革職人にとって、真鍮はとても身近な金属。
革製品に使うホックやベルトのバックルなどの金具、ファスナーのムシ(金属)、工具など、アトリエのそこかしこに真鍮製品があります。
『金色の金属』以上の知識がない方も多いことと思いますが、実はこの真鍮、特定のファンの心をつかんで離さない中毒性の高い素材なんです。
ではどこに魅力ががあるのか?
奥深い真鍮の世界を一緒に掘り下げてみましょう。
真鍮金具の魅力『育つアジの経年変化』
真鍮特有の魅力は、革と同じ『育つアジの経年変化』にあります。
まず、良い感じに味が出た真鍮ギャラリーをご覧ください。
真鍮ってどんな金属?
真鍮は、銅と亜鉛の合金。
配合率の違いにより、色や重さ、硬さが違います。
時間が経つとどうなる?
きらびやかな真鍮は、時間が経つとくすみや黒ずみが出て輝きがなくなります。
これがアジがあってかっこいい!
引用元 dete.jp 真鍮の味
これは、私が昔使っていたロンソンのオイルライター。育っていますよね。タバコは辞めたので残念ながら今は手元にありません。
水墨画のようなくもりのグラデーションが深く美しいです。
真鍮はもともと金の代用として使われた時代もあるようですが、金とは全く違った魅力を持っています。
真鍮の経年変化は革と真逆?
革はよく触る部分の方が変化が早くなりますが、真鍮はそうともいえない。
予測ができないし、ピカピカに磨かれた真鍮はすぐにくすんでしまうし(それがアジでもある)、じゃじゃ馬のような金属ですが、そんなところもまた楽しいです。
真鍮って錆びるの?
真鍮は腐食しにくい金属です。
その為、水回りや屋外、港や船の金具などに使われてきました。
とはいえ全く錆びないということはなく、錆びて緑青が出ることがあります。
緑青とは?
《ろくしょう、りょくしょう》
銅や真鍮にできる緑色のさび。集めて染料としても使われる。
数寄屋造りに緑青が映える pic.twitter.com/6rCZTUr4kJ
— Truckazu (@truckazu_web) March 3, 2020
みて、緑青。真鍮が錆びてる pic.twitter.com/MFTxfaIvfc
— 佳奈繪 (@Tera_Katzen) February 26, 2020
緑青は毒?
高校生の頃吹奏楽部だったんですけどね、部室に転がってた古い楽器を吹いてたら何か甘い味がするんですよ
よく見てみたらマウスピースのメッキが剥がれて下の真鍮が出てきてて錆びてたんです
緑青って甘いんだと知りました— ぬき (@nukipapa) February 29, 2020
昔々、緑青は猛毒だと言われてきた時代がありました。
自然の世界ではなかなか見かけない超絶美しい青緑なので、当時の人たちが不安がったのは無理もありません。
真鍮の重さ
真鍮は、ずっしりと持ち重りのする金属です。
銀より軽く、鉄より重い。
鋼鉄 7.87
真鍮 8.45
銀 10.51
金 19.32
引用元 アズワン 比重
※真鍮の比重は、亜鉛との配合率により変わります。
真鍮製品の扱い方
てきとうに使うだけでいい感じに味が出るのが真鍮の良いトコロ。
でも、緑青を取り除きたいとか、ピカピカな方がいいと思ったときどうすればいいでしょうか?
緑青対策に重曹
緑青は真鍮のサビ。
塩分や水分が原因なので、たまーに布で拭いてあげるだけで錆びにくくなります。
緑青が出てしまった真鍮のお掃除には重曹がおすすめです。
重曹に半量の水を加え、布やブラシに付けて真鍮を磨くだけできれいになります。
こういった錆び予防の薬品も売られています。
ピカピカにするなら
定番のピカールを布につけて磨くだけで、くすんでいた真鍮をピッカピカに戻すことが可能。
一つだけ注意。
ピカールを使うと、良い感じにくすんだ真鍮の味も元通りになります。
後悔のないよう、しっかり考えてから行いましょう。
経年変化を楽しめる真鍮製品
文具やインテリアなど、日常的に使えそうな真鍮アイテムを並べてみました。
じわじわと変わりゆく風合いを楽しめます。
文房具
オロビアンコの真鍮コレクション。なんとこれ、修正テープです。
ボールペンや万年筆はよく見かけますが、これは真鍮のマーカー。
定番のミドリの定規。
ベルト/サスペンダー
真鍮バックルのベルトはカジュアルの定番ですね。
とくにこだわりなく選んでいても、お持ちの革ベルトのバックルは真鍮製だったりしますよ。
dete(自社商品)のサスペンダー金具は真鍮製です。写真は、ブラスクリップワイドサスペンダー。革と真鍮の重厚感がたまらないです。
映えますよ!
アクセサリー
インテリア
我が家でも活躍している能作の風鈴です。
うちで8年使っている真鍮の靴べら。使いやすくて長年使える丈夫さもGood。
まとめ
真鍮は、何も考えず使っているだけでいい雰囲気の出る味わい深い金属です。だから、インテリアやキーホルダーなどに最適。
そのまま使っていると、緑青が出たり色がくすんできたりします。
緑青が出たからといっても、鉄のサビのように急激に腐食していくものではありません。
味を楽しみながら使っていただくといいのではないでしょうか。
お手入れするなら、重曹を。ピカピカにするならピカールを使うといいです。
コメント
ピカールで磨いた真鍮はまた経年変化しますか?
経年変化します。
磨いてすぐのピカピカの状態はそんなに長くは続きません。