2015年に書いた記事ですが、少し説明を加えてわかりやすくブラッシュアップしてみました。
2019/5/19
正方形に裁った革を数枚重ね、それぞれの方向から曲がり具合をテストしてみました。
この動画からわかること
- 革には繊維の向きがある
- 繊維の向きを正しく扱うかどうかで製品の品質が変わる
検証しようと思った理由
お客様からのお問い合わせで、繊維の向きについて御質問があったから。この機会に、動画に残して自分なりに検証してみようと思った。
革の繊維の向きで何が違うか?早速動画をご覧ください。
動画の説明
使用素材・・・タンニンなめし革(厚み2.0~2.5mm)
映像は、繊維と垂直に近い向きに曲げ→平行に近い向き(90°回転)→垂直に近い向き(180°回転)という流れで展開します。
裁断した部位は様々ですが、繊維の向きを揃えています。
検証結果
最初の向きで革を曲げると、スムーズにしなっているのがわかります。その後、向きを変えて曲げてみると・・・スムーズに曲がってくれません。しかも、かなり力を入れているにも関わらず、曲げるのが困難な硬さ。
撮影してみると自分でもわかりやすい。
つまり、革は、ある一定方向には曲げやすく、しなやかにしなる。
まとめ
革は、部位により繊維の流れる向きが違います。
繊維と平行は伸びにくく曲げにくい。垂直方向はその逆。その差の大小も部位によって変わります。
この性質は、大いに利用しなくてはいけません。
スムーズに曲げたい部分(財布の折り目やカバンのフラップなど)には革の曲げやすい向きを利用します。
反対に、ベルトそのものや、力のかかる方向においては、伸びてほしくない(曲げにくい)向きに使うことで、耐久性の向上と型崩れのしにくさが期待できます。
- 首筋から始まって(ここは全て共通)、背中を通ってお尻まで届く筋
- 首筋から始まって後ろ脚まで届く筋
- 首筋から始まっておなかまで届く筋
- 首筋から始まって前足まで届く筋
それらが合わさっており、境目はありません。当然、革一枚一枚違います。人間がみんな違う体型をしているのと同じです。
適材適所で正しく扱うことで、革製品の見えないクオリティは大きく高まります。
こういった革の扱い方は、知識はもちろん、メーカーの姿勢も問われる部分です。
量産するメーカーの場合はクッキーの型抜きのようにして一気に裁断しています。一枚一枚向きを変えて抜くことができれば仕上がりは手裁ちと同じですが、状況によってはなかなか難しいかもしれませんね。
deteの製品は全て手裁ちですので、革の状態を見ながら一つ一つ革包丁で裁断しています。
いつまでもユーザーファーストがモットーです!
繊維の向きとシワの入り方、伸びやすさについては以下のページで詳しく説明しています。

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