『肉盛り』で立体的に作る方法。レザークラフトレベルアップ!高級感を出すテクニック

『肉盛り』で立体的に作る方法。レザークラフトレベルアップ!高級感を出すテクニックレザークラフト講座

革製品の中で、縫い目より内側がぷっくり膨らんだ作りになっている製品を見たことはありませんか?

これは、肉盛りという製法で作られています(段漉きという厚み加工技術を使うこともありますが今回は割愛します)。

テーマ
  • 肉盛りの革製品ってどんなの?
  • 作る方法
  • 肉盛りの効果は見た目だけじゃない
この記事を書いた人
dete

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写真で見る革の肉盛り

手縫いのシステム手帳のベルト剣先。革の芯を使いました。
ミシン縫いの肉盛りベルトパーツ。肉盛りを際立たせる為、ステッチの内側にもネンを入れています。
5mm厚の合板を挟み込んだ革の台です。
数枚の革を重ねて貼り合わせ、手作業で革包丁を操り、削った芯を使っています。
帯部分のみに薄い芯を仕込んで肉盛りしています。ほどほどの厚みの方が品の良さが出ます。
クラッチバッグ用のハンドル。何層にも重ねた革を削りだした芯を使っています。
留め具を仕込んだ肉盛り。シュリンクレザーを芯にして柔らかく仕立てました。
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肉盛りの作り方

Twitterを引用しつつ、補足を加えて解説します。

手順

【やり方】

  1. 厚み加工
  2. 土台パーツを仕上がりサイズにカット
  3. 芯材を土台-周囲4~5mmにカット
  4. 表革を大きめにカット
  5. 土台パーツ裏に芯を貼る
  6. 表革を貼り、ヘラで圧着
  7. チリを落とす
  8. 周囲を縫う
  9. コバを仕上げたら完成

1:厚みの加工

粗裁ちしたパーツの厚みを加工します。

表のパーツは土台より薄めにすると作りやすいです。

2:土台(裏)で仕上がりサイズを決める

仕上がりサイズは土台のパーツ基準で作ります。この時点で正確にカットしましょう。

曲げるパーツの場合、表と裏では長さが変わってくる(外周と内周の差)ことを考慮して、土台は仕上がりサイズより短めに作ります。

表と土台で別の革を使わず、一枚の革で作ることもあります。
どういうことかというと、厚い革を漉いて2枚の革にし、その2枚の間に芯を仕込むやり方です。
土台は床革なので耐久性や風合いは劣りますが、コストカットできるのでベルトの量産品などに重宝される製法です。

3:芯材のサイズは、土台-周囲4~5mm

芯材は土台(裏)と同じサイズにカットし、そこから周囲4-5mmをコンパスでけがき、カットします。

周囲を正確にけがくのには、ボールペンを挿したコンパスが便利です。

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4:表革は大きめにカット

表革パーツは、ざっくりと大きめにカット。

小物用の場合、大体ですが、土台よりも周囲1cm大きくすれば大丈夫です。曲げるパーツの場合、曲げの分は余計に長くカットしておきましょう。

5:土台の床面に芯を貼る(ポイント1)

最初のポイントです。

きちんと中央に貼れているかどうかで最終的なクオリティが決まります。

先ほど使ったコンパスで土台革の裏にしるしをつけ、それに合わせて芯を貼ります。

この時、曲げて使うパーツなら芯を貼る段階で曲げて貼ります。

手作業できれいに曲げて貼るのは困難。ビンやボトルなど、身近にある丸みを利用して貼りましょう。

6:表革を貼る。ヘラを使って圧着(ポイント2)

※表革が硬いとうまく革が伸びてくれないので、ボンドを塗る前に柔らかく揉んで(銀面を表にして揉む)おきましょう。

両面にボンドを塗ります。
後で出てくるヘラの工程が第二のポイントです。

使ったボンドはこれ

使ったのは、サイカプレンNP-103。

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 1.8リットルクロロプレーン系接着剤粘度 17,000〜19,000cps適度な浸透性があり、皮革の接着、布同士の接着に適した接着剤です。

