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象革ってどんな革?
に対するアンサーとして日本一わかりやすい記事を目指しました。
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一言でまとめると 象革は、強さと柔らかさと見た目のインパクトを兼ね備えた最強レザーです。
写真や動画を交えながらくわしく解説します。
その他の革とその動物についてまとめました。
関連記事 革になる動物とその革20種紹介|革質、大きさ、特徴など
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革になるゾウと象革のスペック
まず、象革として利用されるゾウそのものについて軽く触れておきましょう。
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スペック
学名、和名:アフリカゾウ / Loxodonta africana
革の呼び方:象革、エレファント
使いみち:財布、バッグ、くつなど
主な原産地:サハラ砂漠以南のアフリカ大陸
サイズ :大きいため、ボディの一部、耳、鼻など、パーツごとの販売になるため不明
特徴:全体に粒状の突起がある独特の質感。素材の表情を活かした仕上げが多く、牛革や山羊革のようなバリエーションはないが、圧倒的な個性を持った素材。
銀面の凹凸が深く、ボディは網目状にシワが走っている。銀面をけずってヌバックにする場合もあり。
しなやかでありながら引き裂きに非常に強い素材。
非常に高価。
ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ産アフリカゾウはワシントン条約付属書Ⅱ(商用利用可)。
象革ってどんな革?その特徴
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他の革にはない独特の突起
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深いシワとボツボツがすごい。
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これが象革の特徴。もっとアップで見てみよう。
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ボツボツだけどてっぺんは平らだね。
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部位がちがうとまた雰囲気が変わるよ。
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突起がとがってる部分もあるね。
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同じ物が2つとないこのランダム性も象革の魅力だね。
ヌバック調の質感
多くの象革は、ヌバック寄りのマットな手ざわりだったり、起毛したヌバックだったりします。
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表面にやすりがけして起毛させた革。
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ヌバックは傷をちょっと隠せるのでロスが減らせます。
野生動物の革は傷が多く、ヌバックにすることが多くあります。
意外?にもしなやかな革質
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象の皮膚って堅そうだから、やっぱり革も硬いの?
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象革は柔らかい革が多いよ。
アフリカゾウ2種の端切れ。
— dete® (@mkgx81) September 24, 2021
独特の突起模様をお楽しみください。
上がおそらくボディ、下が鼻かな?
同じなめしですが、部位によって仕上がりに違いがあります。
アフリカゾウの革は、ワシントン条約附属書Ⅱに該当し、限定された地域で商取引が許可されています。 pic.twitter.com/J0tHwNKH1X
加工によっても硬さは変わりますが、今のところ硬い象革には出会ったことはありません。
断面から見る象革の構造
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空洞があってパンみたいだね。
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この複雑にからみ合った繊維束が象革の構造の特徴だよ。
毛穴が肉面まで貫通しているところは豚革と同じだね。
関連記事 豚革はどんな革?
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牛革や山羊革は乳頭層と網状層の二層構造になっていますが、象革は網状層だけの一層構造のようになっています。
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たしか、乳頭層が良い部分で外側、網状層が粗い部分で肉側だったよね。
ってことは、象革は繊維がもろいの?
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ところが、象革はとても強い革なんだ。薄くても伸びにくいし、やすりをかけても削るのはとても大変。
象革の強さ
引き裂き強度と摩擦に対する強さがどの程度なのか、ざっくり実験してみました。
- 牛革…タンニンなめし1.3mm厚
- 象革…クロムなめし1.2mm厚
牛革と象革の引き裂き強度を比較
牛革はこんな感じでした。
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いきなり裂けて…
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ぶちっと。
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手ごたえなかったなぁ。
次は象革。
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腕プルプルしてますが、一向に裂ける気配ナシ。
牛革と象革の摩擦に対する強さを比較
それぞれの銀面(表面)をカッターでけずってみました。
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牛革はすぐにけずれて粉が落ちました。
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象革はほとんどけずれず粉が落ちません。
すこし白っぽくなっていますが、これは一時的なもので、指で撫でてあげるとほぼ元通りになりました。
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なめしや加工の種類は少ない
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象革って種類は一つだけなの?
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象革は、加工や染色技法のバリエーションが少ないんだ。
たぶん本当はやればできると思うんだけど、革自体に希少性があるから、変に加工するよりも革の雰囲気を活かした方が価値があるのかもしれないね。
象革は、革によってヌバック(起毛)が強めか弱めかくらいのちがいはありますが、牛革のようなバリエーションの多さはありません。
![牛革の加工の種類](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2021/09/44060ed58ed062a7b888699ac0c6d8be.jpg)
画像引用元 牛革ってどんな革?
