「ハイブランドと同じ革を使っています」というメーカーにウソはないか?

革辞典

「ブランドの○○と全く同じ革で作りました」

そんな謳い文句を掲げるバッグブランドを時々見かけます。

これって本当なの?嘘はないの?

と思っている方に向けてお話ししていきます。

この記事を書いた人

・レザーブランド"dete"の人
・革職人歴9年/元美容師

お気軽にフォローしてください
この記事を書こうと思ったことの発端

某質問サイトで見つけたとある回答について思うところがあったから。

文体を変えていますが、回答は以下のような内容でした。

「○○ブランドの革は他のメーカーは使えないはず!使っていると言っているメーカーはウソをついている。」

これについて私なりに思うことをお話しします。

スポンサーリンク

「ハイブランドの〇〇と同じ革を使っています」というメーカーにウソはないか?

結論、ウソはないですが、完全に同じとも言えないです。

同じとは言えない理由

理由ですが、実物は全く同じだけど、名前が違うからやっぱり違うということ。

何それ?

ちょっとわかりにくいと思うので、少し整理しながら説明しますね。

≪例≫
Aというブランドは、タンナー××社のXという革に、独自のX’という呼び方を付けて使っているとします。

 

ブランドBやCがXという革で財布を作ったとしても、同じ品質の革を使った財布を作ることはできるが、それはあくまでもXを使った財布であって、X’を使った財布ではないということ。

しかし品質については、XもX’も、同じタンナーが同じ製法で作った革であり、見た目も性質も同じ。

※スーパーコピーや並行輸入品を指しているわけではありません。

同じ性質の革で作っていると言っても、ブランドAを通っていなければ、XはXであって、X’ではないですよね。
だから、半分はウソということになります。

これが良いことなのかどうかは別ですが、ブランドってそういうものだと思う。

deteではそれらの革を使っているのか?

deteでも、ヨーロッパのハイブランドが使っている革と同じタンナーの革を使用しています。では名前はどうしているかというと、以下の通り、ブランドが付けた名前は使用していません。

≪deteでの革の名称の付け方≫

  • タンナーが名付けた革の名前
  • deteオリジナルの呼び方

のどちらかを採用しております。

たとえば、

トリヨンラグーン
ワインハイマー社ワープロラックスカーフ(WHカーフ)
アルランシュリー
アルラン社シュリー

などなど。

ミコガイ
ミコガイ

やっぱり良い素材は良い素材なんですよね。だから使う。それだけのこと。

『ブランドAと同じ素材』と言ってしまうとややこしくなる。

大手ブランドはどうして革の名前を商標登録しないのか?

ところで、「じゃあ何で大手ブランドは自分で付けた素材の名前を商標登録しないの?」って思いません?

資本力があっていくらでもできそうだし、他のブランドと差別化もできるのにって思いますよね。

こういった事情に詳しい革屋さんに聞いたところ、ブランドが採用している革の名称は、ヨーロッパでは一般的に使われている言葉そのままだったり、もしくはその単語があまりに一般的になり過ぎて認可が下りないのだとか。

Chèvre – シェーブル(山羊の意味)や、taurillon – トリヨン(雄牛の意味)とかもそうですね。”山羊”で商標登録しようったって無謀というものでしょう。

なお、この記事で申し上げていることは法の専門家が言っていることではありませんので悪しからず。商標や権利の侵害について正しい知識を得たい方は、お金を払って専門の弁護士に相談しましょう。

高級革のタンナーは個人にも販売してくれるの?

販売してくれます。

多くの場合、個人ではロット数が大きくて買えないので代理店を通しますが、数がまとまれば個人でタンナーと直接取引することも可能です。

高級ブランドが使用している素材というと特別な印象を持たれる方も多いかもしれませんが、そういったタンナーも普通のタンナーと同じく各国の問屋やメーカーにも素材を供給しています。
タンナーの立場に立って考えると、ハイブランドに卸せば自社に箔が付くわけですから、それを利用しない手はないですよね?
下請けだけにとどまるよりも、お得意様にいい顔をしつつ、同時に外の世界にも売り込んだ方が旨味があるというわけです。

同じ革だとしても品質は違うんじゃ?

同じとは言っても、大手ブランドにグレードの高い革が優先して供給される可能性はありますが、これは主に歩留まりに関わる部分。

悪い部分があるのなら、職人の判断で省き、良い部分だけを使えばいいということです。

つまり、仕上がりの品質は、会社の方針(原価率)や職人の目利き、技術によります。

ただ、いい部分だけを使えばいいと言っても、良くない革ばかり回されてしまうと、使えない部分が多くなり、利益を圧迫してしまいます。

そうなるくらいなら、無理してそういった素材を使わず、もっと良くしてくれるタンナーや革屋さんと付き合った方がいい結果になる場合もあります。

ハイブランドが使う革は日本でも自由に買えるようになってきたけど、『どこから買うか』はとても大切

イタリアンレザー

ここ数年で、日本で買える革のバリエーションはグッと増えました。

特に、ヨーロッパの高級素材が革が普及しましたが、似たような革が多く入ってきたことでシェアの奪い合いになり、供給が飽和しているとも言えるかもしれません。

ミコガイ
ミコガイ

ここだけの話ですが、2019年にイタリアンレザーの販売を中止し、国産革に原点回帰した革問屋もあります(社長から直に聞きました)。

付き合う業者選びも大切

新しく業界に参入した業者も増えているのですが、中にはあまり評判の良くないところもあるらしいです。

自分で使うなら自分で納得すればいいことですが、お客様にお届けする商品を作るなら、信頼できる革屋さんから仕入れることは大切なことだと思います。

革屋さんを選ぶ時は、もしできるなら、自分で足を運び、革をどのように扱っているか保管状況に問題は無いかを確認しましょう。

ミコガイ
ミコガイ

言うまでもなく、革製品メーカーにとって、革は仕入れの中で一番大切な材料。そして、ずっと付き合う会社だからこそ、信頼出来て相性の良い会社と仲良くしていきたいですね。

これは、お客さんが革製品を選ぶ際にも言えることですね。

まとめ

ハイブランドと同じタンナーの革は日本でも買えます。

ブランドが名付けた革名は、そのブランドを通った革だけに名付けるのが望ましいと思いますが、革の性質は同じです。

革質は本物なのですから、ブランドが付けた名前でなくて、タンナーが付けた名前や自社で付けた名前で勝負してもいいのでは?と思います。

関連記事です☟

コメント

タイトルとURLをコピーしました