ライニガーってどんなクリーナー?
ライニガー使ったらシミになったりしない?
どんな革に使えるの?
こんな疑問を持った方に向けてお話しします。
先に結論ですが、ライニガーは強力なのにシミリスクが小さい優秀なクリーナーです。
コロニルのスプレータイプのクリーナー「ライニガー」の個人的評価が爆上がりしました。
— デテログ (dete®の人) (@mkgx81) November 14, 2022
自転車のチェーンのオイル汚れをべったり付けた革がここまできれいに。
革はヌメ革とトリヨンラグーン(トリヨンクレマンス)です。 pic.twitter.com/mb0krHKDC4
とはいえリスクやデメリットがゼロなわけではありません。
この記事では、
などについても深掘りして革職人が解説します。
ライニガーの効果を実証|革についたオイル汚れがきれいに!
自転車のホイールについたオイル汚れをヌメ革に塗りたくり、どれだけ落とせるのか試してみました。
使う自転車は私の愛車。
排気ガスに含まれるススやほこりが油に混じっており見るからに落ちにくそうな汚れ。革に付けたくない汚れランキングを作るなら上位に入りそうです。
これをライニガーでどんな風にリカバリーできたのか?次の画像をご覧ください。
ご覧の通り、革についた自転車のオイル汚れがほぼきれいになくなっています。
とはいっても、汚れが甘かった可能性があるな。
と考え、もっとがっつり汚した革で試してみました。
先ほどのヌメ革の別の端切れを自転車のチェーンにこれでもかと擦り付けて汚しました。
もしお気に入りのお財布がこうなってしまったら絶望しますね。
擦り付けたチェーンの跡が凹んでいて落とすのが大変そうです。
さっそく結果ですが、こうなりました。
ちょっとびっくりするくらいにきれいになりました。拡大してみましょう。
表面の凹凸のすき間に若干汚れが残っていますが許容範囲でしょう。
他の革ではどうかな?
ということで、某高級ブランドでバッグや財布に使われるトリヨンラグーンという革でも試してみました。
がっつりチェーンに擦り付けたトリヨンが、
こう。
左側が汚してクリーニングした方。右が新品時です。
こちらはシュリンクレザー(薬品で縮ませて凹凸模様を作った革)ゆえ、段差に汚れが入り込んで完全には落とせませんでしたが、ぱっと見ではわからないくらいにはきれいになっています。
ライニガーは油汚れにとても効果があるクリーナーだとわかりました。
ライニガーは強力なのにシミになりにくいクリーナー
原産国:ドイツ
出典 Amazon.co.jp
容量:200ml
対象製品:靴、バッグ、ウェア、小物など
対象素材:スムースレザー、ヌメ革、シープ
成分:炭化水素、アセタール
仕様:スプレー缶
サイズ:21.7cm(H)×4.5cm(W)
ライニガーで落とせる汚れの種類
皮革製品に付着しているグリース、タール、カビ、余分な光沢剤を取り除きます。
出典 Amazon.co.jp
グリースやタール、カビなどに効果があります。
今回自転車のホイールの汚れを落とせた結果から、ライニガーはグリースやタールに効果ばつぐんなのが実証できました。コロニルの営業さんはカビを落とすのにもおすすめだと言っています。
シミになりにくい理由
ライニガーはデリケートな革でも比較的シミになりにくいクリーナーです。
その理由は二つあると考えています。
布に付けて使うから塗りすぎになりにくい
ライニガーは直接革に塗る物ではありません。
だから付着する量も最小限。結果として、量が多すぎてシミができるリスクも低くなります。
しみこむ前に揮発するから残りにくくシミになりにくい
ライニガーは革表面の汚れを剥がすイメージのクリーナーです。しみ込ませる前に多くが揮発するから、革に残りにくくシミになりにくい。
逆に言えば、革にしみこんだ汚れを落とすことはできません。革にしみこんだ汚れを落としたい時は、レザーソープなど水と界面活性剤を使ったクリーナーをおすすめします。
関連記事 コロニルのレザーソープを使ったヌメ革クリーニング方法|使い方
とはいえ絶対シミにならないわけではありません。汚れたままにするよりはリスクを取って使うくらいの気持ちでどうぞ。
失敗が怖い場合は、無理せずプロに頼むのをおすすめします。
皮革専門クリーニングのリナビスさんは、クリーニングから傷の補修、色の補正までをトータルで請け負ってくれます。
