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【図解】牛革の部位ごとの特徴|質が良い部位、シボがでやすい部位

牛革の部位と特徴 革の種類と専門知識

革は、お肉と同じで、部位によって表情がちがいます。

具体的に何がちがうかというと、革のもようがちがい、硬さがちがい、伸び縮みのしやすがちがいます。

今回は、革の部位に着目し、

  • それぞれの特徴
  • 繊維の向き(流れ)
  • レザークラフトにどう生かせるのか?

をお話しします。

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牛革の部位ごとの特徴

まず、革の形を見てみましょう。

一枚革の全体写真

写真はカーフ(子牛)の丸革(全身の革)。

左が頭、右がお尻側です。

あたまとお尻を繋ぐラインを背すじと呼びます。

革についての本を読むと、多くの場合以下のような繊維の向きだと解説されています。

これは限られたスペースでわかりやすく描かれたイラストなので、厳密にいえばもっと複雑です。

そういった繊維の向きの厳密な部分にも触れて解説していきます。

繊維の向きで何が違うかについては☟をご覧ください。

部位を大きく分けると4つ

カーフなどのような小さな革は丸々一頭分の革で流通しますが、成牛のような大きな革は最初からカットされた状態で届きます。

☟のイラストが代表的なカット。

革の形による違いについては☟こちらをご覧ください。

革の形の違い|半裁、ダブルショルダー、シングルバット、丸革、クロップのメリットデメリット
半裁、ダブルショルダーなど、革の形(カット)の種類とそれらのメリットデメリットについて。半裁は手に入りやすく長いパーツがとれますが、ムダになる部分が多い。ダブルショルダーは質がよくて大きなパーツがとれるなど。

通常、性質を語る場合は首周りのネックを含む4つに分類されます。

  • ネック(首)
  • ショルダー(肩から背中にかけて)
  • ベンズ(お尻から背中にかけて)
  • ベリー(お腹)

