2019年11月下旬、浦和の築80余年の古民家アトリエを引き払い、活動の場所を東京都立川市に移しました。
2019年11月まで過ごしてたアトリエがこちら。
立派な瓦屋根と手延べガラスが使われた純日本家屋でした。
引越し先がこちら☟
間取りから床材、壁紙の色まで、ショールームを回ってじっくりと煮詰めながら作りました。
この記事では、革職人が考える理想のアトリエは?をテーマに、作業場の紹介をしてみたいと思います。
『職人や酔狂な趣味人のお部屋作り』の参考にしていただけたら嬉しいです。
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あえて外から丸見えの室内で仕事😆#アトリエ #革職人 pic.twitter.com/TeGBLCuYVK
— dete (@mkgx81) January 13, 2020
革職人の仕事と革の保管と撮影のパフォーマンスを高める部屋作りを目指しました。
床材
明るさがあって雰囲気の良いブラックチェリーを選びました。
ヌメ革と同じように、経年により赤茶色に変化していくもよう。
壁紙
作業する部屋なので、キズに強いタフクリーンの壁紙を選びました。
壁全面をグレイッシュなベージュ、天井をダークグレーにしました。
暗い天井は低く見えるような気がしますが、その分落ち着けます。この色にして正解でした。
壁紙も床材も、仕上がりは見本で見た時よりも明るく見えます。
見本でちょうどいいかなと思う色よりも若干暗めを選ぶといいかもしれません。
造り付け棚
二つの造り付け棚を注文しました。
一つは革用、もう一つは商品在庫用です。
革棚
奥行き1.2mの大きな棚。
1.2mあれば大抵の革はおさまります。
たくさんの革を載せる前提なので、ロフトのように頑丈な仕上がりにしてもらいました。
在庫用棚
奥行きは45cm。商品在庫や梱包用の箱などを収納しています。
在庫保管に使っている箱はアスクルオリジナルの段ボール。
S、M、L、LLと4サイズあって、揃えて使うと意外と映えるので重宝します。
おすすめはSサイズ。書類や道具の保管にも👍です。
Sサイズの価格は247円~と、かなり安い。段ボールといってもすぐに傷むこともなく丈夫でコスパは高いです。
なお、別の部屋でブラックも使っています。
有孔ボード
設計時に普通の有孔ボードを注文したところ、工務店のご厚意で、有孔の化粧ボード(パナソニック 有孔化粧ボード qps043601)に替えてくれました。
一つは穴と穴の間隔が30mmのタイプ、もう一つは間隔が25mmのタイプです。
パナソニックの有孔ボードは後者です。
市販のフック等は規格にあったものでないと使えないので注意しましょう。
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洗い場近くのタオルハンガーはこれ。
洗い場
包丁を砥いだり手を洗ったり、コーヒーを淹れたり。
訳あって大型のシンクになっています。
ここまで大きなものは普通は必要ありません。
包丁を砥げるスペースが同じ室内に確保できると非常に快適です。
砥ぎ時は、このシンクの右端にまな板状の石を渡してその上で砥いでいます。
道具をまとめて収納する多段チェスト
2021年から無印のスタッキングシェルフとスタッキングチェスト4段を追加しました。
道具と材料の収納がまとめられ、部屋にもマッチしてて大変気に入っています。くわしくは、薬箪笥より良い?ハンドメイド道具・材料収納の最適解は無印スタッキングチェストでお話ししています。
間取りと家具の配置シミュレーション
家具の配置シミュレーションをしながら、間取りの設計と、買う家具/捨てる家具の計画を立てました。
部屋の間取りは15.2畳です。
シミュレーションを使って考えた家具の配置がこちら。
実際の配置は変わりましたが、家具が占める面積と動線のイメージに大いに役立ちました。
マンションで革のアトリエはできない?