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色のバリエーションは多いです。
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画像引用元 楽天市場
象革の経年変化は?
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象革もエイジング楽しめるの?
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一概には言えないけど日本でよく見る象革はエイジングするものが多いよ。
使ううちにツヤが出たり色が濃くなったりするんだ。
推測ですが、100%クロムでなめされいるわけではないような。
クロムでなめした後タンニンで再なめししているか、その逆のどちらかなのではないかと。
象革の手入れは?
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ブラッシングと防水スプレーが基本です。
- ブラッシングで汚れ落とし
- 防水スプレー
- 乾いたらブラッシング
象革はそもそもひび割れしにくい革なので、クリームを使った保湿の必要性が低い革なのでそんなに心配はいらないです。
象革はヌバック系の素材なので、クリームを使ったお手入れはおすすめしません。
おすすめのブラシと防水スプレー、エム・モゥブレィのプロブラシとコロニルのウォーターストップをおすすめします。
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象革の凸凹に負けないしっかり目のプロブラシがおすすめ。
防水スプレーは革製品に対応するフッ素系のコロニルウォーターストップをチョイスしました。
象革は高級品?
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象革製品って高いイメージが。何で?
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象革素材自体の値段が高いからだね。
象革の値段の目安はハイブランドが使う高級牛革の3倍前後くらいでしょうか。
革としてはかなり高級な部類に入るのはまちがいありません。
さらに、野生の生き物だから傷が多く、使える部分が限られるため取り都合が悪く、象革製品は余計に高価になりがちです。
牛の革が象革と呼ばれた時代が?
東京都立皮革技術センターが発行する「かわとはきもの No.114」に、こんな内容がありました。
底は象革と言われる厚い牛革が、鬱には鹿の揉み革が用いられている。
引用元 東京都立皮革技術センター かわとはきもの No.114(2001.1)
蹴鞠をするときに使う靴「鴨沓」の構造についての一文です。
靴底に使う厚い牛革が象革と呼ばれていたのですね。
どんな牛のどんな革だったのかは不明です。
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
当時の日本人がゾウの存在を知っていたかどうかも怪しい。
とにかくいろいろとロマンが広がります。
象革って取引していいの?
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![](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2021/09/youngman_31.png)
象革って採っちゃだめなんじゃないの?
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
アフリカゾウは地域によっては商取引が認められています。
【革・皮】…ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、南アフリカ産の輸出入は可能
【革製品】…ナミビア、ボツワナ、南アフリカ産は輸出入可能
※ジンバブエで作られた象革製品は日本への輸出不可
※ジンバブエから第三国へ輸出された革・皮が、そこで製品化された商品の日本への輸出は可能
※ジンバブエから日本に輸出された革・皮を日本で製品化した商品の輸出は可能。
![](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2021/09/youngman_31.png)
象革は野生のアフリカゾウから採っているの?
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
野生だよ。増えすぎたゾウを間引く為に捕獲することがあるんだ。
Although current estimates of annually culled elephants are largely unknown, selective culling of elephants is acceptable and periodically practiced in many elephant range countries.
[Google翻訳] 毎年淘汰されるゾウの現在の推定値はほとんどわかっていませんが、ゾウの選択的淘汰は受け入れられ、多くのゾウの生息国で定期的に実施されています。
引用元 Frontiers | Human-Elephant Conflict: A Review of Current Management Strategies and Future Directions | Ecology and Evolution
引用先では、アジア・アフリカ圏での象による被害状況についても詳しく報告されています。
![デテログ](https://dete-diary.com/wp-content/uploads/2019/12/dete_logo_1020.jpg)
日本でのシカやイノシシの現状もそうですが、人間と動物の共存やculling※の是非については簡単に語れることではないですね。
「ある種の野生動物を害獣と呼ぶこと自体が人間のエゴ」と言う意見をまちがいだとは言いません。
でも、駆除が必要という状況も一定の理解ができる。
野菜も穀物も肉も革も、いただいた命を大切に使ってあげることがせめてもの供養とデテログは考えています。
参考文献 Culling-Wikipedia
まとめ
象革について解説しました。
- 独特の突起もよう
- 引き裂き、摩耗どちらにもとても強い
- やわらかい革
- ヌバック調、ヌバックの革が多い
- とても高価
他の革にはない特徴があって、さすが陸上最大の哺乳類といった貫録をそなえています。
強くて柔らかい素材。革単体でみれば最強です。
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だからといって象革製品が他の革製品よりも優れているかというとそうとはいえないです。
用途にあっているかが大事だし、好みの問題が大きいですからね。
おもしろい素材だとは思います。
この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございました。
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