革にクセを付けながら圧着する為、今回の作り方では木工用ボンドやサイビノールは不向きです。

貼り方はベタ貼り

ベタ貼り(全面を貼る方法)の場合と、周囲だけを貼る浮かせ貼りの場合とがあります。

今回は幅が狭いパーツなので、ベタ貼りでも浮かせ貼りでも機能的に大きな差が出にくいです。

なので、見た目がきれいに仕上がるベタ貼りで作ります。

肉盛りを貼る時は中央から貼ります。

中央がしっかり固定されたら、外に向かって少しだけ革を伸ばすように。

芯の段差からコバにかけてはこのあとヘラを使って貼るので、この段階ではくっつかないように。

くっついてしまったら一度剥がしておきましょう。

骨ベラ、角ベラ、など滑らかに加工したヘラで、盛りのキワの部分を軽くこすって圧着させます。

ヘラの先でしっかりと芯の形を出すのがキレイに仕上げるポイント
竹べらのように粗い素材や傷ついたヘラを使うと革を傷つけてしまうことがあるので注意。

曲げて作る場合は、この圧着工程も曲げながら行います。

私は自分で曲げて削った角ベラをよく使いますが、牛骨やプラスチックのヘラでも同等に作ることは可能です。

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仕様:裁縫用
貼り合わせ完了。

7:チリ(余分な部分の革)をカット

表面を下にしてチリを裁ちます。

この時、肉盛りの厚みがあるので、そのままで正確にカットするのは困難です。

盛りと同じ厚みの革を敷いて段差をなくす、机のへりを使うなどの工夫をするといいです。

8:芯に合わせて菱目を打ち、手縫い

表革を1mm厚で芯のサイズが土台-4mmの場合、正確に芯が貼れていれば、芯の段差のキワに合わせて菱目を打つだけで、土台コバから3mmの位置に納まる手縫いのラインができます。

とはいえ、最初から正確に作るのはむずかしい。また、もっとコバ寄りにステッチを入れたい場合もある。
そんな時は、芯のキワにこだわらず、ネジネンも使って手縫いのラインを引いてください。

段差のキワに手縫いする場合、菱目打ちが段差に当たってしまい、傷つけてしまうことがあります。
防ぐ為には、一目一目打つたびに菱目打ちと段差の間に紙をはさみ、革を保護するといいです。

9:手縫いが済んだらコバを処理して完成

通常通りコバを仕上げて完成です。

コバについては今回は割愛しますが、蜜蝋をつかったコバの仕上げ方法はこちらで紹介しています。

ふのりと蜜蝋のコバ磨きの方法 [革職人伝授]
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革の厚みと芯材

表の革は、硬さにもよりますが、厚くても1.5mmくらいまでにした方がいいです。

芯材の厚み、形状が見た目の雰囲気を左右するので、求めるイメージに合わせて都度選択します。

次に紹介するツイートでは、各事例の芯が何なのかを解説しています。

肉盛りの目的(効果)は見た目だけじゃない

目的(効果)

  1. 見た目の立体感
  2. 糸切れ防止
  3. 補強
  4. 持ちやすさ(ハンドル)

など。

糸切れ防止

肉盛りの一番の目的は装飾的意味合いだと思うのですが、二番目の目的は、『補強』をおさえてこの『糸切れ防止』だと思います。

肉盛りの段差に糸が隠れるので、表面から糸が擦れることはほぼほぼ無くなります。

裏面から糸が擦れる可能性は残りますが、商品やその使われ方によっては、肉盛りで糸切れのリスクを抑えることは可能です。

補強

補強を兼ねて行うことも。

肉盛りの作り方なら芯がコバに出ないので、コバが露出するデザインでもきれいに仕上げることができます。

持ちやすさ(ハンドル)

芯を入れたバッグハンドルの持ちやすさは、肉盛りの形状次第と言っても過言ではありません。

革の芯を入れて作れば、長年かけて使い心地を育てられる高耐久なハンドルに仕上がります。

スポンジなどを使って柔らかく仕上げれば、最初から手に馴染み、クッション性あるハンドルに仕上げることができます。

まとめ

肉盛りのやり方と実例写真、効果(目的)について書きました。

やり方をもう一度まとめます。

【やり方】

  1. 厚み加工
  2. 土台パーツを仕上がりサイズにカット
  3. 芯材を土台-周囲4~5mmにカット
  4. 表革を大きめにカット
  5. 土台パーツ裏に芯を貼る
  6. 表革を貼り、ヘラで圧着
  7. チリを落とす
  8. 周囲を縫う
  9. コバを仕上げたら完成

キレイに仕上げるポイントは2つ。

  1. 芯を中央に貼ること
  2. ヘラでしっかり芯の形を出すこと

表革、裏(土台)革の厚みや硬さ、芯の素材や厚みによって仕上がりの印象が変わります。

いろいろな素材で試して引き出しを増やしておくと製作の幅が広がります。

ぜひチャレンジしてみてくださいね!

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