deteのアトリエは戸建てです。
では、マンションの部屋では革製品作りはできないかというと、そんなことはありません。
実際に、マンションの一室をアトリエにしている方もいらっしゃいます。
ただ、近隣の方には音や振動で気を遣うでしょうね。
もし可能なら戸建ての方が気兼ねなく作業できます。
革職人のアトリエ紹介|家具
愛用の家具や設備類を紹介します。
作業机(立ち作業台)
立って作業できて、疲れたらハイスツールに座ることもできる立ち作業台を愛用しています。
1800mm×900mmは、一般的に流通している作業台の中では恐らく最大の机。
半裁(牛半頭分の左右どちらか)は少しはみ出しますが、革を広げて切るのに支障は無い大きさです。
ハイスツール
立ち作業台と相性のいいスツールです。
ラバーウッド材が使われていて経年変化が楽しめます。安いですが長く愛せる椅子。
こちらも先ほど紹介したスタンディングワーク歴8年のレザークラフト職人が立って働くメリットとデメリットを語るで紹介しています。
それともう一台、アンティークのハイスツールも使っています。
古い木と鉄の雰囲気が好み。
本棚
アンティークショップで購入。
アトリエの古い書棚です。把手のデザインが珍しい。
上段は無印のファイルボックスに仕事の書類、中断は自分の手帳と革のスワッチ集そしてアンティーク鞄の保管場所、下段は革やデザイン関連の本棚に使っています。 pic.twitter.com/sjQglRnL5t
— dete (@mkgx81) February 1, 2020
革張り椅子
いただきもののアンティークの革張り椅子。
商品写真でもたびたび登場しています。
とても雰囲気が良くてお気に入りです。
シーリングライト
ロウヤのシーリングライトを使っています。
作業精度に関わるので明るさには妥協できない。それでいて、見た目も大事。
部屋全体に柔らかく光が回って、しっかり明るいライト。
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ワークライト
ZライトとIKEAのワークライトを併用。どちらもおすすめです。
2tプレス機
抜型を使って革のパーツを切り出す(くり抜く)のに使う道具。
革職人が使うプレス機はいくつかありますが、このタイプが最も手に入りやすいものだと思います。
抜型
この抜型を革の上に置き、先ほどのプレス機で上からプレスすることで、型通りに切り出すことができます。
抜型の製作は高津製作所さんにお願いしています。
ミシン
JUKIの工業用ミシン。これがないと仕事になりません。
工業用ミシンで多く使われるものに平ミシンと腕ミシンがあり、こちらは腕ミシンというタイプ。
針がついているところが写真奥から手前に向けて腕のように伸びているからこのように呼ばれています。
それに対して平ミシンは、平らな机の上に置かれたような造りのミシン。一般的には平ミシンの方が見慣れた形なのかなと思います。
1台ミシンを買うならほとんどの職人はこちらを選ぶでしょう。
平らなものだけを効率よく縫うなら平ミシンの方がベターです。
革漉き機
革の厚みをうすく加工する機械。こちらも革職人なら必須です。
うまく使いこなすと、革で折り紙が折れるくらいに薄く加工することができます。
- 写真手前の銀色の曲がった金属が刃で、この刃の左側が砥いであって切れる部分。
- 刃はシャーレを深くしたような形をしており、これが前転の向きに回転します。
- 刃の左隣には、ベルトコンベアのように革を刃に向かって送り出す装置がついており、これが革の断面を高速で回転する刃に押し付けて、革の裏面を削いでいきます。
- 削がれた不要な裏面はテーブルに空けた穴から落ち、上(表)の使う部分は刃の上に送り出されて残る構造です。
- 職人は自分の加工したい厚みにする為、機械を調節し、削ぐ厚みを変えて使います。
撮影スペース
新居での撮影スタイルが定まってきた😗
奥の白いアンブレラ内にストロボを設置し、リモートで発光させています。
これくらい被写体と離せばかなり柔らかい光になる。#物撮り #商品撮影 pic.twitter.com/ac0VNgJVYA— dete (@mkgx81) January 28, 2020
普段の撮影は外付けのフラッシュを使って撮っています。
時には外のコンクリートの上で撮ったり・・・
自然光を活かして部屋で撮ったりも。
撮影方法についてはこちら☟の記事で紹介しています。
まとめ
革職人のアトリエについて写真付きで紹介しました。
個人的に、作業環境はとても大切にしています。
散らかっていると、商品を不意に傷つけてしまう可能性も高まりますし、物を無くすことも多くなる。
せまい環境でも、工夫次第で改善は可能です。
自分にとって最高な趣味部屋(仕事部屋)づくりを楽しみましょう。
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