amazonの激安防水スプレー(LOCTITE 超強力防水スプレー)と王道Collonilの防水スプレー比較。動画と写真で検証するその性能!

長い雨が続いてやっと晴れたところですが、革製品の雨対策に関するお話を。

今回検証する二種類の防水スプレーはこちら

左:Henkel (ヘンケル) LOCTITE(ロックタイト) 超強力防水スプレー

右:Collonil(コロニル) ウォーターストップ 400ml CN044021

LOCTITEは、amazonで激安で売っていた防水スプレー。フッ素系とのことなので、もしかしたら使えるかもと思い購入しました。質がよかったらきっとお客様に喜んでいただける。なぜフッ素系にこだわるかというと、防水スプレーにはフッ素系のものとシリコン系のものがあり、シリコンが含まれたスプレーは革には適さないと言われている為です。

革製品を長く愛していただくためには、より適切なケアを継続することが大切ですが、なるべくお金はかけたくないですよね。防水スプレーのコストってなかなか馬鹿にならなくて、説明書き通りに2週間に1回くらい使っていたら、2000円近くする防水スプレーもあっという間になくなってしまいます。

コストを気にせず使える良質な製品が無いものかと、いろいろと試しながら探し続けています。

今回ご紹介するLOCTITEの購入時の金額は、送料込みで612円(2017年10月現在)。破格です。対してCollonilは、プライム価格1780円。約3倍と、金額に大きな開きがあります。どこがどう違うのか?値段なりの差があるのか?じっくり検証していきます。

スペックの比較

まずは、説明書きを見ながら、スペックを比較してみます。

製造国

LOCTITE

日本製。LOCTITEはHenkelというドイツのブランドの製品ですが、この製品の製造はヘンケルジャパンが行っています。

コロニル

ドイツ製。

製品特徴の比較

LOCTITE

【特徴】

●水、油を強力に撥水、撥油
●通気性、風合をそこなわない
●皮革にも使用できる

フッ素パワーで水はもちろん、油もはじき、優れた防水・防汚性を発揮。

コロニル

素材に浸透したフッ化炭素樹脂が防水効果を与えます。水や汚れの浸透を防ぎ皮革本来の美しい風合いを維持し柔軟性や通気性を損ないません。

ゴアテックスにもお薦めの防水スプレー

UVプロテクション

共通しているのは、通気性や風合いを維持しつつ防水効果があるということ。

LOCTITEは防汚と撥油をうたい、コロニルは紫外線に強い点をアピールしています。

成分比較

LOCTITE

内容量420ml

主成分:フッ素樹脂、石油系炭化水素、LPG

第四類第一石油類294ml

コロニル

内容量400ml

成分:防水剤(フッ化炭素樹脂)、炭化水素系溶剤、ナフサ、ブタン、プロパン、ジメトキシメタン、酢酸ブチル、メタノン

第四類第一石油類190ml

まず気になったのは、内容量がほとんど同じなのに、第一石油類物質の量が大きく違うところ。その分、コロニルの方が効能に関する成分が濃いのでしょうか?

共通している成分は、フッ素(フッ化)樹脂と炭化水素です。

炭化水素は、成分の溶剤として入っているようです。ジメトキシメタンも炭化水素と同じく、どうやら溶媒目的のようです。

LPGやブタン、プロパンは、ガスの圧力で成分を噴射する役割を担っていて、どんなスプレーでも、大抵こういったガスが入っています。

酢酸ブチルとは?

個人的に一番興味をひかれたのが、酢酸ブチル。

酢酸ブチル

バナナ様の甘い芳香を持つ無色の液体で、多くの果物に微量芳香成分として含まれ、他の物質と組み合わさって特徴的な香りを作っている。例えばリンゴ、特にレッド・デリシャスの香りの一部はこの物質である。他に酢酸イソブチル、酢酸tert-ブチル、酢酸sec-ブチルの3種類の構造異性体を持つ。

