レザープロテクションクリームを実際に使った上でレビューします。
レザープロテクションクリームは、Leather Masterというブランドが販売するレザーケアグッズです。オレンジ色のパッケージが目を引くこのボトルを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事は次のような疑問を持った方に向けてお話しします。
最初に結論をまとめます。
革に油分を与えてひび割れを防ぎ、革を保護する(防水・防汚)効果があるクリーム。
家具のお手入れに最適な商品。液体なので水を吸いやすい革には延ばしにくく不向き。さらにスエードやヌバックなど毛羽立った革には使えないので注意。
レザープロテクションクリームはどんなクリーム?形状と質感
まず、この商品を使う前にわかる情報についてさらっと解説します。
クリームというよりミルク。シャバシャバの液状
クリームと名がついた本商品ですが、レザープロテクションクリームはシャバシャバの液状です。
どちらかといえばミルクと言った方がふさわしいような状態。
革用のクリームにおいては、こってりなのかシャバシャバなのかでつかい心地や相性のいい革がちがってくるため重要なポイントです。
くわしくは後述しますが、水を吸いにくい革にはシャバシャバでも大丈夫ですが、吸いやすい革には向かない場合があります。
レザープロテクションクリームの開け方|ボトルにクセあり
販売元によってボトルにちがいがあるようですが、私が購入したボトルは開け方にクセがあります。
ただキャップを回しただけでは開きません。キャップをつぶすように強くつまみながら回す必要があります。
お口の洗浄液のリステリンをもっと開けにくくした感じです。子供の誤飲防止などのためにあえて開けにくくしているのでしょう。
レザープロテクションクリームのメリット|革に塗るとどうなる?
ここから実際に使った過程と結果です。「ヌメ革のハギレ」と「アンティークの革張り椅子」で試しました。
結果ですが、どちらの場合も革が若干柔らかくなり水を弾くようになりました。この効果により、革のひび割れを防いで汚れを防ぎ、長持ちさせてくれるようになります。
見た目にも変化がありました。ヌメ革はすこし色が濃くなり、椅子の革はツヤが出て鮮やかに若返ったように見えます。
ヌメ革に塗ってみた → 柔らかくなって色が濃くなる
※ヌメ革はタンニンなめしという製法で作られた昔ながらの革で、ベージュから茶色に変化していく味が楽しめる革として有名です。
関連記事 ヌメ革とはどんな革?|ヌメ革の性質、お手入れ&扱い方
ヌメ革に塗ると、一時的に色が濃くなります。乾いた状態でも少し色が濃く残りますが、ゆっくり時間をかけてなじんでいくので心配はいりません。
油分の作用で革がすこしだけ柔らかくなるのが感じられました。
革をやわらかくする作用は、革のひび割れを防ぐうえで重要です。適度な油分が潤滑油になり、革の繊維同士をなめらかに動かしてくれるからです。
革がひび割れた事例について、関連記事 経年劣化|某ブランドバッグのレザーハンドルがひび割れ|原因と予防策で紹介しています。
塗った結果に他社のクリームとの大きな違いはありませんが、レザープロテクションクリームをヌメ革にムラなく延ばすのはちょっとむずかしいと感じます。
これは、延ばす前に革がクリームを吸ってしまうから。
革のひび割れを防ぐのに必要な油分を補う効果あり。
水分や油分を吸いやすい革には延ばしにくく、ヌメ革には推さない。
アンティークの革張り椅子に塗ってみた
アンティークの革張り椅子に塗った結果、ツヤが増し、心なしか鮮やかに若返ったように見えます。これは、乾いた革に油分が入ってうるおいが戻ったからだと思います。
さらに、座面を手で押した感じにも違いがありました。塗る前はキシキシとした音を立てながらへこんだ座面が、塗った後はその音がしなくなり、なめらかに革が動くようになったのを感じることができました。
革に油分が入り、革本来のやわらかさがもどったのを感じます。
ツヤが出て革が若返ったような印象に。
レザープロテクションクリームを塗ったら革にやわらかさが戻り、ひび割れを防いで革を長持ちさせる効果が期待できる。
水や油をはじき、水シミを防ぐ防水効果を発揮
ヌメ革のクリームを塗った部分と塗っていない部分それぞれに水滴を垂らしてみました。
結果、レザープロテクションクリームを塗った側は吸いこみが遅く、ふき取った跡もシミができていません。クリームを塗っていない側は水シミが残ってしまいました。
レザープロテクションクリームを塗っていない方は水シミができているのに対し、塗った方は水シミができていません。
アンティークの革張り椅子に水滴を垂らしてみても、
この通り水を弾いて吸いこみません。
レザープロテクションクリームは革にはっ水効果を与え、水シミを防ぐ効果がある。
レザープロテクションクリームのおすすめの用途と使い方
用途とお手入れ手順についてお話しします。
おすすめの用途はソファや革張り椅子のお手入れ
液状のクリーナーなので、水を吸いにくい革には延ばしやすくおすすめです。
代表的なものとして、革張りの高級ソファや、本革を使った車の内装などにお使いいただけます。
特に、車の内装は革が傷んでも簡単には交換できませんので、日ごろからお手入れしながら使いたいですね。
布につけてふき取るように塗るだけで効果を発揮するレザープロテクションクリームはそんな用途にぴったりな商品といえるでしょう。
使い方(手順)
まずほこりをはらいます。すみずみまで行いましょう。
細かい部分はエアダスターや小さなブラシか刷毛があると便利です。
レザープロテクションクリームをよく振ります。
柔らかいクロスに付けます。手頃なクロスがない場合はこちらのポリッシングクロスを。
写真より多めに使って大丈夫ですが、様子を見つつ少しずつ試すのが失敗しにくいコツです。
やさしく磨くように全体に塗り広げます。この時も様子を見つつ行います。
