革職人として独立して11年になるデテログのミコガイです。deteという革製品ブランドを運営しています。
先日、革作家を目指している方からコメントでご質問をいただきました。
ご質問にはコメントでお返事させていただきましたが、もっと掘り下げれば同じように脱サラして革職人(革作家)になりたい方にも役に立つのではないか?と思いこの記事を書きました。
以下が記事内容です。

掲載記事 「革職人が独立なんて無理。」言われて9年経つけど何か?
30代~50代の中堅以上の会社員で脱サラを目指している方と私の偏見でイメージいたしました。
このご質問を元に、

本気で作家(独立)になりたいなら今すぐ会社辞めた方がいいですか?

専業になるのにおすすめのタイミングはありますか?
と悩んでいる方に向けてお話ししてみようと思います。100%ご質問に沿う内容ではありませんのでご了承ください。
独立にかかる費用については、革製品ブランド(個人経営)の独立開業にいくらかかる?|結論、約200万円をご覧ください。
先にタイトルへの回答です。

すぐに辞めた方がいいか?の答えはノー。悩んでいる段階なら脱サラはすすめられないです。
辞めざるを得なくなったタイミングで辞めればいいのではないかと。
つまり、脱サラすべきタイミングは自然にやってくるということです。
- 独立のタイミングは?
- 悩んでいる状態で独立するのをすすめない理由
- 会社員兼業のメリット
副業ハンドメイド作家が会社を辞めて独立するタイミングは?

独立すべきタイミングは、会社を辞めざるをえなくなったときだと考えます。
辞めざるを得なくなるタイミングとは何でしょうか?ここでいうそのタイミングは次の通りです。
です。
あとは、売り上げはそこそこでもSNSで継続的に話題になっていたりメディアに取り上げられたりするレベルならGOと考えます。
会社を辞める際、いきなり独立ではなくて次のように段階的な流れでもいいと思います。
本業が会社員 × 副業がハンドメイド
↓
本業がハンドメイド × 副業がバイト(会社員)
↓
ハンドメイド作家で独立

要は売れたら独立すればいいっていうことなんだね。

そう。どうしたらいいか悩んでいる状態だったら脱サラはおすすめできないかな。
その理由についてこれから解説します。
悩んでいるなら…即脱サラすべきでない理由4つ

デテログなりの結論は、相談者さんのように悩んでいる状態なら辞めない方がいいと考えています。

会社勤めのまま二足のわらじだと中途半端になりそう…

退路を断った方が勢いがつくのでは?
と考える方もいると思います。
デテログがすぐに辞めることをおすすめしない理由は以下の通りです。
- 売れっ子になってから独立しても十分間に合うから
- 脱サラしたからといって売上が伸びるわけではないから
- 脱サラしたからといって上達するとは限らないから
- 辞めたらつぶしが効かなくなるかも
売れまくって手が回らなくなってから辞めればいいから
先ほどの独立のタイミングの章でも書いた通り、ある程度売れっ子になってから会社を辞めても遅くありません。
実際、会社員→作家で独立の流れで成功している方の多くは、会社員時代から人気の作家さんだったケースが多いと思います。
大変失礼ですが、

今会社を辞めるべきかどうか?
と悩んでいる状態なのであれば、売上の方はまだこれからなんじゃないかと想像しました(ちがってたらすみません)。
すこしきつい話ですが、脱サラしたからといって現状が好転するわけではありません。
脱サラしても売上は伸びない
実店舗でもECでも、売上高というのは、来店数×転換率×単価で決まります。

どれだけのお客さまに見てもらえて、その中で何%の人が買ってくれて、平均注文額はいくらだったか?ということだよ。
つまり、ハンドメイド作家の売上高は、作家活動に費やせる時間とか生産量と直接の関連性はないのです。

脱サラしたからといって売り上げが伸びるとは限らないキビシイ現実。
なので、脱サラしようと思う理由がハンドメイド作品の売上を上げるためだとしたら、脱サラは解決策にはならないです。

もちろん、脱サラして空いた時間でSNSがんばるとかはあり。
それでもやったらやった分売り上げが伸びるとは限らないよ。
関連記事 ハンドメイド販売の値段|安売りすると失敗する2つの理由(経験談)

脱サラしたからといって技術が上達するとは限らない

脱サラしてハンドメイド作家に専念したからといって腕が上がるとは限らないよ。

毎日作れば上達しない?

くり返し作ることで勝手に技術はついてくるよ。
でも、日銭を稼ぐための製作に追われて勉強する時間がなくなってしまうのなら、会社員時代と何も変わらないよね。
すこし極端な意見ですがあながち間違っていないと思うのがこれ⇩

副業なのにプロ顔負けの作品を作る作家さんはゴロゴロいるよ。
もちろん「量」は大切です。でも、それ以上に大切なのが、どれだけ集中してどれだけ考えて行動できるかの「質」の部分。
上達しなくて悩んでいることが脱サラに舵を切る理由なのであれば、脱サラが解決策にはならないかなと思いました。
自分を追い込むために独立するのはあり?

自分を追い込んだ方がやる気になるんだけどまちがってる?

