合皮と本革ってどうちがうの?
合皮のメリットや革のデメリットは?
そんな疑問に回答します。一緒に考えてみましょう。
合皮と革の性質と構造
まず、合皮と革それぞれがどんな素材なのかを見ていきましょう。
合皮とは?
合成皮革の略称。
構造や性質については次で解説します。
合皮と革の性質比較
合皮 | 革(牛革) | ||
---|---|---|---|
耐久年数 | ~3年とも5年とも | ~30年以上 (手入れ次第) | |
多様性 (バリエーション) | ◎ | ◎ | |
価格 (合皮価格=×1) | とても安い (×1) | ピンキリ (×1.5~30~) | |
よくある劣化 | べたつき ひびわれ はがれ | ひびわれ 変色 カビ | |
サスティナビリティ (持続可能性) | 〇 | ◎ | |
希少価値 | × | ピンキリ |
上の表は横スクロールできます。
合皮の構造
大きく分けて、湿式構造と乾式構造があります。
どちらにも共通しているのは、ベースの布とウレタンの層を接着し、表面にプリントと塗装をしているという点。
それぞれのちがいは、湿式構造には中間層があるため質感がより革っぽいというところのようです。
参考サイト 特徴と構造|合成皮革の知識箱|共和ライフテクノ株式会社 阪神営業所
革(牛革)の構造
原料は、食用になる牛肉をとった残りの皮。
皮から表皮をとりのぞき、残った真皮(コラーゲンでできている)層を鞣し、染色や型押しなどの加工をしたものが革。
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革は網状層と乳頭層からできていて、それぞれの繊維がからみあってできている。
写真は、厚み3mm弱の栃木レザーの断面を撮影したものです。
層に分かれてはいますが、それぞれの層がぎっしりと絡み合っているため、マズい鞣しがされていない限り、はがれてしまうことはありません。
合皮の別名
合皮はいろいろな呼び方がなされています。
- フェイクレザー
- ヴィーガンレザー
- イミテーションレザー
- ケミカルレザー
など
人造皮革/人工皮革/合成皮革のちがい
人造皮革というのは、人工皮革と合成皮革をまとめた呼び方。
人工皮革と合成皮革とは別物です。
合成皮革:化繊布を樹脂でコーティングしたもの
引用元 ヴィーガンレザーが流行ると革製品はオワコン化します
人工皮革:立体的に織った化繊の繊維にポリウレタン樹脂を染み込ませたもの。
どちらもいずれは劣化しますが、人工皮革の方が革に近い構造で長持ちします。
本革のメリット
革は経年変化が楽しい素材
色変化やツヤ、やわらかさなど、いわゆる革の味を楽しむことができるのが本革の良いところ。
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革は丈夫な素材
革は加水分解(合皮のデメリットで解説)しないので長く使えます。
なじみやすいのが特徴
革靴には合皮や布などにない足になじむというメリットがあります。
スニーカーに使われるキャンバスなどは一見すると革よりも足になじんでくれそうなイメージがありますが、実は逆です。
足の形や入れる物に合わせて形が変わり、使いやすく変化してくれます。
革が持つ透湿性と吸湿性で靴の中が快適に
革には透湿性と吸湿性があります。
透湿性とは? 水蒸気を排出してくれる性質
吸湿性とは? 水分を吸ってくれる性質
これらがあるから、足に汗をかいても革が吸い、外に蒸発させて靴の中を快適な状態に近づけてくれるのです。
革靴はムレやすいというイメージを持つ方もいると思いますが、実際は革の種類やつくり、インソール(中敷き)の種類などによります。
革そのものがリサイクルでエコ
これは革に関わる人間からしたら当たり前になっていますが、まだ世間では知らない方がほとんどだと思うので何度でも書きます。
革(牛革、豚革、山羊革、羊革など)はお肉の副産物です。
革を作らないとどうなるかというと、原料になる皮が焼却廃棄され、温室効果ガスが増えます。
革は、とても理にかなったサスティナブルな素材です。
すべてが一点物の希少価値
革は生き物の皮を原料にしたものなので、風合いは個体差にもより、すべてが一点物ともいえます。
本革のデメリット
値段が高い
ピンキリですが、総じて合皮よりも高価です。
お手入れが必要
カビが生えるリスクや、ひび割れのリスクがあります。
それらを防ぐため、適切な防水スプレーやクリームを使ったお手入れが必要です。
手入れはむずかしそうと思う方もいるかもしれませんが、なれれば全くむずかしいことはないです。
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職人に技術と知識が求められる
繊維の向きや部位によるちがいがある為、デザイナーや職人はそれを理解して製作する必要があります。
合皮のメリット
色、加工の幅が広い
革よりも自由な色や質感に加工することができます。
お手入れが簡単
カビがはえにくくお手入れが簡単です。
値段が安い
素材そのものが安く作れる他、自然のキズなどがないため取り都合がいいです。
品質が安定している
個体差が生まれないため、色、耐久性、伸縮性などが均一に仕上がります。
合皮のデメリット
加水分解のリスク
ナイロンの服やスニーカー同様、合皮製品は加水分解の経年劣化リスクがあります。
湿気にさらされることが原因ですが、たとえ適切な使い方であっても、時間経過により発生は避けられません。
風合いが劣る
あくまでも主観ですが、合皮は革をマネしたものであるため、革に比べるとどうしても質感は劣ります。
希少価値が低い
量産しやすいため、希少価値が低いです。
合皮と革のちがいについてのまとめ
合皮と革のちがいについて書きました。
本革は動物の皮を加工して作られており、表から裏まで繊維がからみあった構造になっています。
それに対して合皮は、布とウレタンを接着させた上にプリントと塗装をしたもの。
まとめると、個人で楽しみながら使う物、長く使う物、風合いの良さを求める物などには革がおすすめです。
公共の物(手入れしやすい)、買い替えが頻繁になる物などには合皮が向いています。
この記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
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