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EMSが届かない!スウェーデンに送った荷物の行方は?

革職人のなり方

スウェーデン宛にEMSで荷物を送った際に起こったトラブルについて詳細に語ります。

海外発送でどんなトラブルがあるのか?対処の方法は?などが気になっている方にはお役立ていただけると思います。

この記事を書いた人

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革職人の経験を活かし、趣味のレザークラフターや革製品のトラブルに悩む方に役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

・レザーブランド"dete"の代表
・出版書籍『革職人になる方法』Amazon手芸本1位獲得

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スウェーデンからのご注文

昨年2018年の暮れ、スウェーデンの方からシザーケースのご注文がありました。

奥様へのプレゼントを探していて、ネットで見つけた当店の商品を選んでくださったようです。

はるか遠い日本の工房の商品を大切なプレゼントに選んでくださったのです。こんなに名誉なことはありません。

海外の方も気に入ってくれるのか?どんな使い方をしてくれるのか?

期待と不安を感じながらEMSで発送しました。

 

それが2018年11月の終わり頃。

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年明けに届いたお客様からのメール

新年を迎え松が明けた頃、お客様から一通のメールが届きました。

「注文した商品が届かない。どうなっているのでしょうか?(英語)」

 

なんと届いていなかった!

 

配送状況を調べると、出荷した4日後にはスウェーデンの税関に届いていたが、そこから先が止まったまま。

どうしたものかと思いネットでスウェーデンあてのEMSの情報を調べてみると、税関を通過してから到着まで数週間かかるケースもあるとのこと。

 

海外の郵便事情は日本とは違う。それは理解しているつもりでしたが、今回は時間がかかり過ぎている。

これ以上お客様に迷惑をかけるわけにはいかないので、出荷した郵便局に出向き、荷物の調査依頼をすることにしました。

国内の宅急便やゆうパックなら、ウェブ上で問い合わせ番号を入力すれば、今どこに荷物があってどんな状況なのか即座に調べることができ、電話で調査依頼もできます。しかし、EMSではそう簡単にはいかない。EMSでも問い合わせ番号で調べることはできますが、ざっくりとしているうえ、税関を通ってしまった荷物を調査するにも直接電話をかける窓口なんてない。

郵便局に出向き、フォーマットに沿った書類を提出し、そのあとはひたすら調査結果を待つだけ。

いや、待つだけではだめで、何度か催促をしないとまともに動いてもらえない。

 

脱線するが補足しておくと、EMSのHPにある調査依頼票を提出したところ、郵便局の方に、「書類が違っていたのでこちらで書き直した」と言われてしまった。「他の郵便局でもらった書類ですか?」とも聞かれました。局によって採用している書類が違う?

 

郵便局の方もこういったケースには慣れていないようで、とまどいもあったのかもしれません。

 

書類を提出すれば具体的な返事がもらえるものと淡い期待を抱いてはいましたが、1週間たっても、2週間たっても返事はもらえません。

この間もずっとお客様を待たせてしまっているわけです。

調査状況の確認と催促

業を煮やして催促に出かけると、局長自ら、EMSを統括している局に電話してくれました。

そしてそこからスウェーデンの郵便局に連絡してもらったのですが、ここでもまた数週間かかるわけです・・・。

 

郵便局の局長はとてもよくしてくれたと思います。

こちらの状況をわかってくれて、かかりきりになって対応してくれました。

 

しかし、結局荷物は届くことなく、調査の結果、スウェーデン内で荷物は紛失したということになりました。

本当に残念です・・・

損害賠償請求

送料と商品代金は補償されるとのこと。

損害賠償請求からは、担当の局が変わり、地域を統括する大きな郵便局にまわされました。

これが調査請求回答書。調査を依頼してからこの回答がもらえるまで一カ月かかりました。

 

損害賠償請兼料金等返還請求書。これと、↓の申立書を一緒に郵便局に郵送します。損害賠償請求の手続き自体は簡単なものでした。

担当の方からの電話を受けて、送られてきた書類に記入して送り返すだけ。

 