香料(食品添加)
  • キャンディ、アイスクリーム、チーズなどに果物の香りを付ける物質を製造する原料として使われる。
香料以外
  • 溶剤(溶媒)や中間原料として、塗料の希釈、硝酸繊維素原料、人造真珠用塗料、天然ゴム、医薬品、接着剤などの製造などにも使用される。OECDに報告されている1999年における生産量は1万トン以上である。

製造方法

硫酸触媒の存在下にて、酢酸とn-ブタノールから酢酸ブチルを合成し、脱低沸蒸留後、脱高沸蒸留する。

安全性

日本の消防法では危険物第4類・第2石油類に分類される。動物実験での半数致死量(LD50)は、ラットへの経口投与で14g/kg、ウサギへの経皮投与で5g/kg以上。

材料のブタノールは化石燃料から生産されるようです。

化石燃料から生産される物質がお菓子の添加物に使われていて、そもそも天然の果物にも微量が含まれているんだって。

ところで、コロニルに含まれるナフサという成分は、原油を精製して作る物質で、ガソリンの原料になっていたり、洗剤やプラスチック製品の製造に使われたりと、こちらも幅広い用途に使われています。

こういうもろもろを発見して、いろんな形で人の役に立ててきた人間の英知が凄すぎる!防水スプレーの調べ物のつもりが、思いもよらぬ勉強になっています。

ブタノールは溶媒としても使われるそうで、この成分が香料として使われているのか溶媒なのかはわかりません。

念の為書きますが、防水スプレーの匂いを嗅いだり吸ったりするのは危険なのでやめましょう。防水成分は、肺に入ると呼吸を妨げる原因になり、重篤な障害を引き起こします。だから使う時は必ず屋外で!

フッ化炭素樹脂とは?

最後に、きっと重要な成分であろう、フッ化炭素樹脂って何ぞや?っていうことで、こちらもググってみました。

フッ化炭素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)

ポリテトラフルオロエチレン (polytetrafluoroethylene, PTFE) はテトラフルオロエチレンの重合体で、フッ素原子と炭素原子のみからなるフッ素樹脂(フッ化炭素樹脂)である。テフロン (Teflon) の商品名で知られる。化学的に安定で耐熱性、耐薬品性に優れる。

ポリテトラフルオロエチレンは耐熱性、耐薬品性に優れ、強い腐食性をもつフッ化水素酸にも溶けない。また、現在までに発見されている物質の中で最も摩擦係数の小さい物質であることも特長の一つである。

現在では日用品、特にフライパンなどの調理器具の表面のコート塗装などに多く使用されている。食品、調味料による侵食に強く、また摩擦が小さいことから食品の焦げ付きを防ぐ役割を担っている。

チューブ、ホース、テフロンシート、さまざまなパッキン、剥離材、絶縁材、断熱材、粘着テープ、摺動材、製造(食品、プラスチックフィルム、ゴム、セラミックス)、耐熱コンベアベルト、テフロンコーティング、無電解ニッケルテフロンメッキ、すべり材、ベアリング、スリーブ、フランジ、ワッシャーなどの素材として用いられる。潤滑や撥水機能の向上を目的として他の合成樹脂・油脂などへの添加剤としても使われる。

Wikipediaより

それでは、LOCTITEの防水成分のフッ素樹脂とは?フッ素樹脂の中で最も多く生産されているものが、フッ化炭素樹脂だそうです。つまりは、両者ともほとんど同じ防水成分が使われているのでしょう。

化学に疎い私からしたら、読み飛ばしたくなるような文字面が続きます・・・

皆さんもそうですか?仲間です。

化学のことはよくわかりませんが、フッ化炭素樹脂は広く世の中で使われている物質で、よくある調理器具や雑貨製品にも使われているものだということはわかりました。フライパンの焦げ付き防止や、生地の防汚加工にも使われているあのテフロンと同じ成分ってことです。

防水効果のカラクリは、摩擦係数が少ないから水をはじくことができるということなのですね。通気性を損なうことなく防水効果を高めるってどういうこと?と思っていましたが、ちょっとだけ理解できました。

