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サスティナブル素材『ヴィーガンレザー』に期待すること

革職人のなり方

先日、このような記事を書きました。

 

Twitter上でも、この記事について意見を述べてくださっている方が何人もいてうれしい限りです。

今回、私がこの「サスティナブル素材”ヴィーガンレザー”に期待すること」という記事を書こうと思った理由は2つ。

  1. 革業界全体に警鐘を鳴らし、サスティナブル素材への関心を高めてもらいたいから
  2. 革職人、革製品ブランドは悲観する必要ないよっていうメッセージ

1についてですが、先日、ヴィーガンレザーというワードを知らない革屋さんがいたことに驚き、危機感を覚えました。

そのような方から我々は商売道具(材料)を買っているのかと。この業界やべーな💦と。

海外を中心に有名ブランドはどんどんサスティナブルな素材へとシフトしていますし、日本でも高級アパレルブランドなどは先を見据えた行動をとっています。

現場の職人にも考える機会を持ってもらいたいです。

2についてですが、革素材が手に入りにくくなったとしても、どんどんいい素材が生まれて製作の幅が広がるから、逆に未来は明るいよというのが本質。いたずらに危機感をあおる気はありません。

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サスティナブル素材”ヴィーガンレザー”に期待すること

  • できたらいいな。経年変化するヴィーガンレザー
  • できたらいいな。本物のシュリンク(収斂)をさせたヴィーガンレザー
  • できたらいいな。防水透湿ヴィーガンレザー
  • 閉鎖的な革業界に風穴を。

経年変化するヴィーガンレザー

革製品の楽しみ方の一つに、”経年変化”というものがあります。

経年変化しない方がいいという方もいますが、味の出た革の美しさに一度惚れ込んでしまうととことんハマります!

これを、サスティナブルな素材で表現できないか?という考えから生まれるのが、経年変化するヴィーガンレザー

 

革の経年変化はいろいろな部分が変化するものですが、味として喜ばれるものは主に2種類

  1. 色変化
  2. 光沢

経年変化で色変化するヴィーガンレザー

色変化するヴィーガンレザーを作るにはどうすればいいでしょうか?

まず、革の色変化について説明すると、これは主にタンニン成分の変色。タンニンは赤ワインや緑茶などにも含まれる渋のことです。

革に含まれるタンニンの原料は木から取り出したものです。皮そのものが元々持っているものではありません。

つまり、タンニンを含ませることが出来れば経年変化で色変化するヴィーガンレザー実現は可能?

もちろん、簡単なものではないんだと思いますが、実現できたらおもしろい。

経年変化でツヤが増すヴィーガンレザー

まず、どうして革にツヤが増すかを説明する必要があります。ちょっと長いので流し読みしてください。

簡単に言うと、使い込むことで革表面が平らになって光を鏡面反射するようになるから。

専門的に説明すると以下のようになるようです。

ガラスや磨かれた金属のような滑らかな表面に光があたると、入射光のほとんどが表面で入ってきた角度と同じ角度の一方向に反射します。このような反射のしかたを鏡面反射と言います。滑らかな表面は、ほ とんどの光が鏡面反射するため、つやがあり、輝いているように見えます。

一方で和紙のように粗い表面に光があたると、入ってきた光は様々な方向に反射します。このような反射のしかたを拡散反射と言います。

 

【ヌメ革にツヤが出る仕組み】

新品のヌメ革は光を拡散反射するからマット

使い込むと表面がつぶれる

光を鏡面反射するようになってツヤツヤ

では、クロム鞣しの革に比べてヌメ革の方がツヤがツヤがでやすいのはどうしてか?
答え:ヌメ革方が可塑性が高いから
可塑性ってなんだ?
かそ‐せい【可塑性】
固体に外力を加えて変形させ、力を取り去ってももとに戻らない性質。塑性。

つまり形状記憶効果のようなもの。

これにより、摩擦でつぶれた表面が平らな状態で維持されるからツヤツヤになります。

☝ここまで☝がツヤが出る仕組みの説明。

 

では、経年変化でツヤが出るヴィーガンレザーを作るにはどうすればいいかというと、表面を可塑性が高い性質にすることで実現可能。

もっとも、これは狙わずとも、使っていくとテカリが出てしまう化学製品もあるくらいなので、作ろうと思えば比較的実現しやすいことなのではないかと思います。

本物のシュリンク(収斂)をさせたヴィーガンレザー

革にシボを入れる方法はいくつかあります。

  • タイコというドラム式洗濯機のような容器で振り回す方法(ナチュラルな仕上がり)
  • 型押し(シボではなくシボ風)
  • シュリンク

シュリンクは、薬品で収斂させているので、革の密度が高まり、弾力のある仕上がりになります。

この弾力が革独特の質感を生み出しているのです。

この弾力あるふっくらしたシボをヴィーガンレザーで表現できないか?

deteで使用する素材としては、求める品質レベルはかなり高いところにあるので、ここまでで一番難しい課題なのではないかと思います。

防水透湿ヴィーガンレザー

本革で防水レザーは既に実現しています。

もっとも、レインウェアに使うようなレベルの防水ではなく撥水のレベルですが、品質のレベルは十分に高いです。

どうせなら、ゴアテックスレベルに防水性と透湿性があって革らしい素材とかできませんかね?

というのも、すでにあるゴアテックス内蔵の革靴って、撥水加工をした表革と内装の間にゴアテックスを仕込んでいる構造なんですね。だから、表革には水がしみ込んでしまいます。

そうじゃなくて、革自体が防水。それでいて湿気を外に逃がす機能性ヴィーガンレザーっていうのが欲しい。

こんな素材シザーケースに使いたいなぁ。

閉鎖的な革業界に風穴を。

革業界って、古い体質の会社が多すぎる。

市場を独占した気になって卸先にマウント取ろうとする問屋さんとか。最近は後発の革屋さんの方が断然アツいですけど。あと、いまだにファックスか来店でしか注文できない問屋さんとか普通なんですよね。

最近は新しい風を吹き込んでくれる会社も増えてきましたが、それを加速してくれる意味合いを含めて、カンフル剤的なムーブメントがあってもいいんじゃないかと思ったり思わなかったり。

知らんけど。といった感じです。

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サスティナブル素材”ヴィーガンレザー”に期待することの総括

期待する内容自体は私個人の願いであり想いですが、実現できたら喜ぶ人もいそうだなぁとか、デザインの幅は今より広がるんじゃないかなぁとか夢想しています。

  • 経年変化するヴィーガンレザー⇒実現できると思う。
  • 本物のシュリンク(収斂)をさせたヴィーガンレザー⇒高いクオリティの実現は難しい?
  • できたらいいな。防水透湿ヴィーガンレザー⇒夢の素材です。できたらいいなー。
  • 閉鎖的な革業界に風穴を⇒グチみたいな笑

世界中のファッション業界全体として、サスティナブル素材への注目は今後も一層高まっていくものと思われます。

これは一過性のブームではないと私は感じています。

日本の革業界もそれに遅れず対応していかなくてはいけない。その為にはどうすればいいか?

みんなで考えていきましょう。

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