革製品のブランドを始めるのにかかる費用を教えてください。
少し前に直接いただいたご質問に答えます。
私の経験から語れる『自宅を兼ねた革製品アトリエ(ネット販売)を開くのにかかるコスト』について。
革製品ブランド(個人)の開業資金はいくら?
先に結論を書きます。
趣味性の高い道具(かっこいい道具)をのぞいた分はこれくらいかな?という概算です。革は最初に3種類それぞれ4色ずつそろえるとします。
- 仕入れ・・・約700,000円
- 機械・・・約1,100,000円
- 道具・・・約150,000円
「高すぎだよ!」とか、「そんなに安くできない!」とか異論はあると思います。
どういう根拠でこの金額なのか?内訳はどうなっているのか?
ここから具体的にお話します。
- 材料の仕入れ
- 機械
- 道具
材料の仕入れ
職人として独立しようとするくらいですから、元から多少は材料を持っているはずですが、今回はゼロからそろえると仮定してお話しします。
先に結論を書くと、最初にそろえる仕入れ高は714,450円ほどとなりました。
革の仕入れ
何種類の素材が必要か?は人それぞれ考え方が違うと思いますが、今回は3種類の革を4色ずつ用意すると仮定。
単価は150円、300デシずつ在庫するとします。
@150円×300デシ×3種類×4色×1.1(税)=594,000円
革の仕入れに関連する記事もいくつか書いています。
金具の仕入れ
何を作るかによって全く別の金具を使うことになり、一概にいくらかかるかとお話しするのはむずかしいです。
ここでは、何を作るにしても使うような消耗品的な金具だけを紹介します。
一般的な真鍮タイプ
- カシメ @3円×1000個×1.1(税)=3,300円
- カシメ @4円×1000個×1.1(税)=4,400円
- ホック @15円×1000個×1.1(税)=16,500円
- ホック @20円×1000個×1.1(税)=22,000円
計 46,200円
金具についての関連記事はこちら。
ファスナーの仕入れ
YKKエクセラのファスナーを3色、5mずつ在庫するとします。
- @2000円×5m×3色×1.1(税)=33,000円
芯材の仕入れ
これも何を作るかによりますが・・・
- @1500円×5m×5種類×1.1(税)=41,250円
機械
先に結論ですが、必要な機械費は1060,000円となりました。
革漉き機はニッピ、ミシンはJUKIの腕ミシンを新品で購入した場合です。
手縫いだけで作る場合ミシンは不要です。
PCは必須ではないですが、写真や動画の管理、販売サイト/アプリの管理がスマホより圧倒的にやりやすい。
DellやHPなどの直販でカスタマイズすれば、10万円も出せば十分なスペックが手に入ります。
プリンターは書類の印刷専用に一番安いものを想定しています。
- 革漉き機 350,000円
- 工業用ミシン 600,000円
- PC 100,000円
- プリンター 10,000円
計 1060,000円
道具
最低限必要なものとして、比較的安く手に入る(自分で仕立てる必要がある)道具で見積もります。
- 革包丁 5,000円×2=10,000円
- 菱錐 2,000円
- 砥石 2,000円×2=4,000円
- 定規 1,000円×3=3,000円
- レーシングポニー 5,000円
- ネジネン 4,000円
- 接着剤1.8L 2,500円
- ハトメ抜き 800円×5=4,000円
- ビニ板 6,000円
- ハンマー 2,000円
- 打ち木 1,500円
- ハンドプレス+駒 15,000円+4,000円×3=27,000円
- 2tプレス機(型抜き用) 25,000円
一部ですがここまでで96,000円。
趣味性が強いものを除くと、15万円くらいあればそろうのではないかと。
うちでガチで仕事で使っている道具集はこちら☟
革製品ブランドアトリエのランニングコスト
ここからは、開業してから毎月かかるコストには何があるのか?についてお話します。
- アトリエ家賃
- 光熱費
- 材料の仕入れ
- 宣伝広告費
アトリエ家賃
自宅兼なので家賃はかからないものと考えてしまうかもしれませんが、仕事で使うスペース分は経費として計上しましょう。
当然ですが、会計上も家賃のうち仕事で使うスペース分は経費として申告することが可能です。
家事按分という方法で仕事分と私用分をわけるのですが、この名前は覚える必要はないです。
家事按分には時間で分ける方法と面積で分ける方法があり、ここでは面積で分ける方法を引用させていただいて紹介します。
