革製品のお手入れ方法 ~エイジング編~

前回の記事では、シザーケースにスポットを当てたお手入れの仕方を紹介しました。

シザーケース以外でも、水染みが気になる方、過酷な環境でお使いになる方には、おすすめの方法です。よろしければご覧ください。

シザーケース屋が教える革製品のお手入れ方法 ~シザーケース編~ 
シザーケース屋が教える革製品のお手入れ方法 ~シザーケース編~ 
革製品のお手入れ方法というと、革製品を愛する誰もが一度は頭を悩ませる問題ではないでしょうか? 最適なケア方法は、対象となる革、製品、そしてケアの目的によって異なります。乾燥した地... read more.

革製品のお手入れ方法というと、革製品を愛する誰もが一度は頭を悩ませたことのある問題ではないでしょうか?

最適なケア方法は、対象となる革、製品、そしてケアの目的によって異なります。乾燥した地域でのケア方法と、年間を通して湿った空気の地域では、適したケア方法が違うかもしれません。当店の商品、素材を例に挙げて具体的に言えば、ブックカバーとシザーケースでおすすめのお手入れ方法は全く異なりますし、クロム鞣し型押し顔料使用のWHカーフと、ナチュラルシュリンク染料染めのE.geminiでは、革の傷み方も異なります。

それらを踏まえ、キレイなエイジングを目指すお手入れの仕方をご紹介差し上げます。

そもそも、革のエイジングって?

一般的に言われる革のエイジングは、ヌメ革のあめ色への変化ですね。

ベージュのヌメ革が深い褐色になり、艶々とした独特の光沢を放ちます。

なぜ艶が出るのか?

表面の凹凸が潰れ、平坦になることで光沢が出ます。

これには、タンニンなめし革の特有の、”可塑性が強い”という性質が寄与しています。

可塑性とは・・・固体に力を加えて弾性限界を越える変形を与えたとき、力を取り去っても歪(ひず)みがそのまま残る性質。塑性。

タンニンなめし革は、摩擦や圧などの影響が後々まで残ります。その為、よく擦れる部分はどんどん平らに潰れて、早い段階で艶が出ていくのです。

なぜ色が変わるのか?

ベージュのヌメ革が褐色に変化していく理由はいくつかありますが、美しいエイジングとされるのは、摩擦熱による焼けと、紫外線による日焼けだと思います。

これらは、革に含まれるタンニン(渋)によるものです。

タンニンを多く含む無垢素材の家具なども、使い込むと深い色合いに変わっていきますね。それと同じ作用が革にも起こっています。

反面、不純物による汚れでも革の色は変化します。そうなると美しいエイジングは望めませんし、革にいい影響もありません。そうならない為にはどうすればいいでしょうか?

何よりもブラッシング

革のお手入れで何よりも大切なのは、日頃のブラッシングです。エイジング云々抜きにしても一番大切なこと。

ブラッシングを怠ると革はどうなるか・・・

良質な油分が使われたタンニンなめし革なら、汚れさえ付かなければ、普通に使っていれば、大抵いい感じにエイジングしていきます。

汚れの元となる要因はいろいろと考えられますが、沈着する前なら、その多くはブラッシングで取り除くことができるものと考えています。

ブラッシングを行わず、革表面を汚れたままにしておくと、知らず知らずのうちに汚れが革内部にまで浸透してしまいます。水に濡れた時は特に注意!水が汚れを革内部まで浸透させます。

また、汗に含まれる老廃物や塩分も革に悪影響を及ぼします。手に触れる財布やブックカバーなどは、特に念入りに、ブラッシングで汚れを落としてあげましょう。

お掃除だけじゃない!ブラッシングの効果。革が美しく変身?