となると、これは防水ではなく撥水効果。いかに革の凸凹の奥深くまで成分を届けるかが、効果の具合を左右しているのかもしれません。

そのあたりにも注目して検証していきたい。

実験

それぞれのスプレーの性能を比較します。

より実践的な実験の為、性質の違ういくつかの革を使いました。使用した革は以下の通り。

  1. 栃木レザー ヌメ革
  2. TOIANO パープル(イタリア製 タンニンなめし革 顔料不使用 素上げに近い 植物油使用)
  3. エルバマット イエロー(イタリア製 タンニンなめし革 顔料不使用 牛脂をたっぷり使ったしっとりオイルレザー)

各革に水と油を垂らした時に、どんな影響があるかを検証する為、一枚の革を4ブロックに分けました。内訳は、以下の通り。

  • 右上:LOCTITE塗布
  • 右下:コロニル塗布
  • 左上:防水処理なし
  • 左下:防水処理なし 水/油を垂らさない

こんな感じで厚紙で区切ってスプレーしました。

実験の準備。スプレー塗布

LOCTITE塗布

LOCTITEの使い方。

20cm離して、全体がしっとりするまでスプレー。

ヘアスプレーのような勢いを予想していたところが、壊れているのかと思ったくらいに噴射が弱い。ミストのような感じです。

しかし、ところがこれが使いやすい。細かいミストで成分が出てくるので、ムラなく塗れる。

噴射の範囲が狭いので、小物には使いやすいです。大きな製品に使う場合は、十分に離して使う方がベター。

TOIANO パープル。塗布したそばからすぐに浸透します。

ヌメ革にスプレー塗布直後と2秒後。

やはりヌメ革。驚きの吸水性です。

こちらはエルバマット。

 びっくりするくらい吸ってくれない。

非常に油分の多い革なので、元来持っている防水性がそもそも高くて、防水スプレーがなかなかしみ込んでくれません。ゆっくりと時間をかけて浸透していきます。

スプレーの説明書には、塗布してから20分くらい乾かすと書いてありましたが、ことこの革にいたっては、1時間ほど放置する必要がありました。

コロニル塗布

コロニルの使い方。20~30センチ離して、表面が軽く湿る程度に2回スプレー。

コロニルだけが2回スプレーというのは誤算。正しい使い方は尊重したいところですが、これでは効果に差が出てしまう可能性があるので、スプレー回数は1回で統一することに。

コロニルのスプレーは、LOCTITEとは逆に、しぶきが大きく、ムラになりやすそうな粗いスプレー。値段が高いコロニルの方が、スプレーボトルの品質が低いです。LOCTITEのボトルの品質の高さは日本製ならではでしょうか。

また、不用意に広範囲に噴射が広がってしまう為、今回のように狭い範囲にスプレーしたい場合は少し困ります。

両スプレー塗布後。

いずれも、まだ乾いていない状態で色が濃くなっています。

真ん中のエルバマットイエローをご覧ください。

右上のブロックがLOCTITE塗布部分、右下がコロニル塗布部分です。コロニル塗布のブロックは、写真でもわかるくらいに水玉のような、まだらのムラになっています。このムラが後々どのように影響してくるでしょうか。

1時間放置後。

濃くなった色は元通りに戻っています。こう見えて右半分はウォータープルーフです。

実験準備は完了。

ここからが本番です。

防水性能検証


動画は、11分間の変化を19秒にまとめたタイムラプスです。

動画を載せておいてなんですが、あまり変化がわかりません。

それもそのはずです。吸水性の高い革で、尚且つ防水処理をしていないブロックは、水を垂らした瞬間にほとんど吸い込んでしまい、それ以上の変化はありません。

そして防水処理をしたブロックは、いずれの防水スプレーとも、どの革においてもかなり高い防水性能を発揮していて、最後までほとんど吸水が見られません。

写真もどうぞ。

 実験開始

 実験開始から15秒後

 実験開始から80秒後

 実験開始から3分30秒後

 実験開始から7分後

 実験開始から10分ごろにティッシュで水気を拭き取りました。

 実験開始から11分後。

唯一、ヌメは少々水を吸って色が変わっています。元々吸水性の高い革なので、こういった革は余計に多くスプレー塗布してあげる必要があったのだと思います。

ヌメの場合、最終的には防水スプレーを通り越して水が浸透しましたが、濡れてもすぐに拭き取ってあげればこうはなりません。水濡れ防止に、フッ素系の防水スプレーははっきりとした効果が見られます。

さて、防水スプレーに効果があることはお分かりいただけたと思いますが、肝心のLOCTITE VS コロニルの結果はどうでしょうか??