全体に塗ったらやさしく乾拭きし、乾くまでそのまま放置すれば完了。お疲れさまでした。
ソファの手入れにおすすめのブラシ・ダスター
ソファ専用にブラシをそろえる方は多くないと思うので、他の家具と兼用する前提でお話しします。
おすすめは、羊毛ダスターです。
うちで使っているのはmi woolliesの羊毛ダスターです。
このダスターのいいところは、柄以外の部分全体がウールで覆われているから、柄やブラシ土台で家具を傷つける心配がないこと。安心して使えます。
ただ、毛のブラシにくらべるとすき間のほこりをかき出す能力が劣る点はデメリット。これを補うために、毛足が長くて小さなブラシ(豚毛、化繊毛などしっかりめの)か、エアダスターを使いましょう。
エアダスターはスプレーと電動があります。強力なのはスプレーですが、マメに使うと不経済ですしエコじゃない。うちは電動のサンワダイレクト 200-CD071に切り替えました。
やばいの買ったw
— デテログ (dete®の人) (@mkgx81) November 1, 2022
あとはロボット掃除機と空気清浄機に任せた。 pic.twitter.com/6990uGBn7u
200-CD071は軽くコンパクトで、スプレーほどではないですが十分なパワーがあります。USB充電できてコードレスだから使いやすく便利です。
その他、家具にやさしく汚れもかき出すちょうどいい塩梅の選択肢として、家具用の山羊毛ブラシもおすすめです。
ボリュームある山羊毛のブラシで、革のソファから高級家具まで使えます。土台の先端にフェルトが貼られていて家具を傷つけない工夫がされているのも良いですね。
靴用のブラシじゃだめ?
ブラシ土台で木の部分を傷つけないよう注意して使えば問題ありません。
ソファなどの革の部分については、必ずしも繊細なブラシである必要はなく、馬毛や豚毛の革製品用ブラシでも問題ありません。
なぜなら、家具用の革は、バッグや財布に使われるものより丈夫でラフにあつかえる素材が使われているからです。これは高級家具に使われる革においても同様です。
くつ用との兼用はおすすめしません。ソファが汚れてしまいます。
くつ用ブラシを使うにしてもソファ専用に用意しましょう。
レザープロテクションクリームが使えない革
スエードやヌバックや毛皮などの起毛革には使えません。
理由は、毛足がまとまって本来の美しさを無くしてしまうからです。
実験した内容をまとめた記事がありますので、興味がある方は 関連記事 スエードにクリームを塗っちゃダメ|実験結果アリ|をご覧ください。
レザープロテクションはヌメ革など水を吸いやすい革には不向き
水を吸いやすい革は、レザープロテクションクリームをすぐに吸い込んでしまい、ムラなく延ばすのがむずかしいです。
水を吸いやすい革の代表がヌメ革。素上げの革やそれに近い仕上げの革も吸いやすい傾向があります。
塗る面積が広く、それでいて水を吸いにくい(防水性が高い)革製品に特化したクリームだと感じます。
水を吸いやすいヌメ革などには、一般的なトロっとした革用クリームを使いましょう。
シュプリームクリームデラックスや革小物用コンディショニングクリーム、エム・モゥブレィ デリケートクリームなどおすすめはいくつかありますが、万能なのはシュプリームクリームデラックス。
関連記事 コロニル1909シュプリームクリームデラックスの万能感をレビュー&使い方
ヌメ革以外にも、水に強くないとされるコードバンやブライドルレザーにもおすすめしません。
関連記事 ブライドルレザーを濡らした時の対処法&水ぶくれができたときの直し方でブライドルレザーを濡らしたら水ぶくれができた事例を紹介しています。
レザープロテクションクリームにクリーニング効果はない?
レザープロテクションクリームには汚れを落とす効果はありません。
主な成分は水と油分なので、副作用的に多少汚れを落とせる効果はあるかもしれませんが、汚れ落としを目的とした商品ではないと認識していただければと思います。
同社がクリーニング用に販売している商品があるので、そちらと合わせて使うことをご検討ください。
ソフトクリーナーは水性のクリーナーなので、革に与えるダメージが小さく、デリケートな革にも比較的安心して使える商品のようです(ソフトクリーナーは未検証)。
私が検証した中での革にやさしいクリーナーのおすすめは、コロニルのデリケートクリームです。
他にLeather MASTERのクリーナーには、ラピッドクリーナーSという商品があります。
こちらは泡で汚れを落とすクリーナーで、ソフトクリーナーよりもしっかりクリーニングできる商品になっています。
ラピッドクリーナーSも実物を手に入れておらず未検証です。
同様に泡で汚れを落とすクリーナーの私のおすすめは、コロニルのレザーソープ。デリケートな革にも使いやすい革用のクリーナーです。
レザープロテクションクリームの販売店
大型のホームセンターや、大型のクラフトショップやホームセンターなどで買えます。
もちろんAmazonや楽天などでも購入可能。
レザープロテクションクリームについてのまとめ
レザープロテクションクリームをレビューしました。
レザープロテクションクリームの特徴と使うメリットをまとめます。
油分の効果だけでなく軽いはっ水効果もあり、革製ソファや椅子のふだんのお手入れにぴったりな商品だと感じました。
水分を多くふくんでいるので延ばしやすく、革の手入れが不慣れな方にも使いやすい商品です。
水を吸いやすいヌメ革などに使うとムラになりやすいので、そういった革にはシュプリームクリームデラックスなどのコッテリしたクリームが使いやすいはずです。
関連記事 コロニル1909シュプリームクリームデラックスの万能感をレビュー&使い方
この記事は以上です。長文お読みいただきありがとうございました。
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