革製品用クリームの説明を見ると、「スエードなどの起毛革には使わないでください」と書いてあります。
どうしてでしょうか?
使ったら何が起こるのでしょうか?
実験してみましょう!
記事後半ではスエードにオイルを入れる必要性とやり方についても触れています。
それではさっそく実験をはじめましょう。今回のテストに使うのは、このスエードのハギレ。
このスエードにクリームを塗るとどんな結果になるでしょうか?
先に結論を書いてしまうと…
です。
美しいスエードが台無しになります!
この記事では、実際の実験の様子と結果、そして、そんな失敗をしないために、正しいスエードのお手入れについても触れています。
スエードにクリームを塗るとどうなるか実験してみた
使うのは、コロニル1909のシュプリームクリームデラックス。
デテログでおすすめしているクリームの一つで度々登場していますね。
関連記事 1909シュプリームクリームデラックスの万能感をレビュー&使い方
銀付き革(ツルツルの表面を使う革)には最適なクリームですが、スエードに使うとどうなるでしょうか?
綿棒を使ってスエードに塗ってみました。
塗っただけで、磨きこんだり押し込んだりはしていません。
1時間ほどクリームが乾くのを待ってみます。
若干色が変わっていますが、それよりも、スエードらしいワシャワシャが無くなっているのがわかるはず。
※黒い線はわかりやすくするためにペンで引きました。
拡大してみましょう。
クリームを塗った右側の方がのっぺりしてしまっているのがわかりますね。
さらに拡大。
クリームを塗っていない左側は細い繊維が確認できるのに対し、クリームを塗った右側は繊維がまとまってしまってます。
他にも、過去にレザージェルというエマルジョン系の防水剤をスエードに試して失敗したこともあります。
汚らしくなっちゃいましたね。
大切なスエード製品でこうなってしまったらショックだと思います。
スエード製品はスエード製品向けのお手入れが必要です。
どんなお手入れ?
ブラッシングと防水スプレーが基本です!
スエードのお手入れはブラッシングと防水スプレーで
- ブラッシングで汚れをかきだす
- 防水スプレーで雨&汚れ対策
以上
普通の革とちがってクリームを塗る手順がないだけラクですね。
お手入れ手順
一緒にやってみましょう。
ブラッシングで汚れを落とす
全体をブラッシングして汚れを落としましょう。
写真のようなゴムタイプかステンレスのブラシがおすすめです。
ゴムタイプは毛にからんだホコリや乾いた汚れをゴムが吸着する効果があります。ステンレスタイプは極細の毛で細かい汚れもかき出してくれます。
私はステンレスタイプがおすすめ
くわしくはコロンブスのスエードブラシ(ステンレス製)が良い|ゴムブラシよりもこっち派をご覧ください。
防水スプレーをかける
靴の場合は靴の中にスプレーがかからないように新聞紙などを詰め、スプレーの説明書きにしたがってスプレーを使いましょう。
一般的に、適度に離した位置から、うすく2,3回に分けてまんべんなくスプレーします。
一般的な革製品用防水スプレーでも大丈夫ですが、スエードを長くきれいに使うためには専用のスプレーを使うとなおいいです。
関連記事 スエードカラーフレッシュはどんな商品?〔使い方と効果〕
スエードと防水スプレーの相性がいい理由は、スエード製品の雨対策|防水スプレーをすすめる理由をご覧ください。
完全に乾いたら仕上げブラッシング
完全に乾いたら(15分以上)、仕上げのブラッシングをします。
このブラッシングの目的は、スプレーの残留物を落とすこと。
最後に、一定方向にブラシをかけて毛並みを整えるとキレイに仕上がります。
さらにしっかりお手入れをするなら、別記事のスエードシューズのメンテナンス方法とおすすめ道具【動画アリ】をご覧ください。
この記事↑ではクリーニングも含めたスエードシューズのお手入れ方法をご紹介しています。
スエードのバッグなどにも応用できる方法です。
スエードにクリームを塗ってしまった時の対処法
完全に乾いた状態でスエード用のブラシでブラッシングしてみてください。ここで使うブラシは、ゴムや馬毛製よりも真鍮やステンレスなどの金属製ブラシがいいでしょう。
コロンブスの極細ステンレス毛スエードブラシは、毛が細く繊細なので、スエードを傷つけにくくおすすめです。
ブラッシングで起毛が戻り、ベタつきがなければそのまま使って問題ありません。
毛が寝たままで戻らない場合は、専用のクリーナーでクリームを除去するのをおすすめします。使うクリーナーは、スエード専用のスエード&ヌバックシャンプーがいいでしょう。
濡らした状態で優しく泡立てながら洗い、流して乾いたあとにしっかり防水スプレーをかけてください。
スエードにオイルアップは必要?
