エイ革とブライドルレザーを使って手縫いのブックカバーを作りました。
エイ革ってどんな革?という興味がわいた方はぜひこちら↓もご覧ください。
デザインはお客様のイメージに近い写真(財布の写真)を送っていただき、こちらでブックカバーに適した形にまとめました。
エイ革に適したA案とB案二つの手法を考え、それぞれのメリットデメリットを伝えてお客様に比較検討していただき、デザインを詰めていきました。
オーダーメイドで制作する際は、いつも製作時の記録を残しています。
三脚に、机と平行に伸びたバーを取り付け、下向きにオリンパスのミラーレスを配置しています。カメラを持たず、液晶にタッチするだけで撮れるので快適な環境です。
エイ革を切り出し中。
スターマークが表表紙に来るようにカットしました。
縫製はすべて手縫いです。
手縫いの穴あけに使ったのは韓国の道具メーカーのもの。つい2,3年前までは、手縫いの穴あけの道具といえば、フランスのブランシャードの目打ちか、日本の菱目打ちしかありませんでした。
最近は、東アジア圏を中心に、世界中でいろんなメーカーが乱立していて、その多くがかなりクオリティの高い道具を輩出しています。個人的に、中華圏の製品が日本製よりクオリティが高いっていうのは複雑な思いもあるのですが、いい道具なら何処製でも迷わず導入します。
これらは、線の切れ目を入れるヨーロッパタイプなので、菱目打ちとは呼びませんね。何ていうのでしょうか??
縁取りのパーツ。イギリスのブライドルレザーという革です。
説明不要かもしれませんが、ブライドルとは、手綱(たづな)のこと。その名の通り、古くから馬具に用いられる革です。たまにブライダルレザーと言ってしまう方がいますね。特に否定はしないことにしていますが笑
人の知恵というものは優れたもので、今のような技術やコンピューターもない時代でも、環境に合わせて、道具や素材はどんどん進化していきました。このブライドルレザーは、革の内部まで蝋が浸透しています。表面に浮いた白い物質が蝋(ブルーム)です。
この蝋成分により、雨が降っても水がしみ込みにくく、馬具としての強度を保つことができます。もし、これが普通のヌメ革であったなら、濡れた状態で引っ張られたときに、革が伸びきってしまったり、油分が抜けてしまいます。
普通の革はタンパク質を加工したものですが、エイ革の表面のごつごつは、カルシウムのかたまり。人の歯のようなものです。
このままでは普通には縫えないので、通常の革と近い感覚で扱えるように下処理を施します。いろいろ方法はあるのですが、今回はリューターで表面のカルシウム質を削り取りました。ブライドルレザーの下にエイ革が隠れるインレイ仕様だからこそできる製法です。
縫製はすべて手縫いで行いました。
縁取りの縫い付け完了。
内装と貼り合わせて縫い付けます。この時、仕上がり時に曲がった状態になる部分は、予め曲げ貼りを行います。曲げ貼りについては、曲げ貼りの妙 シザーケースS09-5の場合で説明しているので興味があったら読んでみてください。
完成です。やばいかっこよすぎる(心の声)。
風格ある仕上がりになり、お客様にもとても喜んでいただきました。
ブライドルレザー×エイ革は最高にクールですね。
現在受注は停止しておりますが、こちらで製品の詳細な画像も掲載しております。
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