ブラッシングの効果は、汚れ落としだけではありません。

革のキメが整う為、軽い傷は目立たなくなり、革に艶ができます。美しく使うためにも、ブラッシングは欠かせません。

エイジングするタンニンなめし革であれば、ブラッシングしてすぐに効果を実感できるはずです。継続は力なり。こまめにお手入れしてあげることで、より美しいエイジングを目指しましょう。

革製品用ブラシの選び方

ブラシにはいろいろ種類があって、どれを使ったらいいのか、迷ってしまう方も多いと思います。気にしていただきたいのは、毛の種類。豚毛、化繊毛、馬毛、山羊毛などのブラシが一般的です。

硬く太い毛の方が弾力があるため、しぶとい汚れも掻き出すことができます。その反面、革に刷毛跡が残ってしまうリスクもはらんでいます。

逆に、柔らかく細い毛のブラシは、繊細なキメの細かい繊細な革との相性が良く、革を傷つけることなくブラッシングができます。

先に挙げた豚~山羊の毛の種類は、硬いものから順番に並べてあります。

これらの大まかな用途としては・・・

  • 豚毛・・・革靴のアウトソールのクリーニング、ワークブーツや登山靴などカジュアルな革靴のブラッシング、カジュアルな革製品(成牛革など)のクリーニング
  • 化繊毛・・・カジュアルな革靴・革製品(成牛革など)のブラッシング
  • 馬毛・・・カジュアル・フォーマルの革靴・革製品(成牛革・カーフ・コードバンなど)のブラッシング
  • 山羊毛・・・フォーマルな革靴・革製品(カーフ・コードバンなど)の仕上げブラッシング、特に繊細な革製品のブラッシング

メーカーや商品によって毛の硬さや太さは異なります。

より詳しい説明は、こちらの記事で。

ブラシの選び方について書いたブログです。

革職人が選んだベストな革用ブラシに検証写真を添えて。
革職人が選んだベストな革用ブラシに検証写真を添えて。
革用ブラシの違いでここまで差が出ます。大切な革製品のお手入れの参考にどうぞ。

防水スプレーは必要?

防水スプレーの多くは、タンニンなめし革を想定していないように思います。

デリケートなタンニンなめし革は、防水スプレーでシミができます。皮肉なものです。

特に水濡れが多く、薬品にも触れる理美容使用シザーケースの場合、シミが出来たとしてもスプレーをかけた方がきれいに使えます。しかし、普通の財布や小物の場合、水濡れのリスクよりも、スプレー染みのリスクの方が大きいので、エイジング第一に考えると、スプレーの使用はおすすめしません。

デリケートな革の場合、シミを防ぐ目的で防水スプレーを使うのも良いと思います。これについては使う方の好みであったり、革の種類にもよります。

おすすめな防水スプレー

[コロニル] Collonil 防水スプレー ウォーターストップ

フッ素タイプの防水スプレーです。革に浸透して初めて効果を発揮する為、革用のクリームやオイルなどによるケアを行う前に塗布してください。

ヌメ革、ナチュラルなタンニンなめし革(TOIANOの明るめの革など)では、多少のスプレー染みができます。それでも、サロンワークでできるシミや傷みに比べれば、スプレーを使用する方がマシです!!

※フッ素、シリコンなど成分を問わず、防水スプレーの吸引による肺への健康被害が報告されています。防水スプレーを使用する際は、必ず屋外で使い、できればマスクをしてください。

その他の防水スプレーにつきましては、製品に合うかどうかのテストをしていない、もしくはおすすめできないと判断した製品です。

クリームやオイルは必要?

革用のクリーム、ゲルなどの保湿剤は、状況に応じて適切に使用することをおすすめします。

ほとんどの場合、新品の革製品には不要です。

しばらく使って、革表面が少し乾いてきたかなと感じたら、薄く塗ってください。

オイル(油分の多いケア剤)は、使いどころが難しいです。革は、タンナーがそれぞれ独自の技術と配分で油分をコントロールして作り上げます。少ないと革が乾いたり柔軟性が足らなかったりしますし、多すぎるとヘタってしまいます。その為、油分の多いケア剤は、商品によっては、革への影響が大きすぎてしまい、塗ることで革製品の寿命を縮めてしまうことも考えられます。

まとめ

いかがでしたか?

適切なお手入れをしながら、革製品を少しでも永く愛していただければ、これ幸いでございます。

「もっと詳しく聞きたい。」、「こういう場合はどうすれば?」となどの疑問は直接お問合せください。私も自身も日々勉強中で、中にはすぐに適切なアドバイスができないケースもございます。お客様の疑問から研究を深めて、自分の知識や経験を積み上げていけたら、これ以上うれしいことはございません。

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