そういう人もいるね。これはタイプによるから一概には言えない部分。
もしそういうタイプだと自覚してるなら勢いを大切にした方がいいかもしれないよ。
私の独立時の話をすると、「失敗するはずがない。」と思い、その時はバイトでしたが何の躊躇もなく辞めて革一本にしぼりました。
周りで独立した経営者の知人もそんな感じの方が多いです。

根拠のない自信は最強です。
辞めたらつぶしが効かなくなる
ちょっと身の上話をします。
今でこそ11年革職人を続けていますが、前職を退職した当初やりたかったのは染めと織りです。
それが流れ流れて革職人を目指すことになりました。

ブレブレですよね。
こういうことって、何であっても初めのころ起こりがちなんじゃないかと思うんです。
- やってみたらイメージと違った
- もっとやりたいことが見つかった
私の場合は後者で、いろんなものづくりに触れる中で、革製品を作ることの深さや可能性に気づいたからです。
この時、一旦もどれる振り出しの場所がないと詰んでしまう場合があります。
私の場合は、若かったことと実家暮らしだったことがあり、低リスクで再スタートが切れました。
- 養う家族はいますか?
- ご年齢は?
- 十分な開業資金はありますか?
- 貯金は生活費何か月分ありますか?
会社という大きな後ろ盾があれば有利なのは言うまでもありません。

会社員って在籍していればお金がもらえる最高の立場。
会社員やりつつスキルを身につけて満を持して独立が最強。
会社員しながらハンドメイドの腕を磨く時間が作れないなら?

会社忙しすぎてハンドメイドする時間がないんだ。
やっぱり辞めないと無理じゃない?

だったら転職しよう。
時間が作れないとしても、だからと言っていきなり独立したりバイトしながらと考えてしまうのは先に話した通りリスキーです。
たとえ給料は下がったとしても、残業が少なく休みの時間を確保できる会社に転職できれば、安定したインカムを得つつハンドメイドにも専念できて最高じゃないでしょうか。
もちろん、十分な開業資金や生活費が貯めてあるのであれば話はちがうかもしれません。
会社員とハンドメイド副業を兼業するメリット


二足の草鞋ってどちらも中途半端になるイメージ。

そういうケースもあるけど、二足の草鞋が絶対ダメとは言い切れないと思うよ。
ハンドメイド作品とは全く別業界の会社員だったとしても、その業界で学べるスキルやセンスをハンドメイド作家に生かすメリットはあると感じています。
- ふつうのサラリーマンの感覚
- 営業、マーケティング、マネージメントなど、今いる会社ならではのスキル
- 同僚から注文を受けられる(もうけよりも勉強になる点がポイント)
- 福利厚生(会社による)
- 自営業にはない充実した社会保険
売れる商品を見つけるセンスは、世間的な感覚がないとむずかしいです。
どういう話かというと、会社を辞めてしまうとそれまでとはまるでちがう生活スタイルになり、感覚的なズレが起きてしまうかもしれないということです。

会社員を続ける(社会とのつながりを保つ)ことのメリットは大きいよ。
それと複数の仕事をしているからこそ持てる視点とかスキルの相乗効果があるんじゃないかな。
関連記事 ハンドメイド作家・革職人になりたいあなたへ。独立すると孤独ですよ

まとめ
ハンドメイド作家を目指す方が会社を辞めて独立するタイミングについて書きました。
デテログが考える会社を辞めるべきタイミングは、売れっ子作家になって会社どころではなくなったタイミングや、売上はそこそこでもSNSが軌道に乗ったなど、何らかの手ごたえをつかめたときです。

そもそも、「おれが失敗するわけがない」って思えるくらいじゃないと独立なんて怖くてできなくないですか?
私もそうでしたし、周りで別業種で起業してる友人もそんな感じではじめてました。
- 売れっ子になってから独立すればいいから
- 脱サラしても売上が伸びるわけではないから
- 脱サラしても上達するとは限らないから
- 辞めたらつぶしが効かなくなるかも
会社員との兼業で得られる次のようなメリットとの兼ね合いも考える必要があると思います。
- ふつうのサラリーマンの感覚
- 営業、マーケティング、マネージメントなど、今いる会社ならではのスキル
- 同僚から注文を受けられる(もうけよりも勉強になる)
- 福利厚生(会社による)
- 自営業にはない充実した社会保険
ちょっときびしい現実を書きました。
数年前から、「好きなことで生きていく」とか「〇〇すれば稼げる」みたいな煽り文句を目にする機会が増えたように思い、

あんまり無責任なことすすめたらいかんのではないですか?
という思いから記事にしてみました。
とはいえ、ハンドメイド作家の、人を喜ばせることが売り上げに直結し、やり方次第では良品の追求が仕事になり、自分で自分を管理する生き方ができ、最高の仕事であるという点は間違いはありません。
その反面、リスクがあって落とし穴もあります。
会社員のメリットを蹴ってでも脱サラした方がいいかどうかを一歩引いて考えられれば、独立してからの成功確率は上がると思います。
デテログ以外のいろんな意見も聞き、ご自分の立ち位置や目指す方向性などを踏まえつつ道を選んでもらえたらと思います。
長文お読みいただきありがとうございました。コメントお待ちしています。
革職人/ハンドメイド作家を目指すなら、関連記事をまとめた革職人になりたい!職人を目指す人に向けた記事まとめもご覧ください。

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