それぞれの特徴を一言でいうと以下の通り。

  • 粗くて硬いネック
  • キメ細かくてしなやかなショルダー
  • 硬くて繊維密度が高いベンズ
  • 繊維がゆるくコシが無いベリー

ざっくりわかってもらえたかと思います。

ただ、たたみ2畳分より大きな牛革の部位が4種類ですから、かなりざっくりとした分け方です。

もう少し細かく、ピンポイントで見てみましょう。

牛革のトロ|ベンズとショルダーの間くらいの背すじ付近

個人的に好きな部位

繊維密度が高く、キズが少ない。

いわば牛革のトロ。

品質も安定していてとても使いやすい部位です。

繊維密度が高い|ベンズからショルダーの背すじ付近

濃い部分が繊維密度が特に高いところ

キズが無ければ上質な部分。腰があり、背筋に沿って伸びにくい性質があるため、高品質なベルト用として重宝されます。

繊維密度が高い分、革質によっては、繊維方向をまちがえるとヒビ割れのリスクが高くなる部位でもあります。

使いにくい|ベリーの脚付近の繊維のゆるさ

ベリーは前脚からお腹を通って後ろ脚付近までを繋ぐ部分。

一般的に、繊維がゆるい場合が多く、製品には使えないので処分される部分です。

※イタリアには、ベリーに適したなめしがなされたベリー部のみを商品として販売しているタンナーもあります。

裏の床面を見てみましょう。

床面がボソボソになっています。

比較の為に、ベリーではなく繊維が密なお尻付近の床面も見てみましょう。

お尻付近の床面

ベリーとは対照的に、指でなぞった部分が残るくらいにキメ細かい革質です。

このように、ベリーは品質は他の部位に劣りますが、逆に言えば、革らしいワイルドさが大きく出る部分。

うまく利用して個性的な作品にチャレンジしてみてもいいかもしれません。

シボ革/シュリンク革でシボが出やすい部分

繊維質がゆるい部分にシボやシュリンクは強く出ます。

脚は、硬く、縦方向に強いため、シボやシュリンクは出にくいです。

個人的な意見ですが、シュリンクレザーは、ショルダー付近のトラとシュリンクが相まって独特な雰囲気を醸し出し、とても好きな部分です。

トラが多い部分|ショルダーの背すじ付近

革のショルダー付近の写真です。右下から左上にかけて入っている色が濃い線が背すじで、それと垂直にカーブして入っている無数の線がトラです。

トラは、製作時に注意が必要だったり、品質が安定しないのでブランドでは敬遠されがちですが、自然な表情がうつくしく、革好きな方にはむしろ人気があります。

キズが多い|首と尻付近

これは統計を取っているわけではなくて経験上の感覚なのですが、北米原皮の革は、首付近とお尻付近に大きな傷が多いように感じています。

北米原皮は、国内でなめされる牛革の多くに採用されている原皮です。

キズの量や出方は、牛舎の形やその牧場の密度や生育環境によるストレスなどによるかと思います。

首付近はいいのですが、繊維質が良いお尻付近にキズが多いのは残念ではあります。

傷を活かすような製品にすればいいと考えることもできるかもしれませんが、そのような作風の製品では、繊維質の良し悪しは求められないケースが多いように思います。

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革の部位の違いがわかると|メリットは2つ

メリット
  • 最適なパーツ選びができる
  • どこから切り出すかの迷いがなくなる

最適なパーツ選びができる

革の知識はレザークラフトに直接活かすことができます。

例えば、背筋に沿って伸びにくいと知っていれば、ベルト状の長いパーツはそこから取るのが一番良いとわかります。
バッグの胴(本体)を型崩れしにくくする為には、背筋を左右にまたぐことで左右対称に近い取り方ができて良いです。

どこから切り出すかの迷いがなくなる

知識がない状態だと、大きな革から何をどう切り出したらいいのかがわかりません。

予備知識や経験があれば、考えることなく行動に移せます。

半裁かダブルショルダーで勉強しよう

これらの部位の違いを知るには、実際にさわって確認するのが一番。
最初の一枚に最適なのは半裁か丸革です

全ての部位が入っているので一枚で済みます。

もしくはダブルショルダーかダブルバット。いろいろな部位に触れられるのでアリですね。

手に入りやすいのは半裁とダブルショルダーです。

革のカットの違いと購入方法について詳しくはこちらの記事をどうぞ。

革の勉強をしたいなら一度でいいから半裁とダブルショルダーを買ってほしい理由3つ

まとめ

牛革の部位ごとの特徴についてお話しました。

革の部位は大きく分けて、

  • ネック
  • ショルダー
  • ベンズ
  • ベリー

に分けられます。それぞれ特徴がありますが、近づいて見るとそこからさらに細分化できます。

  • ベンズは繊維が密でいい部分だけどお尻周りにキズが多い
  • ショルダーとベンズの間くらいの部位は繊維質が良く傷も少なく表情に変化も少ないので安定している

など。

革の部位ごとの特徴がわかると、パーツごとに最適な使い方ができるようになり、レザークラフトの腕前アップに役立つはず。

大きな革を買うのは勇気がいることかもしれませんが、是非一度チャレンジしていただきたいです。

最初の半裁革の買い方と買うメリットについてこちら☟でお話ししています。合わせてご覧ください。

革の勉強をしたいなら一度でいいから半裁とダブルショルダーを買ってほしい理由3つ
半裁とダブルショルダーを買うメリットは3つ。部位ごとのちがいがわかって製作にいかせる、繊維の向きがわかって製作にいかせる、パーツに合う部位を自分で選べる。

コメント

  1. babubabuogyaru より:

    ベリーは揉みまくって出来るだけ緩めて緩みから引っ張り、床と銀面を割るように引き裂くと1cmを超える起毛のベロアができてすごいんですよ!
    パワー要りますけど。
    デッドエアひとつ無くなって床側(ライニング向き)と顔面側で二つのベロアになるし柔らかいし、綺麗にならない床やコバももする必要がなくなるし、安さと相まってめちゃくちゃ都合がいいんですよ。

    • dete より:

      コメントありがとうございます。
      自分でベロアに加工する発想はありませんでした。

      興味深い情報をありがとうございます。

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