請求してから数週間で、指定の口座に入金されました。

優しいお客様

さて、損害賠償されても、大事な部分が解決していません。時間軸が前後してしまいましたが、実際は損害賠償請求をする前にお客様に事情を説明しています。

郵便局の調査は以下の通り。

  • 荷物はスウェーデンの税関を通り、統括する郵便局への到着は確認できた
  • そこから先、郵便局の支局に届く過程もしくは、支局内で紛失したと断定し、調査を終了

上記の調査結果をお客様に説明すると、納得した上で、もう一度新しい商品を送って欲しいとのこと。ここでキャンセルしても何も悪くないし、当然そのように思ってもおかしくないところなのですが、こちらのお客様はそれでも商品が欲しいと言ってくださいました。

本当に優しく理解のある方です。

何でも、スウェーデンは郵便事情がお粗末で、荷物が紛失することが度々あるとか。こちらに気を使ってそう言ってくださっているんだろうなぁ。本当に申し訳ない。

 

荷物は別の方法で再度送り直すということになりました。

国際宅急便でスウェーデンに荷物を送る


お客様のご厚意からもう一度送るチャンスをいただき、改めて送ることに。

さすがに前回と同じEMSで送るわけにはいかないので、今回はヤマト運輸の国際宅急便を利用しました。

ヤマト運輸の国際宅急便は集荷で受け付けてくれるので便利です。

一度事故っているので今回こそはと不安な面持ちで、仕事の手が空くたびにチラチラと荷物の配達状況を確認していました。

国際宅急便の配達状況はとても事細かに記されていて、目的の国に行くまでの経由地の通過状況まで表示されます。

今回の場合、韓国や台湾などを通り、ヨーロッパではイタリア、フランス、デンマークと、段々と目的地に近づいていく状況が見てとれるのがおもしろい。

私は目的地まで直行便で届くものと思っていましたが、皆様はご存知でしたか?

ついに荷物が届けられる

スウェーデン内に着いてから、何度かの持ち戻しを経て、ついにお客様のもとにおとどけができました。

苦節、最初の荷物を送ってから5ヶ月の日数(新しい商品の確保期間を含めて)を要しました。

辛抱強く待ってくださったお客様に感謝しきりです。

ところが、ここで話が終わらない…

今更EMSが届く!?

国際宅急便の到着を確認して数日後、お客様からのお礼のメールが。

内容を要約するとこうです。

シザーケースが届きました。とても美しい品をありがとうございます。

さて、ここにきて、一つ困ったことが起こっています。

昨年末に送ってもらったEMSが見つかり、届けることができることになったと郵便局から知らせを受けました。

受け取ってあなたに送り返すのが一番いい方法だと思うのですが、その為には所定の手数料と、それとは別に1300クローナが必要です。

私は受け取らない方がいいと考えているのですが、何かいいアドバイスはありますか?

二度目の荷物が届いた矢先にこれですか?

もちろん、郵便局の方が一生懸命探してくださった結果で喜ばしいことなのですが、正直複雑です!

日本の郵便局からはすでに損害賠償を受けており、形の上では解決ということになっています。

ここから先の対処を頼むのは気が引ける。

受け取らないでください…(泣)

私からのメール

無事届いて安心しました。

さて、最初に送った荷物が見つかったのですね。

これはうれしいことであり、また新たな問題を起こすものでもあります。

もし、あなたがそれを無料で受け取ることができるなら、是非あなたの奥様の同僚の方とシェアして使っていただきたいと思います。しかし、あなたがそれを受け取る為には関税を負担していかなくてはならないので、受け取るか、受け取りを拒否するのか、その判断はお任せいたします。

ゴールデンウィーク序盤のこともあって、すぐには郵便局に相談もできないこと、こちらからスウェーデンの郵便局に直接連絡を取ることも難しいということについてもつらつらと。

受け取りを拒否するということは、郵便局側が荷物を処分することになるのだと思います。

自分の手掛けた商品を処分するのは本当に辛い…。身を切られる想いです。

しかし、これ以上お客様に手数をかけるわけにはいかず、また、かかる送料や先の1300クローナなどの費用を返金する手間なども考慮すると、これがベターかなと。

優しいお客様

そしてそのメールに対するお客様の返事は、

私が関税を払って受け取ることはOKです。しかし、そうなると私は2つの料金で4つの製品を受け取ってしまうことになりますが、問題ありませんか?