実験開始直後と、10分後水気を取った後

ヌメ以外の革については、LOCTITE、コロニルともにほぼ完璧に水を防いだと言えるでしょう。

ヌメは若干ですが効果に差が出ています。コロニルの方が水シミが小さいです。

誤差の範囲とも取れますが、コロニルは価格3倍のメンツを何とか保った形でしょうか。

続いては防油性能の比較です。

本題からずれますが、エルバマットは本当に奇特な革。防水処理をしていない状態でも、10分以上放置しても水がほとんど浸みません。タンニンなめし革の常識の枠に収まらない、レザー界の異端児です。

防油性能検証


垂らしたのはミシンオイル。さらりとした液状のオイルなので、革への親和性は抜群です。水の時とは打って変わって、オイルを垂らしたそばから大きな変化が表れています。

水がほとんど浸みこむことがなかったエルバマットも、今回はほかの革と同じようにシミができています。

防水スプレーをしたブロックとしなかったブロックの差は歴然で、スプレーをしなかったブロックは、みるみるうちに革の内部までオイルが浸み込んでいく過程が見て取れます。

さらに、今回はLOCTITEとコロニルで結果に差が出ました。コロニルの方が油の浸透が遅く、拭き取ったあとのシミも小さいですね。

油汚れをより防いでくれるのは、コロニルの防水スプレーだと考えてよさそうです。

15秒後

3分後

8分後、拭き取り

拭き取ってから1分半後

コロニルはオイルからもしっかりと革を守っています。

ヌメ革でもある程度油じみを防いでくれます。

水を垂らした時には、両者に大きな差が出なかったのに、油の場合ははっきりとした差が出たことに驚きました。

防水成分の配合量や、独自の配合などに秘密があるのでしょうか。高いだけのことはあるようです。

半日後の様子。

油は徐々に浸みこみ、揮発して目立たなくなりますが、防水スプレーを使ったブロックは革への影響も最低限で済みます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

LOCTITE、コロニルともに、必要十分な防水効果があるようです。

大切な製品に使うには、より防水/防油効果の高いコロニルのウォーターストップをおすすめします。

あとは、3倍の価格差をどう思うかですね。

お手入れが好きで消耗品として使うなら、アマゾンで格安で買えるLOCTITEという選択も大いにアリだと思います。

なお、UVカットについては、実験が現在進行中です。

日の当たるところに晒して、日焼けの仕方に違いが出るかどうかを検証したいと思います。

この結果についてはまた後日。。。

革に油や水がしみ込むとき、革の内部には汚れも入り込んでしまいます。

それを防ぐためには、革に悪い影響を与えない方法で、防水防油対策をしてあげることがベター。

特に、水に濡れる機会の多い製品、酷使される道具の場合は、適切なケアをしてあげることが、長くきれいに革製品を使うコツになってきます。

最後に、deteが考える、防水スプレーの使い方を書いて〆といたします。

防水スプレーの使い方。塗布量、放置時間の目安

防水スプレーは、クリーム、ゲルなどの他のケア剤を使う前に行います。

防水スプレーを使う手順

  1. ブラッシングで革の汚れを払う
  2. まんべんなく防水スプレー
  3. 乾くまで放置
  4. ブラッシングして余分なスプレー残留物を取り除く
  5. 必要に応じて、クリーム、ゲル等のケア剤で保湿
  6. 仕上げのブラッシングで完了

塗布量の目安は、全体がムラなく色が濃くなるまで。液が垂れるのはかけ過ぎです。吸水の具合を見ながら加減してください。

乾燥時間の目安は、塗布前の色に戻るまで。革質や気候、塗布量にもよりますが、20分~1時間程度。

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