deteという革製品ブランドを運営しており、日々革製品を作ってお客様にお届けしています。
過去に何度か、お客さまからいこんなご意見をちょうだいしたことがあります。
注文した色とちがうように見えるのですが…
イエローを買ったのですが届いたのはブラウンです。交換は可能ですか?
「イメージとちがった」というのは通販ならどのジャンルでもあるものですが、受注生産の革製品では、それが起こる確率が高くなります。
原因は?
不良じゃないの?
色で失敗しにくい革はありませんか?
そんな疑問にお答えします。
今回は、誤配送や不良品でない場合について解説します。
はじめに。受注生産の革製品がちがう色になる原因は3つ
まず、どうして色がちがってしまうのかについて。原因は3つ考えられます。
- ロットごとの差による色ブレ
- モニターの色の出方
- ショップの撮影/編集環境
撮影環境はショップ側にがんばって欲しいところですが、かんたんではないですね。
モニターはご自分の問題なので、お使いのスマホやPCディスプレイのクセを理解しておくといいです。
今回問題にするのは、ロットごとの差による色ブレです。
革製品の色がブレる原因:ロットごとの色ブレ
受注生産で革製品を販売するときのリスクの一つにロットや部位ごとの色ブレがあります。
— dete® (@mkgx81) February 14, 2021
写真は同じ色名の同じ革ですがこんなに差が出る。
特にイタリアの革は顕著です。
根本的な解決策はなくて、色ブレする革を使わないか、販売ページで強めに伝えてリスクヘッジする、見えない内装で使うなど。 pic.twitter.com/OgRfWbZ56j
lattuga(レタス)の色ブレ
— dete® (@mkgx81) February 14, 2021
こんなん難しすぎだろー
たとえハギレが余っても、ロットが違う革を組み合わせるのはリスキーです。
経年変化で差が大きくなる可能性が。 pic.twitter.com/a5QtQeItbP
どうして色ブレが起きる?
革は個体差があるから染色で色をそろえるのがむずかしいというのがまず一つ。
もう一つ、手作業だからというのがあります。
これらの革は、タンナーで働く職人の感覚で染め上げています。
職人は見本となる色を目指して調整しますが、職人の匙加減次第で仕上がりは変わります。
その為、厳密な色合わせを重視しない職人やタンナーの場合、注文時期によって色が大きく変わってしまう可能性があります。
国産の革より海外の革がブレやすい?
これは品質も問題もあるかもしれません。ですがそれ以上に、日本の革が特別色ブレしにくく作られているからそう感じるということもあります。
日本人は目が肥えていてきびしい目で商品を見ています。特に国産品に対しては。
色落ちはイタリアンレザーならアジだけど国産なら不良品
なんていうことが、冗談じゃなく本当に現場で言われていたりもします。
たとえば百貨店。
基本的に染色堅牢度(生地の変色や色移りへの耐性)にはとても厳しいですが、にもかかわらず、ティッシュでこすっただけで色移りするイタリアンレザーのお財布を置いていたりもします。
色ブレが大きい革はこんな革
染料染め(顔料をつかっていない)革
革の染色の主な物は染料染めと顔料塗装の二つ。
染料染めは色変化しやすいです。
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素上げやそれに近い仕上げの革
表面にバインダーやカゼインなどの仕上げをしていない素仕上げの革はとても色変化しやすいです。
流通させるにはリスクがありますが、ナチュラルな風合いの良さがあって好まれます。
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ヌメ革
染色していない生(き)のヌメ革は色ブレが大きいです。
なめしの仕上げや個体差、流通時や保管時の焼けなどが影響します。
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黒い革を作るのもむずかしい?
次の写真を見てください。
ある日届いた黒のタンニンなめし革です。写真中央から右に向かって赤系の色が見てとれる他、光に加減で緑や青に見える部分もあります。
黒い革は黒の染料では作れないらしく、また一説によれば黒を作るのが一番難しいともいわれています。
革の元の色は白じゃないから、いろんな染料を混ぜ合わせてできるだけ黒に近づけているのです。
ネットで革製品を注文したらちがう色?だった時の対処法
イメージとちがった場合はどんな対応がしてもらえるでしょうか?
不良品として認められる?
不良品かどうかの結論を言ってしまうと、ほとんどのお店はこれを不良とは定めていないです。
交換はできるか?
念のためショップに聞いてみても良いと思いますが、基本的にできないものと考えてください。
多くのブランドやショップ、個人工房などが、初期不良をのぞいた交換はむずかしい状況です。
大手ショッピングモールなどでは交換できる場合があってそこで買うというのも選択肢の一つですが、交換できるということは、交換された商品が自分の手に渡るという可能性もあるということです。
交換された商品を廃棄して成り立たせられるブランドってそう多くないんじゃないかと思います。
それに、貴重な革をムダにするのはあまり気分がよくないですよね。
安心してください。どちらにしても色は変わります
安心してください。たとえHPの写真通りだったとしても、そのような革は使ううちに色が変わります。
参考記事
え、全然安心できない!
たしかに、革にこだわりが強い方以外は、色が変わることをデメリットだと感じるかもしれません。
でも、革の色変化がどんなものなのかを知ってもらえれば、きっと多くの方が革の味わいの楽しさを感じてくれるものと考えています。
革の味わいと経年変化
タンニンなめし革は、色つやの変化が楽しく、使えば使うほど愛着を感じてもらえるはずです。
具体的には、色が濃くなったり、光沢が増したりする変化が見られます。
色ブレが起きにくい種類の革
補足として、色ブレが起きにくい革も紹介しておきます。次回受注生産の革製品を買う際に参考にしてみてください。
ざっくりいえば、ビジネス向けの革製品や高級品は色ブレが起きにくい革が使われることが多いです。
顔料が使われた革
染料とは逆に、顔料の塗装をした革は色ブレが起きにくいです。
ハイブランドが使う素材
大手ブランドは色ブレのリスクが大きい素材は避ける傾向が強いように感じます。
特にハイブランド。
カタログと実物で色がちがうとクレームの種になりかねないですからね。
なので、そういった高級素材をチョイスすれば色での失敗しにくくなるかもしれません。
国産の革
色ブレが起きやすい種類の革であっても、海外製の革より国内でなめされた革の方が色ブレは起きにくいです。
理由は先に話した通り、日本の文化や消費者の厳しさなどがあると思います。
これらの革は色ブレが出にくい革なので、受注生産でオーダーした場合でも、イメージした通りの製品が届く確率が高くなるでしょう。
心配な場合はぜひご検討ください。
受注生産の革製品を注文したらちがう色が届いた場合のまとめ
受注生産の革製品を注文したらちがう色が届いたケースの原因と対処法についてお話ししました。
- ロットごとの差による色ブレ
- モニターの色の出方
- ショップの撮影/編集環境
撮影環境については消費者側からしたらどうしようもないことですが、モニターについては自分で傾向を(実物よりも赤が濃くなる、明るく見えるなど)をつかんでおくことはできます。
ロットごとによる差は、革の種類によってはどうしても起こってしまいます。
特に海外の革(イタリアンレザーなど顕著)や、素上げの革、ヌメ革でブレが起きやすいです。
色ブレはデメリットととらえることもできますが、色ブレしやすい革にはその分ナチュラルな革の味わいもある。
素材のちがいを知ってお買い物できるようになれば、革の楽しさや奥深さをもっともっと楽しんでいただけることと思います。
この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございました。
他にも革についての記事を書いています。
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