スエード製品はオイルを入れなくていいの?
すこし油分を入れたいところだね。スエード専用のスプレーを使っていればそれだけで十分だよ。
先ほど紹介したスエードカラーフレッシュやスエード・ヌバックスプレーはスエードに最適なオイルが含まれていますので、それを使っておけば十分なオイル補給ができます。
一般的な革全般用防水スプレーを使ってる場合はどうすればいいの?
その場合は、ブラシを刷毛がわりにして少しだけオイルを入れるといいかも。
液状の革用オイルなら、よほど塗りすぎないかぎり毛がまとまってしまうことはありません。
馬毛ブラシなどやわらかいブラシを使ってオイルを塗る方法をおすすめします。くわしくは、ニートフットオイルの失敗しにくい塗り方|ムラになりにくいで解説しています。
クリーム以外で気をつけたいスエードの扱いかた
- スエードは汚れやすい
- うすい色のスエードはデリケート?
- ブラシは他の革製品と分ける
- それ以外は扱いやすい素材
スエードは汚れが溜まりやすい
スエードは毛足が立っているため、すき間にホコリや汚れが入り込みやすいです。その状態で濡れると、水と一緒に汚れも奥まで入り込んでしまいます。
それを防ぐのがブラッシングと防水スプレーです。
スエード製品は、お手入れするかしないかで、長くきれいに使えるかどうかが決まるといえるでしょう。
うすい色のスエードはデリケート?
経験談なのですが、色がうすいスエード製品に油分を入れると、思いのほか色が濃くなってしまうことがあります。
画像引用元 ビルケンシュトック(スエード)のお手入れと失敗例|ボストン&チューリッヒ他
左側の方が色が濃くなっています。
どうしてこうなったかというと、オイルをつけたブラシでブラッシングしたから。
お手入れ以外では、ちょっとした油汚れなども目立ってしまうことがあるから、明るい色のスエードの扱いには注意が必要です。
スエードの靴で自転車に乗る時は注意!
他の革とブラシを分けて使う
スエード専用ブラシを推奨していますが、普通の馬毛や豚毛のブラシを使うこともできます。
その場合は、クリームがついてしまわないように、他の革製品に使うブラシと分けて使う用にしましょう。
それ以外は扱いやすい素材
いろいろ気を使わなくちゃいけないってことは、スエードは扱いが面倒なのかな?
そんなことはないです。スエードの扱いやすいポイントを説明します。
- 傷に強い
- シミ汚れが目立ちにくい
- やわらかくて強い素材
- ブラッシングで蘇る
傷が残りにくく、シミも目立ちにくいのがスエードの特徴。
古くから、アウトドア用のリュックの底に使われていたりもしますね。
ラフに使えて、ブラッシングすればすぐに整うのもスエードの良いところです。
総じて、他の革と比べて扱いやすい素材だと言うことができます。
まとめ
スエードにクリームを塗るとどうなるか?について解説しました。
スエードにクリームを塗ると、べったりとまとまってしまい、汚らしくなくなってしまいます。
スエードの特徴である毛並みの美しさと手触りの良さがなくなり、汚らしくなる。
だからスエードにクリームは厳禁です。
そもそもクリームは塗る必要がないので、その分マメなブラッシングと防水をしっかり行いましょう。
マメにブラッシングするだけで清潔感と高級感も保つことができます。
防水は汚れ防止にも役立ちますよ。
ブラシと防水スプレーは、サフィールのクレープブラシと、エム・モゥブレィ スエードカラーフレッシュがあれば安心です。
記事は以上です。
スエードのお手入れについてもっと深掘りしたい方は、
スエードシューズのメンテナンス方法とおすすめ道具【動画アリ】や
色あせたスエードを救う!?スエードヌバックトリートメント|使い方と効果、
スエードの汚れと色ムラを自分で直す方法|紙やすりなどをご覧ください。
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