革に折り目を付けようとしたら割れた。割れない良い方法ないですか?
革を折る部分が膨らんでしまってキレイに折れないです。どうすればいいですか?
こんな疑問を解決するテクニックについてお話しします。
キレイに折れるとこんな感じになります。
ここで紹介するテクニックは、名刺入れや各種カバーなどを作るのに役立てていただけます。
どうやって実現しているか?さっそく、一緒に勉強していきましょう。
革の折り方|かたい革でも割れにくいテクニック3つ
テクニックは3つ。
これら単体だったり組み合わせたりしてきれいな折り目を目指します。
- ミゾ漉き
(曲げやすくする) - デリケートクリームを塗る
(柔らかくする・可塑性を利用) - 革を揉む
(柔らかくする)
ミゾ漉きで曲げやすくする
☟のツイートで質問に答えたように、折る部分を彫刻刀の丸刃で彫って折りやすくしています。
関連記事 表裏に革を貼った革ひもとベルトパーツの作り方6選+α
「彫る」わけですが、革の慣習にならって漉きという言葉を使い、「ミゾ漉き」と呼んだりもします。
使う彫刻刀
180°折るときに使うのは丸刃です。直角の場合は三角刀が合います。
革の厚みや硬さによって、どのくらいの深さを彫るのか?どのくらいの幅で彫ればいいのかが変わります。都度、ぴったり合う使う彫刻刀を選んで使いましょう。
丸刃の彫刻刀は複数サイズがあると便利です。
私はこれを使っています。
7本組は丸刃が3本入っているのでいろんな用途に使えます。
彫刻刀の砥ぎ方
水に浸しておいた砥石を使います(砥石によっては水に浸さない)。彫刻刀似合う形状の溝に刃を当て、一定の角度で引いて砥ぎます。
一定の角度で引けていないと、刃がまるまったり、角度が変わってきれなくなってしまうので注意しましょう。
防ぐためには、顔を近づけすぎない(離れて見る)、角度を確認しながら砥ぐなどに気を付けながら練習するといいです。
彫刻刀用革砥の作り方
革を折る際、下処理として彫刻刀で掘るテクをよく使います。
— dete (@mkgx81) October 23, 2020
彫刻刀は刃物なので当然切れ味が落ちますが、普通の砥石では砥げません。
そこで、彫刻刀用の砥石と彫刻刀用の革砥を使います。
砥石はAmazonで。
革砥は手作り。彫刻刀で床面を掘った革に研磨剤の青棒とオイルを塗るだけ。
自己流です🦾 pic.twitter.com/kTw7V1QLzr
彫刻刀の形に合わせた革砥をつくります。
つくり方はかんたん。
厚い革の床面(裏)を彫刻刀で彫り、ミシンオイルをかけて青棒という研磨剤をすり込むだけ。
デリケートクリームを塗って柔らかくする
デリケートクリームの油分と水分で一時的に柔らかくしつつ、革の可塑性も利用する(タンニンなめし、コンビなめしのみ)方法。
革の可塑性というのは、革を折ったらそのまま折った状態が残る性質のこと。
クリームを吸った革は一時的に伸びやすくなっているので、この状態で折ると革は伸びます。このまま乾くと形が固定されるので、キレイに折り目が残ります。
私がよく使うクリームは、エム・モゥブレィ デリケートクリーム。
水分量が多いので可塑性を最大限に利用できると考えています。シミになりにくい点も用途にマッチしています。
色が変わりやすいクリームは、今回の目的では使わない方が無難です。そこだけ色が変わってしまいます。
革を揉んでやわらかくする
硬い革は、手でもんで柔らかくすることができます。
もみ方
もむと言っても、両手に持ってくしゃくしゃにしてしまっては革がシワだらけになってしまいます。
銀面を外(谷でなく山)側にして、手のひらで転がすようにして革をほぐしていきます。
シボが入ってよくてくたくたになってもいいのであれば、あえて銀面を谷にしてシボをいれながら揉んでもOKです。元からシボが入っている革の場合も同様です。
関連記事 キリシメンとは?革にシボを入れる為の貴重な道具です。
きれいに折る方法
溝がキレイに彫れていれば手で折ってもキレイに折ることができます。
さらにキレイに折りたい場合は、面で一気に力をかけることで実現可能。
無理な力がかかると、革の種類や状態、繊維の向きによってはかんたんにひび割れします。
注意しましょう。
それでも割れてしまう…原因は?
3つやったけど割れてしまいます。
考えられる可能性を上げます。
- 革の繊維に逆らって折っている
- 割れやすい革を使っている
- ミゾ漉きが浅い
革の繊維の向きと割れやすさ
革には繊維の向きがあり、これは部位によって異なります。
繊維の向きに対してどう折るかで、割れやすくなったり伸びやすくなったりします。
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割れやすい革、割れにくい革の特徴
割れやすい革の特徴
- タンニンなめし
- 硬い
- 油分が少ない
- なめし方の問題
- 厚い
割れにくい革の特徴
- クロムなめし
- やわらかい
- 油分が多い
- 薄い
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ミゾ漉きの深さ
どれくらい彫るのか?ですが、これは説明がむずかしいので実際にやってみてください。
投げているように聞こえてしまうかもしれませんが、適切な掘り加減は革質により元の厚みにもよるので、作るものによって毎回異なります。
練習をくり返して感覚をつかんでください。
割れにくい革の折り方まとめ
革を折る割れにくい方法について書きました。
ポイントは、以下の3つです。
これらをやっても折れてしまうことはあります。
その場合の原因は、革質に問題があるのか、革の使い方に問題があるのか、ミゾ漉きが足りないのかのどれかだと思います。
いろいろ試して原因を探りましょう。
それと、覚えた技術はいきなり本番で使わず、ハギレで試してから行うのが鉄則です。
わからないことはコメントで聞いてください。
他にもレザークラフト関連の記事を書いています。
たとえば、
とか、
とか、
などなど。
私が駆け出しのころに知りたかった情報を意識して書いています。
お役立ていただけたらうれしいです。
それでは。
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