでいます。

豚革は毛穴がくっきりと3つ並んだ珍しい革です。この特徴から、何の動物の革なのかがすぐにわかります。

毛穴ってこんなにくっきり残るんだね。

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ブタの毛は皮膚の深いところから生えているから、革の裏側まで毛穴が貫通しているんだ。

革が流通している動物の中では、ブタとゾウ以外ではあまり見られない特徴だね。

よっぽど剛毛なんだね。

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かつては歯ブラシに使われたくらい硬い毛だよ。

次はスライスした革の毛穴をじっくり見てみよう。

革を漉いて(スライスして)表と裏に分けてみました。

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左の面が革の裏側(一番深いところ)。拡大してみよう。

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さっきの写真の拡大版です。

左右の革はもともと一枚の革を2枚におろした表と裏なんだ。ひっくり返しているから左右対称になっているよ。

なるほど。

でも、毛穴の位置がちがうような…?

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ブタの毛はナナメに生えているんだ。だから表と裏でちがうところに穴が空いているんだね。

動画では、豚の床革の向こうから照明をあて、角度をいろいろな向きに豚床革の角度を変えています。
ある一定の向き(ナナメ)だけで照明の光が届くのがわかります。

豚革特有の通気性

貫通した毛穴が空いた豚革には優れた通気性があります

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この特性を活かして靴のアッパー(外装)やインナーに使われています。

参考文献 皮革技術センター台東支所-靴用材料の性状調査 ~裏材料2~

豚革模様|シボの中にもシボ?

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毛穴以外にもう一つ特徴が豚革のシボ。はっきりした複雑なシボが出ます。

他の革とちがう何かがあるの?

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いい質問だね。アップで見てみよう。

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一つ一つのシボの中に、ウロコのような凹凸模様が入っているね。

これが豚革特有の表情を作っているんだ。

豚革の断面

豚革は全体が乳頭層でできている特徴があります。

※乳頭層…真皮の表層にあってキメが細かい部分のこと。真皮は皮膚から表皮を取りのぞいた部分。

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とてもめずらしい特徴です。牛や馬や山羊の革は乳頭層とその下の網状層がはっきり分かれている特徴があります。

乳頭層だけだと何なの?

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まず丈夫

それと、牛や山羊など多くの革は深い層(網状層、床革)にいくほどもろい傾向にあるけど、豚革は深い層でも結構強いしボソボソしない。

だから廃材になってしまいがちな床革の再利用にも価値が見いだせる革ということもできるね。

床革については、革と床革のちがい|床革の可能性と注意喚起をご覧ください。

革と床革のちがい|床革の可能性と注意喚起
床革って何?ゆかかわ?とこがわ?買ったバッグがすぐ壊れた。品質表示を見たら床革って書いてあったけど、革とちがうの?そんな疑問に答えます。革の厚み調整をしてけずった裏側の廃棄物が床革です。製品にすると問題になるケースがあります。

豚革の部位のちがい

豚革も部位で品質にちがいがあるの?

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もちろん!

豚革は特に部位で革質の差が大きいんだ。

お腹は繊維がゆるゆるでとてもやわらかいけれど、お尻はギッシリと繊維がつまっていて硬いんだよ。

牛革を例にした記事ですが、【図解】牛革の部位ごとの特徴|質が良い部位、シボがでやすい部位で部位のちがいについて解説しています。

【図解】牛革の部位ごとの特徴|質が良い部位、シボがでやすい部位
革のトロ、使いにくい部分など、製作のヒントになる知識を図解します。

豚革の繊維の流れ

革には繊維の流れる向きがあります。

豚革の繊維の流れは、おおざっぱにいえば、首の中心から両足やしっぽに向かって放射状に流れています。

背中の中心からからお尻にかけての繊維の流れがよくわかります。

繊維と平行の向きは伸びにくく、繊維と垂直の方向は伸びやすい性質があります。

牛革を例にした繊維の流れと伸びについては、革のシワが入りやすい向きと伸びやすい向き|繊維の向きを理解しようで解説しています。

革のシワが入りやすい向きと伸びやすい向き|繊維の向きを理解しよう
革は、繊維の方向に沿う向きは伸びにくい。逆に、繊維の向きと垂直に引っ張るととてもよく伸びます。 この伸びる方向に革を折ると、自然に折ったり曲げたりができますが、伸びやすいので力がかかる部分に使うのは不向き。

豚革の経年変化

豚革も経年変化でアジが出るの?

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牛革などと同じでアジが出るよ。

特にタンニンなめしの豚ヌメ革は色が変化してくのが楽しみだね。

関連記事 ヌメ革の色変化|ベージュのヌメは何色に?緑は?グレーは?

豚革の種類|アメ豚って?