- 家賃1カ月10万円
- 自宅面積60㎡
- 事務所として使用している面積30㎡
自宅全体に対して50%が事務所部分であるため、10万円×50%=5万円が経費となります。
引用元 家賃を経費として計上する方法
ちなみに、2019年まで住んでいた浦和の古民家は家賃7.5万円という超破格物件でした。半分を作業場とすると、37,500円が毎月の経費になります。
革製品を作ってネットで販売するなら、立地条件はほぼ関係ないです。
豪雪地帯の山地で冬は閉鎖してしまうとか、運送会社が週に1回しか来ない離島とかだときびしいかもしれませんが、それ以外なら都内の一等地で開こうが、小さな町の片隅で開こうが何ら変わりはありません。
なので、場所を選べる自由があるなら、家賃が安いところではじめる方がいいです。
うちのアトリエについて書いた記事はこちら☟
光熱費
革製品のアトリエでかかる光熱費は、普通に家事をしたり過ごしたりするのと大きな違いはありません。
仕入れ
革、金具などの売れた分の補充です。
広告宣伝費
うちの場合今はほとんど利用していませんが、10年前の開業当初は積極的に出稿していました。
その当時利用したのは、雑誌の小さな広告枠とグーグル広告でした。
プレイングマネージャー的な働き方の工房では生産量に限界があるので、もし広告を出すなら、目的は主に注文量の調整の為になるのではないかと思います。
具体的にいうと、注文が落ち込んだらスポットで広告を出すような使い方。忙しくなってきたら掲載を止めます。
- Google広告
- クリーマ
Google広告
ググった時に上の方に出るテキストや、ブログやサイトを開いた時に掲載されている写真の広告などがこれ。このデテログにもGoogle広告は掲載されています。
Google広告は、広告主が予算を設定し、その範囲内で集客することができるのがメリット。
クリックされるごとに料金が発生します。
1万円追加して、250回クリックされた=クリック単価は40円
お客様一人に一回見てもらうのにかかるコストは40円ということになります。
発生した金額は、あらかじめプールしておいた残高から引かれていき、残高がゼロになると広告の掲載がストップし、残高の追加を求められます。
クレジットカードからの引き落としを設定していると、設定した予算の中で自動的に引き落とされ続け、掲載が継続されます。
Instagram広告
インスタをやっている方ならこちらの方がなじみがあるかもしれません。
『広告』の表記以外は普通の投稿と同じビジュアルで表示されるので受け入れられやすい。
私は未経験なのですが、今とても熱い効果が見込める広告手段だと聞いています。
Instagram広告はセルフサーブ型の広告になりますので、予算や配信期間などを自由に設定することが出来ます。
引用元 Instagram広告の費用
クリーマ広告
こちらも私は未経験ですが、その他の広告と同じクリック課金型といわれるものです。
お金を使って広告を出すことで、あなたの作品がCreema のサイトの上部に優先的に表示される機能のことを指します。
表示された作品(広告)がクリックされる度に費用が発生し、平均すると1クリックあたり10~60円の単価になるようです。これを「クリック単価」と言います。
このクリック単価は出品している商品のカテゴリごとに変わってくるそうです。
引用元 作品プロモーションとは?
SNS運用なら無料でできますし、本当にコストをかけるべきなのかどうか、どの方法がベストなのか、よく考えて運用していきましょう。
まとめ
個人経営の革製品ブランドがアトリエを開く場合の開業費用についてお話ししました。
今回の概算では、約195万円ほどかかるという見積もりになりました。
実際には、普通は趣味でやっていたころから少しずつそろえていますし、もっと小規模から始めることも可能なので、もっと安く始めることはできると思います。
手縫いだけでいくなら、ミシン購入費用の600,000円も浮きますね。
今回紹介したのは、最初からある程度立派にアトリエを構えた場合の概算ですのでご了承ください。
なお、これ以外にも見えないコストはかかります。
- 商標登録の申請費用
- 自社サイト/ブログサーバー代/開設費用
- 会計ソフトor税理士費用
- その他事務用品や梱包に関係する消耗品
などなど。
消耗品も一部しか紹介していません。他には、糸やコバ処理剤、型紙用の厚紙など・・・。
独立するなら余裕を持った資金調達をするのが吉です。
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