ライニガーが使えない革の種類
しいていえば、高級革製品に使うのはちょっと躊躇するかなと感じるくらい。
ほとんどの革に使えるクリーナーと言って差し支えないでしょう。
世の中には起毛革に使えないレザーケアグッズが多くありますが、このライニガーはスエードにも使えます。
ライニガーのデメリットはシミや色落ちのリスク
ではどんな失敗のリスクがあるのかというと、考えられるのはやはりシミと色落ちです。
シミができる可能性がゼロではないというのは前に解説したので省きますが、革の種類によっては多少の色落ちは避けられません。
というのも、デリケートな革は水や普通のクリームでも色落ちするくらいなので、そのような革にライニガーを使うと余計に色落ちする可能性があります。
結論、リスクはゼロではないけれど比較的安全性が高いクリーナーです。
ライニガーの使い方と手順
自転車のチェーンオイル汚れを付けた革の汚れを落としてみましょう。
布や綿棒にライニガーをスプレーする
ライニガーを直接革にスプレーしてはいけません。必ず布や綿棒に付けて使います。
ライニガーはすぐに揮発して乾いてしまいます。乾く前にライニガーで汚れを拭うように一定方向にふき取ります。
ぬぐうだけで簡単に汚れが落ちます。
「ただの綿棒でも落ちるんじゃ?」と思う方もいるかもしれませんが、全然落ちなかったのでライニガーの効果は大きいです。
大まかに落とせたら、軽~くこするようにしてお掃除していきます。
汚れたら綿棒を取り替えながらくり返しましょう。
ここまできれいにすることができました。
クリニング後はクリームを塗って油分を加えてください。
使ったのはコロニルのシュプリームクリームデラックス。万能なのでクリームを一つ持つならこれがおすすめです。
完了です。お疲れさまでした。
ポイントをまとめましょう。
最初のひと拭きで取り去るのがポイント
今回のように汚れがべっとりついた状態でこすってしまうと、革の溝に入り込んでしまうのでよくありません。一定方向にスッと拭うように汚れを取り去りましょう。
その後、残った汚れは丁寧にこすり落とします。
革によっては色落ちしたりテカリが出たりするので、様子を見ながら行ってください。
汚れた布や綿棒では革に汚れが戻ってしまうので、汚れたら都度取り替えるのも忘れずに。
仕上げにクリームを塗って革を守る
ライニガーが革に元々入っている油分も落としてしまう可能性があります。
革に必要な油分がなくなると、ひび割れが起きたり、見た目が悪くなってしまうのでしっかり補充しましょう。
関連記事 経年劣化|某ブランドバッグのレザーハンドルがひび割れ|原因と予防策
使うクリームは、蜜蝋が入った商品や硬いワックスが入ったものは避けましょう。
今回使ったシュプリームクリームデラックスや、他にはデリケートクリームとして売られているものなら問題なく使えます。たとえばエム・モゥブレィのデリケートクリームなど。
シュプリームクリームデラックスについて詳しくは、コロニル1909シュプリームクリームデラックスの万能感をレビュー&使い方をご覧ください。
エム・モゥブレィのデリケートクリームについては、エム・モゥブレィ デリケートクリームは買いか?|デメリットと使い方をご覧ください。
綿棒を使うか布を使うか
ピンポイントの汚れは綿棒で、広範囲の汚れは布を使うといいでしょう。
革の種類によるちがいでは、ヌメ革など汚れやすい革は汚れを広げないように綿棒ですこしずつ落とすといいです。
トリヨンのように顔料が使われた汚れに強い革(均一に塗装された革)は、柔らかい布で一気に落としてしまって大丈夫そうです。
ライニガーが買えるお店
ライニガーは取り扱い店が多くなく、実店舗ではあまり見かけません。
大型のホームセンターでもほとんど見かけることがないくらいです。
Amazonや楽天などのネットショップで買うといいでしょう。
まとめると、ライニガーは思いのほか使いやすく効果があるクリーナーでした。
革のクリーナーには色落ちのリスクがついて回るので、不安な場合は目立たないところで試すなどして使いましょう。
この記事は以上です。
長文お読みいただきありがとうございました。
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