世界にはたくさんの素晴らしい革素材が存在します。しかし、その中のいくつかは、経営とのバランスをとることが出来ずタンナーが倒産し、伝説となって名前だけが語り継がれていくことになります。
そんな伝説の素材が、弊社ストックに存在します。革製品に詳しい方や同業者だけでなく、革製品にちょっとだけ興味ある方や、革製品を探していた方にもおすすめできる記事となっています。
伝説の素材との出会い
今をさかのぼること数年前のある日、この宝石のように美しい革が私の元に届きました。購入時にも目にしていた革を改めて眺めましたが、とにかく美しいのです。そして清い。
左から コーラルグリーン グレー コーラルオレンジ スカイブルー パーシモン
透き通るような透明感と淡い色彩。カラーバリエーション。カーフならではの繊細な質感と革質の良さ(キメの細かさと耐久性の高さ)。どれを取っても素晴らしい。
素晴らしい素材ゆえの悩みと葛藤
この革の品質は疑いようのないものでしたが、当時の私には、どのような形に仕立てれば、この貴重な革の良いところを殺さずに済むか・・・その答えを出すことができずにいました。
それまで主に使ってきた、厚みがあって硬い栃木レザーやイタリアンレザーなどと違い、このカーフ素材は、しなやかでひたすらに繊細。
イタリアンレザー
カーフ スモーキーブルー
カーフは、繊細でありながら、薄さと軽さの割に非常に丈夫な特性も兼ね備えている。
ポテンシャルは申し分ありません。あとは、何をどう作るかだけです。
キャメル
そして今、どう生かすかという一つの答え
あれからdeteは成長しました。
高価格帯のオーダーメイド品を生産しながらも、同時に低価格な商品の研究も進め、それまで使ってこなかったクロム鞣しの革を採用するなど、新たな挑戦を水面下で進めてまいりました。
この挑戦によって、革に対する視野を大きく広げることができました。
そして、その研究の中で、このはかなさを感じさせるカーフ素材の扱い方を学び、今日までアイディアをしたためてきました。
短所を補うよりも長所を伸ばすことに目を向け、素材に逆らわず、素材に求められるままに形にしていく。
その作業は、20代の頃自分にあった、”成し遂げよう”、”自分の手で作り上げよう”という前のめりな姿勢からは起こりえなかったもの。
それはとても新鮮で、新たなモノづくりの楽しさを感じさせてくれる作業でした。
山浦染革カーフの商品
この革で作った商品を紹介します。
タッセル巾着バッグ
元をたどれば、身内からの依頼で生まれた商品。
「せっかくだから自分の手で作ったら?」
ということで、休日にワークショップを開くことに。
やってみたら・・・
「これいいじゃん!」
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改良を加えてこの形になりました。
ペンケース『コッペ』
こちらの商品も知人からの要望から生まれたものです。
男性へのプレゼントでシックな色を依頼されましたが、商品化ではとことんポップに。
いい意味でdeteらしくない製品に仕上がりました。
開閉が早いカラフルコインケース
握って開ける。緩めて閉じる。
手ざわりや弾力など、この素材の持つ魅力を最大限味わっていただける製品です。
開閉が早いカラフルキーケース
開閉が早いカラフルコインケースの派生商品。
やっぱり便利なものって良いですね。
文庫本ブックカバーB 伝説の国産ベビーカーフ使用 羊革貼り
裏地の選定っていつも悩む。硬さや厚みで製品の仕上がりは大きく変わってしまいます。
「この革のブックカバーに使うならこれしかない。」
そんな裏地に出会えたこと。それがこの製品の誕生のきっかけです。
山浦染革カーフで作ったオーダーメイド品一例
A5判ソフトカバー用ブックカバー
この製品を作ってから、他の革も含めて、グレーと明るいブルーの組み合わせが人気色になりました。
私も大好きな組み合わせです。
EDiT B6判用ブックカバー 大き目革ボタンのフラップ式
オーダー時に、紙で作った理想のイメージを郵送してくださいました。
きっと仕事ができる方なんだろうな。
こういうお客様を見習って、私自分が客の場面では、どう伝えればこちらの意図を読み取ってくれるかを考えながら注文するようにしています。
ハヤカワ文庫トールサイズブックカバーB ベビーカーフ
昔からのお客様からのご注文。
工房にご来店いただき、たくさんの選択肢の中からこちらの革を選んでいただきました。迷わせてしまってすみません。
考え抜いた分、お気に召していただけたようで何よりに思っております。
アシュフォードHB×WA5リフィル対応 システム手帳
特にご要望が無ければ、私はシステム手帳は硬く(手にもって書けるよう)作ることが多いです。
今回は、ご要望あって柔らかく、それでいて、ステッチ周りにぷっくりした立体感は欲しい。
難しいご注文でしたが、うまくまとまったのではないでしょうか。
バイブルサイズシステム手帳手縫い
内装はイタリアンレザーのグリーン。
何人かのお客様から同じ組み合わせでご注文いただいています。
このカラーはそろそろ在庫が切れるかな?
トープって永遠のおしゃれカラーだと思いますが、ここ最近ニュアンスカラーが特に人気ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?この素晴らしい素材の魅力が少しでも伝わっていたら嬉しいです。
最後に、こちらで紹介した商品へのリンクをまとめておきます。
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