アメ豚

日本で生まれたAme-butaです。

アメ豚は、染料で染めたタンニンなめしの豚革にグレージング(摩擦)をかけ、ツルツルに仕上げた革です。

シボが潰れてツルツルに仕上がります。

高級な財布の裏地、ランドセルの裏地などに昔から使われてきました。

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高級感が出る裏地素材です。クラフトにも使いやすくおすすめです。

色はキャメル(あめ色)、こげ茶、黒などが多いです。

豚モミ革

正式名称は不明ですが、豚モミとかモミ豚などと呼ばれます。

アメ豚をやわらかく加工したものと考えていただければいいかと。

豚ヌメ革

牛のヌメ革のように、タンニンなめしして表面を平らにならした革。繊維が詰まっていてかなりしっかりしたコシがあり、巻くとギシギシと音を立てます。

ピッグスエード

豚革の裏面を起毛させたのがピッグスエードです。

豚革の繊維は細くて密なので、とても美しいスエードに仕上がります。

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国産の革製品ではスエードといえばピッグスエードを使っている場合が多い印象。

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このキメの細かさよ。

スエードについては、スエード、ベロア、ヌバック、バックスキンのちがい|起毛革の特徴をわかりやすく解説でくわしくお話しています。

豚床革

豚の床革はコシが強く、芯材として価値があります。

画像引用元 楽天市場

その他の豚革

豚革は日本では一般的な革素材で、いろいろな加工がほどこされ、日々進化し続けています。

たとえば、プリントやパンチング、グレージング、ワックスによるプルアップなどなど。

革の加工については、牛革はどんな革?《写真多数》特徴、種類、手入れ方法の「牛革の種類」の章が参考になります。

ソフトタイプの豚ヌメ
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いろんな豚革を使った製品が出回っています。お気に入りをさがしてみてください。

日本は豚革(皮)の輸出国

牛革や牛・山羊・馬などの原皮の貿易収支は、長年貿易赤字になっていますが、ブタに関しては話がちがいます。

日本の豚革(皮)の輸出額と輸入額

日本は世界に豚革と豚原皮を輸出しています。

2019年の輸出額 

豚原皮:36億8500万円
豚革:5億400万円

2019年の輸入額 

豚原皮:0万円
豚革: 1000 万円

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日本は豚革と豚原皮の輸出国。

輸入は革がわずかにあるだけです。

参考文献 東京都立皮革技術センター-かわとはきもの-皮革関連統計資料

日本が豚革輸出国になっている2つの理由

日本が代表的な豚革輸出国になっているのには大きく二つの理由があります。

理由
  • 日本の豚革なめしが高い評価を得ている
  • 海外では豚皮を食べる地域が多く、豚原皮が残らない
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日本では沖縄以外ではあまり豚皮は食べない。だから原皮が残って革の原料に回されるということです。

豚皮もトンポーローとかおいしいですよね。

Made in Tokyo|豚革は地産地消レザー?

日本は豚革と皮の輸出国と書きましたが、原皮のほとんどは輸出ではなく国内で革として消費されています。

つまり、日本で食べられた豚肉の残りの皮が、日本(主に東京)のタンナーで革に加工され、国内で革製品に使われているのです。

まさに地産地消。

デテログ
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肉を食べる限り皮は出るので、上手に活用して循環させていきたいですね。

海外高級ブランドも日本の豚革を採用?

日本の豚原皮が海外で加工され、有名ブランドで使用されているという話をよく耳にします。

デテログ
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日本の豚原皮は使われているけど、なめしや染めの加工は海外で行われるケースが多いのかもしれません。

日本のなめしや染めの技術の高さがもっと評価されてもいいとデテログは考えていますが、国産の原料が採用されていること自体は喜ばしいことです。

海外では高いけれど日本では安い革?

日本の豚革は海外では高値がついていると聞きます。また、ヨーロッパに生息するイノシシの仲間『ペッカリー』の革は紛れもない高級素材。

ペッカリー

それに対し、日本の豚革は牛革にくらべて安値で取引されています。

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純粋に革質だけみれば豚革はまちがいなく高品質な素材です。

見た目もクセが強すぎることがなく扱いやすい。もっと評価されるべきです。

豚革製品の扱い方

豚革製品で何か気をつけることはある?

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基本的に牛革などと同じ使い方、手入れでOK。

豚革製品の扱い方
  • 水濡れは避ける
  • 通気性の良いところで保管
  • お手入れは汚れ落としと保湿、防水
  • スエードはスエード専用のお手入れ方法を

以下の記事が参考になるはずです。

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まとめ

豚革の特徴や種類について書きました。

豚革の特徴をまとめます。

豚革の特徴
  • 三つ並んだ毛穴が貫通していて通気性◎
  • シボの中に凹凸もよう
  • 乳頭層だけの特殊な構造で革質◎
  • 部位によって革質に差があり、お腹はやわらかくお尻は硬い

豚革は品質が高くて高機能な素材です。もっと評価していい素材だとデテログは考えています。

国産の皮を使った高品質な革の良さを広めていきましょう。

この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございました。

いろんな動物の革についてまとめました。

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