なんとお優しいお言葉!

ここまで迷惑をこうむっていながら、常にこちらのことを気遣ってくださるお客様。

本当にありがたいです。

“使っていただけるならこちらとしてはありがたいことなので、是非受け取ってください”と返事をしました。

まとめ

お客様は喜んで受け取ってくださるようで、ここで一件落着と相成りました。

本当に長らくお待たせをしてしまった点については申し訳ない気持ちです。

今回のスウェーデンのお客様は、元々EMSをご存じなくて、国際的に有名な郵送サービスであるDHLを希望されていました。しかし、DHLは法人のみの対応となってしまう為断念。日本で定評のあるサービスのEMSを提案し、受け入れてもらったという経緯があります。

EMS自体は素晴らしいサービスなのですが、海外についてから先はEMSが委託した業者のサービスに依存する形(恐らくヤマトの国際宅急便も同様)になります。そういった意味で、海外にお届けするのは、国内配送には無いリスクがあるものだなと改めて実感しました。

いろいろあった今回のEMS騒動ですが、結果として、それぞれの立場から見て受け取ったものと支払ったものは以下の通り。

・私・・・2回分の送料を払って4つの商品を送って、4つ分の商品代金(うち半分は損害賠償)を受け取る

・日本の郵便局・・・1回分の送料を受け取って、2つ分の商品代金の損害賠償を支払う

・お客様・・・2つ分の商品代金と4つ分の関税を支払って、4つの商品を受け取る

手間を含めて考えたら何とも難しいところですが、額面上は損はしていません。

それと、いろいろ勉強になりました。

お客様にどう伝えれば安心してもらえるか考えたり、郵便局できちんと対応してもらうには?もしかり。

それと、スウェーデンの通貨がユーロじゃなくてクローナという独自の通貨だなんて知りませんでしたしね。一つ賢くなりました。

これから国際宅配便を送る方へのアドバイス

・賠償保障をきちんと確認しましょう。

EMSは賠償金額に限度があり、それを超える分の補償については任意の有料保険金を支払う必要があります。今回は払っていたからよかった。(限度額は失念しました)

国際宅急便の場合は、元々の補償限度額が高く設定されているようです。

・出荷票、インボイスその他書類の控えやコピーは必ず残しましょう

これがなかったらもっと手続きに手間取っていたと思います。

郵便局内で書いて提出する場合は、コピーをお願いしましょう。

納期は長めに見積もりましょう

もっと早く届くものと早合点してお客様に伝えてしまい、ご迷惑をおかけしてしまいました。

EMSが届かないときは・・・

まずは発送したときの窓口に相談に行きましょう。

この時に一つ注意点。EMSに慣れていないスタッフだと手間取ることがあることと、当事者意識を持って対応してもらえないことがあることは理解しておいた方がいいかもしれません。

これがゆうパックで送った問題だったら、事態の深刻さをすぐに理解してもらえると思うのですが、EMSのトラブルだと、自社の問題とは別の事と考えてしまうスタッフもいるのかな?と感じた今回の出来事でした。

最終的に、お客様への迷惑を最小限に抑えることができたのは、郵便局の局長やその他担当者の協力の甲斐あってのことと思い、ここで感謝の意を伝えたいと思います。


追記

後日、別件でNY宛に荷物を送りましたが、今回は出荷してから47時間後(現地時間)にお届けができました。

時差を考慮しても3日足らずで届いたことになります。

本当に早いですね。

これが東京から離れたところからの発送であったり、宛先がアメリカ郊外や新興国の場合はもっとかかるものと思っておいた方がいいと思います。

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